屋外貯蔵タンクは厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板で造ることとされています。
では貯蔵する危険物の性質から、鋼が使えない場合はどうすればよいのでしょうか。
硝酸を貯蔵するアルミニウム製タンクと、チタン製の弁。いずれも政令第23条で認められました。
この記事では屋外タンク貯蔵所の材質と固定の考え方を消防庁の質疑応答に沿って整理します。
硝酸を入れるのに鋼板は使えません。
ほかの材質でもよいのでしょうか。
アルミニウムが認められた例があります。
回答は政令第23条を適用しアルミニウム板タンクを使用することは差し支えないとしました。
判断の材料は何になるのでしょうか。
回答に列挙されています。
危険物の性質、タンクの容量、直径及び胴板板厚等から判断するとされました。
この記事でまとめて解説します!
- 硝酸タンクについて政令第23条の規定を適用し、アルミニウム板タンク及びアルミニウム製バルブを使用することは差し支えないとされた
- 判断の材料は危険物の性質、タンクの容量、直径及び胴板板厚等である
- 鋳鋼製の弁の代用としてチタン又はジルコニウム製の弁を使用することは差し支えない
- 固定の方法はタンクに巻いたアングル等又は底板の縁が基礎にボルト等で固定されていればよい
- 高架タンクの防油堤はタンクの直下の地盤面上に設け、タンクから漏出した油が収納できる大きさとする
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目次
硝酸タンクにアルミニウムを使うことが認められた

昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号は、山口県下松市消防長からの照会に答えたものです。
市内の工場で硝酸タンクを新設することになり、その設置届が提出されました。
硝酸は鋼を侵します。
基準どおりの鋼板では持たないため、材質を変えざるを得ないという場面です。
認められましたが、無条件ではありません。
危険物の性質、容量4.6キロリットル、直径1,800ミリメートル、胴板板厚9ミリメートルという具体的な数値が並べられています。
基準の3.2ミリメートルに対して、実際の板厚は9ミリメートルでした。
材質を変えるかわりに厚くするという設計が、判断を支えています。
数値が判断を支えます。
アルミニウムが認められた例があるのですね。
特例の適用です。
採用するなら、腐食の実情を資料にまとめてください。
チタンやジルコニウム製の弁も政令第23条で認められる

同じ考え方は、弁についても示されています。
昭和35年3月31日付け国消乙予発第23号は、神戸市消防長からの照会に答えたものです。
照会には、両金属の性質を比べた表が添えられていました。
融点はチタンが1725度、ジルコニウムが1830度で、いずれも鋳鋼より高い値です。
ここでも根拠は政令第23条、基準の特例です。
材質を明示した規定であっても、同等以上の性能があれば特例で通る道があります。
特例で通せます。
弁の材質にも、認められた例があるのですね。
性質を比べた資料が示されました。
使う部材の性能を、数値で示せるようにしましょう。
堅固な地盤又は基礎への固定はアングルやボルトで足りる

次は据え付け方についてです。
昭和35年7月6日付け自消乙予発第2号は、鹿児島県からの照会に答えたものです。
回答は固定の方法は、支柱が直接タンクにつかず、タンクに巻いたアングル等についているか、又は底板の縁が基礎にボルト等で固定されていればよいです。
示された方法は二つです。
一つめが支柱が直接タンクにつかず、タンクに巻いたアングル等についている形、二つめが底板の縁が基礎にボルト等で固定されている形です。
タンクの胴板に直接支柱を溶接するのではなく、巻いたアングルを介して支えるという考え方が示されています。
胴板に力を集中させないための整理です。
直付けは避けます。
据え付けの方法にも、認められる形があるのですね。
胴板に直接支柱を付けない形です。
据え付けの詳細を、施工図で確認してください。
高架タンクの防油堤はタンクの直下の地盤面上に設ける

硝酸タンクの照会には、防油堤についての問いも含まれていました。
図面では、高さ4メートルの架台の上にタンクが載る形が示されています。
照会はなお、当件については、防油堤を設ける必要はないと思われるが、どうかと尋ね、回答はお見込みのとおりでした。
硝酸は第4類の危険物ではないため、防油堤の対象にならないという整理です。
そのうえで、第4類の場合はどうすべきかも重ねて問われています。
回答は第4類の危険物を貯蔵する高架タンクの防油堤は、タンクの直下の地盤面上に設け、タンクから漏出した油が収納できる大きさで、府令第22条の規定に適合するものであることを要するです。
位置はタンクの直下の地盤面上です。
架台の上に受け皿を設けるのではなく、地面に設けることが示されています。
大きさの条件はタンクから漏出した油が収納できる大きさです。
受けるのは地盤面です。
高い架台の上のタンクでは、防油堤の考え方も変わるのですね。
対象となる危険物かどうかで分かれます。
扱う危険物の類別を、まず確認してください。
油量自動覚知装置には空気送入式や浮子式や連通管式がある

最後に計測についてです。
昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号は、北海道からの照会にも答えています。
問いはガソリン等の極めて蒸発しやすい油類の貯蔵タンクに設ける油量を自動的に覚知する装置として、電気式以外に如何なる装置があるか。また、その構造概要はどのようなものかというものでした。
空気送入式—タンク上部から底部に達する管を設け、この管にポンプ等で空気を送り込み、そのときの圧力、すなわち、液高に応ずる圧力をu字管等を導いて測定する方法である
浮子式—液面に浮子を浮遊させ、浮子に接続した鋼等の上下により測定する方法である
連通管式—連通管を使用して測定する方法であるが、ガラスは好ましくない
三つめの連通管式には、注意が付けられています。
ガラスは好ましくないという一言です。
割れれば危険物が漏れるため、材質の選択に注意が要るということになります。
ガラスは避けます。
油量を測る装置にも、いくつか方式があるのですね。
電気式以外も示されています。
更新のときは、扱う油種に合う方式を選んでください。
よくある質問
まとめ
- 屋外貯蔵タンクの基準には厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板という材質の定めがある
- 硝酸タンクについては政令第23条を適用しアルミニウム板タンク及びアルミニウム製バルブが認められた
- 判断の材料は危険物の性質とタンクの容量4.6キロリットルと直径1,800ミリメートルと胴板板厚9ミリメートル等である
- 鋳鋼製の弁の代用としてチタン又はジルコニウム製の弁を使用することも政令第23条により認められた
- 固定の方法は支柱が直接タンクにつかずタンクに巻いたアングル等についていればよい
- 又は底板の縁が基礎にボルト等で固定されていればよい
- 第4類の危険物を貯蔵する高架タンクの防油堤はタンクの直下の地盤面上に設ける
- 油量自動覚知装置には空気送入式と浮子式と連通管式等があり連通管式にガラスを用いることは好ましくない
材質を変えるなら、そのぶん厚みで示すのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
材質の特例を求める資料の整え方も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条・第12条・第23条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第21条・第22条 e-Gov法令検索
- チタンおよびジルコニウム製弁の使用について(昭和35年3月31日付け国消乙予発第23号 予防課長から神戸市消防長あて回答)
- 堅固な地盤または基礎の上への固定について(昭和35年7月6日付け自消乙予発第2号 予防課長から鹿児島県総務部長あて回答)
- 屋外タンクの材質、構造および防油堤について(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から山口県下松市消防長あて回答)
- 油量自動覚知装置について(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から北海道総務部長あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




