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固定給油設備のホース機器はなぜ地盤面に接触しない構造にするのか|配管の水圧試験と容器詰替えノズルの自動停止も解説

給油ホースはなぜ地面に触れてはいけないかを示すアイキャッチ画像

給油取扱所のポンプ機器には吐出量の基準がありますが、それだけでホースや配管、外装の安全対策が済むわけではありません。
ホースが地面に触れない構造や、車両タンクへの注入装置、配管の水圧試験まで、基準は多岐にわたります。
これらは政令が総務省令に委ねた技術基準で、危険物が漏れたり事故につながったりしないための工夫がいくつも重なっています。
この記事では、固定給油設備・固定注油設備のホース機器と配管、外装に求められる構造基準を順番に整理します。

うちの給油ホース、地面に着いちゃったりしても大丈夫なんでしょうか。

いいえ、ホース機器は地盤面に接触しない構造にしなければなりません。

配管にも水圧試験があるんですね。

はい、〇・五メガパスカルで十分間の水圧試験が必要です。

この記事の結論
  • 固定給油設備・固定注油設備のホース機器・配管・外装には、規則第二十五条の二で細かい構造基準が定められています。
  • ホース機器は給油ホース等が地盤面に接触しない構造にしなければなりません。
  • 容器へ詰め替える給油ノズルは、容器が満量になるとガソリンの注入を自動的に停止する構造でなければなりません。
  • 配管は金属製とし、〇・五メガパスカルの圧力で十分間の水圧試験に耐えるものでなければなりません。
  • 判断に迷う場合は、点検業者や所轄消防署に確認してください。

固定給油設備のホース機器が地盤面に接触しない構造と車両タンクへの上部注入管配管の水圧試験容器詰替えノズルの自動停止をまとめた図解

ホース機器はなぜ地盤面に接触しない構造にしなければならないのか

給油ホースの先端が地面の手前でフックに掛けられ地盤面に触れていないイメージ
まずはホースそのものの構造基準を確認します。
給油ホースが垂れ下がって地面に触れることを防ぐための基準です。
危険物の規制に関する規則第二十五条の二第二号 ホース機器の構造は、次のとおりとすること。(略)ニ ホース機器は、当該ホース機器に接続される給油ホース等が地盤面に接触しない構造とすること。
ホース機器は、給油ホース等が地盤面に接触しない構造にしなければなりません。
規則第二十五条の二第二号ニにより、ホース機器に接続される給油ホース等は地盤面に接触しない構造とすることが求められます。
ホースが地面を引きずる状態が続くと、摩耗や損傷によって危険物が漏れる原因になりかねません。
そのため実際の給油取扱所では、ホースリールやフックでホースを持ち上げて収納する構造が多く採用されています。
使用時にホースを伸ばしたあとも、給油の妨げにならない範囲で地面から浮かせておくことが基準の趣旨に沿います。

ホースが地面に垂れてても、あまり気にしてませんでした。

地盤面に接触しない構造にする必要があります。

車両タンクへの上部注入にはどんな装置が必要になるのか

タンクローリーの上部から差し込まれた注入管とホースの根元にある弁が描かれたイメージ
続いて、車両に固定されたタンクへ上部から注入する場合の基準を見ます。
給油取扱所でタンクローリーへ荷卸しするときなどに関わる基準です。
危険物の規制に関する規則第二十五条の二第二号 (略)ホ 車両に固定されたタンクにその上部から注入する用に供する固定給油設備及び固定注油設備のホース機器には、当該タンクの底部に達する注入管が設けられていること。ヘ 車両に固定されたタンクにその上部から注入する用に供する固定給油設備及び固定注油設備のホース機器の給油ホース等のうち、その先端における吐出量が毎分六十リットルを超えるものにあつては、危険物の過剰な注入を自動的に防止できる構造のものとするとともに、注油ホースにあつては当該タンクに専用に注入するものとすること。
車両タンクへ上部から注入する場合は、タンクの底部まで届く注入管が必要です。
規則第二十五条の二第二号ホにより、車両に固定されたタンクへ上部から注入するホース機器には、タンクの底部に達する注入管を設けなければなりません。
これは液面付近から一気に危険物を落下させることで生じる、静電気や飛散を避けるための構造と考えられます。
同号ヘにより、吐出量が毎分六十リットルを超えるホース機器には、過剰な注入を自動的に防止できる構造も求められます。
注油ホースは当該タンク専用にしなければならず、他のタンクと兼用することはできません。

