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屋内タンク貯蔵所はなぜタンク専用室に設置するのか|容量の上限と耐火構造の基準も解説

屋内タンク貯蔵所はなぜタンク専用室に設置するのか容量の上限と耐火構造の基準を解説する記事のアイキャッチ画像

屋内タンク貯蔵所は、危険物を入れたタンクを建物の中に置いて貯蔵する施設です。
屋外タンク貯蔵所とは別に、危険物の規制に関する政令第十二条で位置・構造・設備の基準が細かく定められています。
タンクを設置する部屋の造りや容量の上限まで号ごとに決まっており、確認を怠ると許可が下りません。
タンク専用室の構造は、平家建かどうかで大きく変わる点に注意が必要です。

うちは危険物のタンクを建物の中に置いてるんですが、これも屋外タンク貯蔵所と同じ基準になるんでしょうか。

いえ、屋内タンク貯蔵所には専用の基準があります。
まずはタンクをどこに置くかというルールから見ていきましょう。

タンク専用室というのを聞いたことがあるんですが、どんな部屋なんですか。

屋内貯蔵タンクを設置するための専用の部屋のことです。
壁との間隔や部屋の構造まで細かく決まっていますよ。

この記事の結論
  • 屋内タンク貯蔵所は屋内貯蔵タンクを平家建のタンク専用室に設置するのが原則です
  • タンクとタンク専用室の壁の間、複数タンクの間には〇・五メートル以上の間隔が必要です
  • 屋内貯蔵タンクの容量は指定数量の四十倍または二万リットルのいずれか小さいほうが上限です
  • タンク専用室は壁・柱・床を耐火構造にし、窓や出入口に防火設備を設ける必要があります
  • 平家建以外の建物に設けるタンク専用室は、窓なし・自動閉鎖の特定防火設備などさらに厳しい基準が課されます

屋内タンク貯蔵所のタンク専用室への設置容量は指定数量の四十倍まで壁と床は耐火構造通気管と自動表示装置をまとめた図解

屋内タンク貯蔵所はなぜタンク専用室に設置するのか

平家建のタンク専用室に設置された屋内貯蔵タンクとタンク間の間隔を示すイメージ
まずは、屋内貯蔵タンクをどこに設置するかというルールを確認します。
屋外タンク貯蔵所とは全く別の考え方です。
危険物の規制に関する政令第十二条第一項 屋内タンク貯蔵所(次項に定めるものを除く。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、次のとおりとする。一 危険物を貯蔵し、又は取り扱う屋内タンク(以下この条及び第二十六条において「屋内貯蔵タンク」という。)は、平家建の建築物に設けられたタンク専用室に設置すること。二 屋内貯蔵タンクとタンク専用室の壁との間及び同一のタンク専用室内に屋内貯蔵タンクを二以上設置する場合におけるそれらのタンクの相互間に、〇・五メートル以上の間隔を保つこと。
屋内貯蔵タンクは、平家建の建築物に設けたタンク専用室へ設置するのが原則です。
政令第十二条第一項第一号が、屋内貯蔵タンクを平家建のタンク専用室に設置することを求めています。
第二号では、タンクとタンク専用室の壁との間、同じ部屋に複数のタンクを置く場合はタンク同士の間にも、〇・五メートル以上の間隔を保つよう定めています。
この間隔は、点検や万一の漏えいに対応する作業スペースを確保するためのものです。
図面を引く段階で、壁からの距離とタンク同士の距離の両方を確認しておきましょう。

うちの倉庫は平家建なので、そのままタンク専用室を作れそうです。

はい。
ただしタンクと壁の間、複数タンクがある場合はタンク同士の間隔も〇・五メートル以上必要なので、図面で確認しましょう。

屋内貯蔵タンクの容量にはなぜ上限があるのか

屋内貯蔵タンクの容量の上限をドラム缶と比較して示すイメージ
次は、タンクそのものの容量にかかる上限です。
危険物の種類によって計算が変わります。
危険物の規制に関する政令第十二条第一項第四号 屋内貯蔵タンクの容量は、指定数量の四十倍(第四石油類及び動植物油類以外の第四類の危険物にあつては、当該数量が二万リットルを超えるときは、二万リットル)以下であること。同一のタンク専用室に屋内貯蔵タンクを二以上設置する場合におけるそれらのタンクの容量の総計についても、同様とする。
屋内貯蔵タンクの容量は、指定数量の四十倍が上限です。
ただし第四石油類・動植物油類以外の第四類の危険物では、その四十倍が二万リットルを超えるときは二万リットルが上限になります。
つまり危険物の種類によって、指定数量の四十倍と二万リットルのどちらか小さいほうが上限になる仕組みです。
同じタンク専用室に複数のタンクを置く場合は、個々のタンクだけでなく容量の総計にも同じ上限がかかります。
新しいタンクを増設するときは、既設タンクとの合計で上限を超えないか必ず確認してください。

