一つの薬品が、酸化剤としての性質と燃えやすい固体としての性質を同時に持っていたらどうなるでしょうか。
消防法の危険物は酸化性固体や可燃性固体など、性質ごとに一つの類へ割り振られる仕組みでできています。
ところが実際の物品の中には、複数の性質を併せ持つものがあります。
この記事では複数の性状を持つ物品がどちらの品名として扱われるかを決める規則の仕組みを、条文にそって解説します。
一つの薬品が酸化剤にも可燃物にもなるなんてこと、実際にあるんですか。
あります。
「複数性状物品」と呼ばれ、扱いを決める条文があります。
うちの倉庫の薬品も、片方の性質だけで判断していたかもしれません。
自己判断は禁物です。
規則が定める組み合わせごとに品名が決まります。
- 一つの物品が複数の危険物の性状を併せ持つ場合の品名は、消防法施行規則第一条の四が定めています
- 対象になるのは酸化性固体・可燃性固体・自然発火性物質及び禁水性物質・引火性液体・自己反応性物質のうち二つの性状を併せ持つ物品です
- 組み合わせは規則が定める五つのパターンに限られ、それぞれ該当する類の号が決まっています
- 品名が変われば指定数量の倍数の計算まで変わるため、判定を誤ると許可の内容そのものが狂います
- 性状の判定は性状試験の結果に基づいて行い、思い込みで決めてはいけません
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目次
なぜ一つの物品が複数の危険物に当てはまることがあるのか

性質ごとに一つの類へ割り振る仕組みでできています。
たとえば酸化剤としての性質と、燃えやすい固体としての性質を同時に示す物品も存在します。
このような物品を「複数性状物品」と呼び、備考第二十一号がその扱いを総務省令(規則)に委ねています。
自分の扱う物品を片方の性質だけで決めつける前に、この委任規定があることを知っておく必要があります。
うちの倉庫にも、性質が二つある薬品があるかもしれません。
まずは性状試験の結果を確認しましょう。
片方だけで判断すると危険です。
どんな性状の組み合わせが対象になるのか

対象になるのは次の五つのパターンです。
酸化性固体・可燃性固体・自然発火性物質及び禁水性物質・引火性液体・自己反応性物質という五つの性質のうち、隣り合う性質どうしの組み合わせだけが列挙されています。
ここに載っていない組み合わせの物品であれば、この条文の対象にはなりません。
まずは自分の物品がこの五パターンのどれかに当てはまるかどうかを確認することが出発点です。
五つのうちどれに当たるかは、自分で判断していいんですか。
性状試験のデータをもとに判断します。
迷ったら試験結果を確認してください。
組み合わせごとにどの品名として扱われるのか

振り分け先はあらかじめ条文で決まっています。
可燃性固体と自然発火性・禁水性の組み合わせ、自然発火性・禁水性と引火性液体の組み合わせは第三類(自然発火性物質及び禁水性物質)の品名になります。
酸化性固体と自己反応性、引火性液体と自己反応性の組み合わせは第五類(自己反応性物質)の品名です。
いずれも「前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの」という号に落ち着く点が共通しています。
結局、可燃性固体としても酸化性固体としても扱われるということですか。
いいえ、どちらか一方の品名だけに決まります。
両方の基準が同時にかかるわけではありません。
品名の判定を誤るとなにが変わるのか

同じ号の中でも、扱いが分かれる場合があります。
複数性状物品が第二類第八号や第三類第十二号、第五類第十一号に落ち着いたとしても、含有している具体的な物品が異なれば指定数量の倍数を計算するときは別の危険物として数えます。
「同じ号だからまとめて計算してよい」と思い込むと、指定数量の倍数を少なく見積もってしまう落とし穴があります。
性状の判定だけでなく、含有する具体的な物品名まで確認しておく必要があります。
号が同じなら、まとめて一つの品名として計算していいと思っていました。
含有する物品が違えば別の品名扱いです。
倍数の計算は分けて確認してください。
明日からなにを確認すればよいのか

思い込みで進めず、手順を踏んで確かめましょう。
- 扱う物品の性状試験の結果を確認し、複数の性状に当てはまらないか洗い出す
- 該当する場合は規則第一条の四の五つの組み合わせのどれに当たるかを確認する
- 含有している具体的な物品名まで確認し、他の危険物と安易に合算しない
- 品名が変わることで指定数量の倍数や施設区分が変わっていないかを見直す
今日中に自社の薬品リストを性状試験結果と照らし合わせてみます。
成分表と試験結果の両方を確認してください。
含有物質まで見るのがポイントです。
よくある質問
まとめ
今日中に自社の薬品リストを性状試験結果と照らし合わせてみます!
品名の判定は許可の内容そのものに関わります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法別表第一備考第二十一号
- 消防法第十一条の四第二項
- 危険物の規制に関する規則第一条の四
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