上から注ぐだけじゃ駄目なんですね。

はい、底部まで届く注入管が必要です。

容器へ詰め替えるノズルはなぜガソリンを自動的に止めるのか

携行缶にノズルを差し込み給油していると缶が満量になった瞬間に自動停止するイメージ
続いて、容器へ詰め替える場合のノズルの基準を見ます。
携行缶などへガソリンを詰め替える場面に関わる基準です。
危険物の規制に関する規則第二十五条の二第二号 (略)チ 固定給油設備の給油ノズルで、容器への詰替えの用に供するものは、容器が満量となつたときにガソリンの注入を自動的に停止する構造のものとすること。
容器への詰替え用ノズルは、満量で自動的に止まる構造でなければなりません。
規則第二十五条の二第二号チにより、固定給油設備の給油ノズルのうち容器への詰替えに使うものは、容器が満量となったときにガソリンの注入を自動的に停止する構造とすることが求められます。
携行缶への詰替えは、車両給油と違って作業者が目視だけで量を判断しにくい場面です。
自動停止の仕組みがあることで、あふれによる危険物の飛散や引火のリスクを抑えられます。
なお、携行缶への詰替え自体の可否や本人確認の手続きは、この構造基準とは別に定められています。

携行缶に入れるときも自動で止まるんですか。

はい、満量になると自動的に止まる構造です。

配管や外装にはどんな基準があるのか

金属製の配管に圧力計を取り付けて水圧試験を行っているイメージ
最後に、配管と外装、電気部分の基準を確認します。
目に見えない部分だからこそ、施工時の試験や材料の選定が重要になります。
危険物の規制に関する規則第二十五条の二 三 配管は、金属製のものとし、かつ、〇・五メガパスカルの圧力で十分間水圧試験を行つたとき漏えいその他の異常がないものであること。四 難燃性を有する材料で造られた外装を設けること。ただし、ポンプ室に設けるポンプ機器又は油中ポンプ機器にあつては、この限りでない。五 火花を発するおそれのある機械器具を設ける部分は、可燃性蒸気が流入しない構造とすること。
配管は金属製で水圧試験に耐えるものとし、外装は難燃性の材料で造ります。
規則第二十五条の二第三号により、配管は金属製のものとし、〇・五メガパスカルの圧力で十分間の水圧試験を行っても漏えいその他の異常がないことが求められます。
第四号により、ポンプ機器には難燃性を有する材料で造られた外装を設けなければなりません。ただし、ポンプ室に設けるポンプ機器や油中ポンプ機器はこの限りではありません。
第五号により、火花を発するおそれのある機械器具を設ける部分は、可燃性蒸気が流入しない構造にする必要があります。
配管・外装・電気部分のそれぞれが独立した防護層になっている、と捉えると理解しやすくなります。

配管や外装にも、いろいろ決まってるんですね。

はい、配管・外装・電気部分それぞれに基準があります。

明日から何を確認すればよいのか

作業員がクリップボードを持ちホースと配管と外装をひとつずつ指差し確認しているイメージ
ここまでの基準を、現場で確認する手順に落とし込みます。
まずは自分の給油取扱所の設備を確認してください。
給油ホースが地面に触れたままになっていないかを確認してください。
車両タンクへ上部から注入する設備がある場合は、注入管と過剰注入防止の構造が備わっているかを確認してください。
容器への詰替え用ノズルは、満量で自動的に止まるかを点検業者に確認してください。
判断に迷う場合は、点検業者や所轄消防署に確認することをお勧めします。

まずは自分のところの設備を確認してみます。

それが一番確実です。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q地盤面に接触しない構造にするには、必ずホースリールを設けなければなりませんか?
A規則は地盤面に接触しない構造とすることを求めるだけで、方法までは限定していません。ホースリールやフックなど、実際に接触しない構造であれば認められます。
Q車両タンクへの上部注入で、注入管の長さに基準はありますか?
A規則第二十五条の二第二号ホはタンクの底部に達することを求めており、具体的な寸法までは定めていません。タンクの形状に応じて底部まで届く長さとします。
Q詰替え用の自動停止装置は、ガソリン以外の危険物にも必要ですか?
A規則第二十五条の二第二号チはガソリンの注入を自動的に停止する構造を定めた規定です。対象はガソリンの詰替えに限られます。
Q配管の水圧試験は、いつ行えばよいですか?
A条文は試験の時期までは定めていませんが、配管の埋設や接続が完了した施工段階で行い、その後の点検で健全性を確認していくのが一般的です。

まとめ

固定給油設備・固定注油設備のホース機器・配管・外装には、規則第二十五条の二で細かい構造基準が定められています
ホース機器は給油ホース等が地盤面に接触しない構造にしなければなりません
車両タンクへ上部から注入する設備には、タンクの底部に達する注入管が必要です
吐出量が毎分六十リットルを超えるホース機器には過剰な注入を自動的に防止できる構造も求められます
容器への詰替え用ノズルは、容器が満量になるとガソリンの注入を自動的に停止する構造でなければなりません
配管は金属製とし、〇・五メガパスカルの圧力で十分間の水圧試験に耐えるものとします
判断に迷う場合は、点検業者や所轄消防署に確認してください

ホースと配管、外装に求められる基準がよく分かりました。
早速確認します

まずはホースが地面に触れていないかの確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十七条(給油取扱所の基準)
  • 危険物の規制に関する規則第二十五条の二(固定給油設備等の構造)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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