うちで貯蔵する予定の量は、この上限に収まるでしょうか。

指定数量の四十倍と二万リットルのどちらか小さいほうが上限になります。
危険物の種類ごとに一緒に計算しましょう。

タンク専用室にはどんな構造基準が求められるのか

タンク専用室の耐火構造の壁と防火設備の窓を示すイメージ
続いて、タンク専用室そのものの構造基準です。
壁から出入口まで号ごとに定められています。
危険物の規制に関する政令第十二条第一項第十二号 タンク専用室は、壁、柱及び床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で造るとともに、延焼のおそれのある外壁を出入口以外の開口部を有しない壁とすること。ただし、引火点が七十度以上の第四類の危険物のみの屋内貯蔵タンクを設置するタンク専用室にあつては、延焼のおそれのない外壁、柱及び床を不燃材料で造ることができる。第十三号 タンク専用室は、屋根を不燃材料で造り、かつ、天井を設けないこと。第十四号 タンク専用室の窓及び出入口には、防火設備を設けるとともに、延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設けること。第十五号 タンク専用室の窓又は出入口にガラスを用いる場合は、網入ガラスとすること。(略)第十七号 タンク専用室の出入口のしきいの高さは、床面から〇・二メートル以上とすること。
タンク専用室は、壁・柱・床を耐火構造にするのが原則です。
はりは不燃材料で造り、延焼のおそれのある外壁は出入口以外の開口部を持たない壁にしなければなりません。
ただし引火点が七十度以上の第四類の危険物だけを貯蔵するタンク専用室であれば、延焼のおそれのない部分の外壁・柱・床は不燃材料で足ります。
屋根は不燃材料で造り天井は設けず、窓・出入口には防火設備を、延焼のおそれのある外壁の出入口には自動閉鎖の特定防火設備を設けます。
窓や出入口にガラスを使うときは網入ガラスとし、出入口のしきいの高さは床面から〇・二メートル以上を確保してください。

壁を耐火構造にするだけでも大がかりな工事になりそうです。

引火点が七十度以上の危険物だけなら不燃材料で足りる場合もあります。
貯蔵する危険物の種類を先に確認しておきましょう。

平家建以外の建物ではなぜ基準がさらに厳しくなるのか

窓のない多階建て建物内のタンク専用室とダンパー付き換気設備を示すイメージ
次は、タンク専用室を平家建以外の建物に設ける場合の特則です。
貯蔵できる危険物そのものが限られます。
危険物の規制に関する政令第十二条第二項 屋内タンク貯蔵所のうち引火点が四十度以上の第四類の危険物のみを貯蔵し、又は取り扱うもの(タンク専用室を平家建以外の建築物に設けるものに限る。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、(略)次のとおりとする。一 屋内貯蔵タンクは、タンク専用室に設置すること。(略)三 タンク専用室は、壁、柱、床及びはりを耐火構造とすること。四 タンク専用室は、上階がある場合にあつては上階の床を耐火構造とし、上階のない場合にあつては屋根を不燃材料で造り、かつ、天井を設けないこと。五 タンク専用室には、窓を設けないこと。六 タンク専用室の出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設けること。七 タンク専用室の換気及び排出の設備には、防火上有効にダンパー等を設けること。八 タンク専用室は、屋内貯蔵タンクから漏れた危険物がタンク専用室以外の部分に流出しないような構造とすること。
タンク専用室を平家建以外の建物に設ける場合は、貯蔵できる危険物そのものが限られます。
第二項が対象にするのは、引火点が四十度以上の第四類の危険物のみを貯蔵するタンク専用室に限られます。
その分、構造基準は第一項より厳しくなり、壁・柱・床・はりのすべてを耐火構造とし、窓は一切設けられません
出入口は自動閉鎖の特定防火設備とし、換気・排出設備には防火上有効なダンパー等を設ける必要があります。
さらにタンク専用室は、漏れた危険物が室外へ流出しない構造にすることまで求められます。

