ガソリンスタンドや化学工場の地下タンク貯蔵所では、タンクの中にポンプを沈めて設置する工法が広く使われています。
このポンプは「油中ポンプ設備」と呼ばれ、危険物を満たしたタンクの内部で電動機を動かすため専用の構造基準が定められています。
電動機の防爆的な構造から締切運転時の温度上昇対策、フランジ接合とピット内点検まで、条文は号ごとに細かく規定しています。
本記事では危険物の規制に関する政令第十三条と同規則第二十四条の二を根拠に、油中ポンプ設備に求められる基準を整理します
うちの給油所、地下タンクの中にポンプが入ってるって聞いたんですが、普通のポンプと何が違うんですか。
地下タンクの中に設置するポンプは油中ポンプ設備と呼ばれていて、専用の構造基準が定められています。
電動機がタンクの中に入ってるって、ちょっと危なくないんですか。
電動機の内部を樹脂で保護したり、異常があれば自動で停止する仕組みが義務づけられています。
順番に見ていきましょう。
- 地下貯蔵タンクの内部にポンプや電動機を設ける場合は、油中ポンプ設備として規則第二十四条の二の基準に従う必要があります。
- 電動機の固定子は、危険物に侵されない樹脂を充塡した金属製の容器に収納しなければなりません。
- 締切運転による電動機の温度上昇を防止する措置と、温度が著しく上昇した場合の自動停止措置が必要です。
- ポンプの吸引口が露出した場合にも、電動機を停止する措置を講じなければなりません。
- 油中ポンプ設備は地下貯蔵タンクとフランジ接合し、タンク上部の部分は点検可能なピット内に設置します。
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目次
地下貯蔵タンクの中にポンプを設けてよいのか

後者は「油中ポンプ設備」と呼ばれ、危険物の規制に関する政令で専用の条文が設けられています。
タンク外に置く場合は屋外貯蔵タンクのポンプ設備の基準を準用しますが、タンクの中に沈める場合は総務省令、つまり消防法施行規則に基準が委任されています。
これを受けて定められたのが規則第二十四条の二で、この条文の中だけで通称「油中ポンプ設備」という呼び方が使われています。
次の見出しから、この油中ポンプ設備に求められる具体的な構造を号ごとに見ていきます。
タンクの外に置くか中に沈めるかで、基準がまるごと変わるんですね。
そのとおりです。
中に沈める油中ポンプ設備は、規則第二十四条の二の五つの号で細かく定められています。
電動機にはどんな構造が求められるのか

まず求められるのは、固定子の保護と冷却、そして内部に空気を溜めない構造の3点です。
危険物に直接触れる部分をなくし、なおかつ運転中に固定子が冷えるようにしておくことで、過熱による事故を防ぐねらいです。
さらに電動機の内部に空気が滞留しない構造も求められており、これは可燃性の蒸気がたまって引火する事態を避けるためと考えられます。
新しくポンプを選定するときは、この3つの要件をメーカーの仕様書で確認しておくと安心です。
電動機の中まで樹脂で守られてるんですね。
はい。
空気が滞留しない構造にもなっていて、二重三重に対策されています。
電線と締切運転にはどんな対策が必要か

どちらも電動機の過熱や損傷につながりやすい部分です。
これは電線の被覆が劣化して漏電や発火につながることを防ぐための規定です。
もう一つの締切運転とは、吐出側の弁を閉じたままポンプを動かしてしまう状態で、油が循環せずに電動機だけが熱を持ち続けます。
油中ポンプ設備はこの温度上昇を防ぐ措置をあらかじめ組み込んでおくことが義務づけられています。
締切運転って、うちの担当者もついやりがちなミスです。
装置側で温度上昇を防ぐ仕組みが入っているとはいえ、日常点検で弁の開け忘れがないか確認しておきましょう。
電動機を止めなければならないのはどんなときか

条件は温度と吸引口の状態の2つです。
2つ目はポンプの吸引口が露出した場合で、タンク内の液面が下がりすぎて空気を吸い込む状態を指します。
どちらも放置すれば電動機の焼損や、最悪の場合は発火につながりかねない状態です。
自動停止の仕組みがあるからといって油断せず、液面の管理も日頃から意識しておく必要があります。
液面が下がりすぎても自動で止まるようになってるんですね。
はい。
ただし自動停止に頼りきりにせず、液面や在庫の管理は引き続き必要です。
油中ポンプ設備はどうやって設置するのか

タンクとの接合方法から、点検のしやすさまで、設置場所ごとに基準が分かれています。
タンク内部に入る部分は原則として保護管の中に収めますが、外装自体が十分な強度で保護されていれば省略できる例外もあります。
タンク上部に出る部分は、危険物の漏えいを点検できる措置を講じたピットの中に設置しなければなりません。
日常点検では、このピットのふたを開けて漏えいの跡がないかを確認する作業が中心になります。
点検のときはピットのふたを開けて中を見るんですね。
そのとおりです。
フランジ部分からの漏えいがないか、定期点検のたびに確認しましょう。
よくある質問
まとめ
油中ポンプ設備の構造基準、号ごとに整理してもらってよく分かりました!
地下タンクのポンプ設備の点検や更新でお悩みでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十三条第一項第九号の二
- 危険物の規制に関する規則第二十四条の二(地下貯蔵タンク内に設けるポンプ設備)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





