浮き屋根を有する屋外貯蔵タンクには、可動はしごや液面計など浮き屋根の上に載る設備があります。
これらの設備は、側板と浮き屋根の両方に触れているため、地震のときの扱いが特別です。
原則は地震で損傷しないように設置することですが、例外として扱われる設備もあります。
原則と例外の境目、そして例外が及ばないタンクの型式までを解説します。
うちのタンクには浮き屋根の上に可動はしごが付いています。
これも地震で壊れない構造にしないといけないのでしょうか。
可動はしごは例外にあたります。
原則と例外、両方を順番に確認していきましょう。
なぜはしごだけ例外になるのでしょうか。
浮き屋根の上下動に関わる設備だからです。
タンクの型式による違いもあわせて見ていきます。
- 浮き屋根を有する屋外貯蔵タンクの側板・浮き屋根に設ける設備は、地震等により損傷を与えないように設置することが原則です(政令第十一条第一項第十一号の三)
- 可動はしご・回転止め・液面計測設備・サンプリング設備・その他これらに附属する設備は、この原則の例外として認められています(規則第二十一条の五)
- 例外となる設備は、いずれも浮き屋根の上下動に合わせて動く、または浮き屋根に触れて計測するという共通点を持ちます
- 浮き蓋付きの特定屋外貯蔵タンクには、この十一号の三の規定自体が準用されていません(政令第十一条第二項)
- 例外の範囲は列挙された設備とその附属設備に限られ、それ以外の設備は原則どおりの耐震設置が必要です
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目次
浮き屋根の設備はなぜ地震対策を求められるのか

液面が上下するのに合わせて浮き屋根も上下するため、側板側から浮き屋根へ渡す設備が必要になります。
浮き屋根を有する屋外貯蔵タンクの側板又は浮き屋根に設ける設備は、地震等によりそれぞれ浮き屋根又は側板に損傷を与えないように設置すること。
ただし、当該屋外貯蔵タンクに貯蔵する危険物の保安管理上必要な設備で総務省令で定めるものにあつては、この限りでない。
浮き屋根は液面とともに上下し、側板は地面に固定されているため、両者の間には地震の揺れによる相対的な位置ずれが生じます。
この位置ずれで設備自体が壊れたり、浮き屋根や側板を傷つけたりしないような設置が求められています。
ただし書には、総務省令で定める保安管理上必要な設備は例外にできると書かれています。
側板と浮き屋根の間で位置がずれるから、壊れないように設置するのですね。
そのとおりです。
次は総務省令が定める例外の中身を確認しましょう。
どの設備なら耐震構造の例外が認められるのか

例外として認められる設備は、条文で個別に列挙されています。
令第十一条第一項第十一号の三ただし書の総務省令で定める設備は、可動はしご、回転止め、危険物の液面の高さを測定するための設備、サンプリング設備その他これらに附属する設備とする。
可動はしごは側板側の階段と浮き屋根をつなぐ通路、回転止めは浮き屋根が回転しないよう向きを保つ設備です。
液面計測設備は貯蔵量を測るための計器、サンプリング設備は中身を採取するための設備です。
ここに列挙されていない設備は、この特例の対象にはなりません。
はしごのほかにも、回転止めや液面計まで対象になるのですね。
はい、列挙された設備に限られます。
次はなぜこの設備だけ例外にできるのかを見ていきましょう。
なぜこれらの設備だけ例外にできるのか

令第十一条第一項第十一号の三ただし書の総務省令で定める設備は、可動はしご、回転止め、危険物の液面の高さを測定するための設備、サンプリング設備その他これらに附属する設備とする。
可動はしごは名前のとおり動くこと自体が仕事の設備で、液面が高いときは浅い角度、低いときは急な角度になるよう自由に動く必要があります。
回転止め・液面計測設備・サンプリング設備も、浮き屋根の上下動を妨げずに機能を果たす必要がある点は同じです。
地震で位置がずれないように固定してしまうと、これらの設備は平常時の役目そのものを果たせなくなってしまいます。
動くことが仕事の設備だから、固定できないということですね。
そのように読めます。
次は、この規定自体が及ばないタンクの型式を確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

この型式には、そもそも十一号の三の規定自体が及びません。
屋外タンク貯蔵所(浮き蓋付きの特定屋外貯蔵タンクに係る特定屋外タンク貯蔵所に限る。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、前項第一号から第三号の二まで、第四号、第四号の二、第六号から第七号の二まで、第九号から第十一号の二まで、第十二号から第十五号まで及び第十七号の規定の例によるほか、次のとおりとする。
つまり固定屋根の内側に浮き蓋を備えたタンク(浮き蓋付きの特定屋外貯蔵タンク)には、浮き屋根の耐震設置義務も、規則第二十一条の五の例外も、そもそも当てはまりません。
浮き蓋付きのタンクには、浮き蓋の構造・可燃性蒸気の排出設備・点検設備など、政令第十一条第二項が別に定める独自の基準が適用されます。
外から見ると屋根の有無だけの違いに見えても、開放型の浮き屋根式か固定屋根+浮き蓋式かで、参照すべき条文がまったく変わる点に注意してください。
屋根が付いているかどうかで、そもそも条文が変わるとは知りませんでした。
はい、タンクの型式の確認が最初の一歩です。
最後に確認事項をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に見ていきましょう。 まず、自社のタンクが開放型の浮き屋根式か、固定屋根の内側に浮き蓋を備えた型式かを確認してください。
開放型の浮き屋根式であれば、側板・浮き屋根に設けている設備を洗い出し、可動はしご・回転止め・液面計測設備・サンプリング設備・その他これらに附属する設備のいずれかに当たるかを整理します。
これらに当たらない設備は、原則どおり地震で損傷を与えない設置になっているかを図面と現地の両方で確かめてください。
「その他これらに附属する設備」の範囲があいまいな設備については、原則の側に立ったうえで所轄消防署に確認することをおすすめします。
固定屋根の内側に浮き蓋を備えた型式であれば、十一号の三ではなく政令第十一条第二項が定める浮き蓋独自の基準を確認してください。
まずは自社のタンクの型式と、設備の一覧から始めればいいのですね。
型式の確認と設備の洗い出しから始めてみてください。
次によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
分かりました、タンクの型式と設備の一覧から確認してみます!
原則と例外の切り分けで迷ったら、いつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十一条第一項第十一号の三・第二項
- 危険物の規制に関する規則第二十一条の五
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