うちは二階建ての倉庫なので、平家建の基準とは違うんですね。

平家建以外だと窓を設けられず、出入口も自動閉鎖の特定防火設備が必要になります。
設計段階でご相談ください。

屋内貯蔵タンクの通気管や注入口にはどんな基準があるのか

屋内貯蔵タンクの通気管と液面計を点検する作業員のイメージ
最後に、タンク本体に取り付ける附属設備の基準です。
屋外貯蔵タンクの基準がそのまま生きてきます。
危険物の規制に関する政令第十二条第一項第五号 屋内貯蔵タンクの構造は、前条第一項第四号に掲げる屋外貯蔵タンクの構造の例(略)によるものであること。第七号 屋内貯蔵タンクのうち、圧力タンク以外のタンクにあつては総務省令で定めるところにより通気管を、圧力タンクにあつては総務省令で定める安全装置をそれぞれ設けること。第八号 液体の危険物の屋内貯蔵タンクには、危険物の量を自動的に表示する装置を設けること。第九号 液体の危険物の屋内貯蔵タンクの注入口は、前条第一項第十号に掲げる屋外貯蔵タンクの注入口の例によるものであること。
屋内貯蔵タンクそのものの構造は、屋外貯蔵タンクの基準をそのまま準用します。
第五号により、タンクの材質・水張試験・水圧試験は前条(屋外タンク貯蔵所)の屋外貯蔵タンクの例によります。
第七号では、圧力タンク以外には通気管、圧力タンクには安全装置の設置を義務づけています。
液体の危険物を貯蔵するタンクには量を自動的に表示する装置を設け、注入口の構造も屋外貯蔵タンクの注入口の基準に従います。
つまり屋内タンク貯蔵所は「置き場所と部屋の造り」に独自の基準があり、「タンク本体の構造」は屋外タンク貯蔵所と共通した設計思想で作られています。

タンクの通気管や注入口にも決まりがあるんですね。

屋外貯蔵タンクの基準をそのまま準用しています。
次は現地でタンクの仕様を一緒に確認しましょう。

よくある質問

Q屋内タンク貯蔵所と屋内貯蔵所はどう違いますか?
A屋内貯蔵所(政令第十条)は容器に入った危険物を倉庫で保管する施設です。屋内タンク貯蔵所(政令第十二条)はタンクそのものをタンク専用室に設置する施設で、根拠条文も基準の中身も別物です。
Qタンク専用室に窓を設けてもよいですか?
A平家建のタンク専用室であれば、政令第十二条第一項第十四号・第十五号により防火設備と網入ガラスを条件に窓を設けられます。ただし平家建以外の建物に設けるタンク専用室では、同条第二項第五号により窓を設けることができません。
Q屋内貯蔵タンクの容量は、どんな危険物でも二万リットルが上限になりますか?
Aいいえ。第四石油類及び動植物油類は指定数量の四十倍がそのまま上限で、二万リットルの上限は適用されません。それ以外の第四類の危険物は、指定数量の四十倍と二万リットルのどちらか小さいほうが上限になります。
Q屋内貯蔵タンクの通気管や注入口には、屋内タンク貯蔵所だけの独自基準がありますか?
Aいいえ。政令第十二条第一項第五号・第七号・第九号はいずれも、屋外貯蔵タンク(政令第十一条)の構造・通気管・注入口の基準をそのまま準用する形になっています。

まとめ

屋内タンク貯蔵所は屋外タンク貯蔵所とは別に、政令第十二条で独自の基準が定められています
屋内貯蔵タンクは原則平家建のタンク専用室に設置します
タンクとタンク専用室の壁の間、タンク同士の間には〇・五メートル以上の間隔が必要です
屋内貯蔵タンクの容量は指定数量の四十倍または二万リットルのいずれか小さいほうが上限です
タンク専用室は壁・柱・床を耐火構造にし、窓や出入口には防火設備を設けます
平家建以外の建物では窓を設けられず、出入口には自動閉鎖の特定防火設備が必要です
屋内貯蔵タンク本体の構造・通気管・注入口は、屋外貯蔵タンクの基準をそのまま準用します

タンク専用室の作り方から容量の計算まで、やることがはっきりしました

まずはタンクと壁の間隔と専用室の耐火構造を図面で確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十二条(屋内タンク貯蔵所の基準)
  • 危険物の規制に関する政令第十一条第一項第四号・第十号(屋外貯蔵タンクの構造・注入口の例)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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