屋外貯蔵タンクの上部には、液面と屋根のあいだにわずかな空間があります。
気温の変化でこの空間の圧力が変わったとき、その変化を外へ逃がす設備が通気管です。
消防法令は無弁通気管と大気弁付通気管という二種類の構造を定め、屋外・屋内・地下・簡易貯蔵タンクのそれぞれで基準を分けています。
この記事では危険物の規制に関する規則第二十条が定める通気管の構造基準と、実務で見落としやすい地下タンクの点検口の要件を解説します。
うちの屋外タンクにも細い管が立っているんですが。
あれは何のための設備なんでしょうか。
それは通気管ですね。
タンク内の圧力変化を外へ逃がす大事な設備です。
タンクによって管の形が違うと聞いたことがあります。
基準は決まっているんですか。
通気管には無弁通気管と大気弁付通気管の二種類があります。
今日はその基準と、見落としやすい点検の視点を説明しますね。
- 屋外貯蔵タンクの通気管は無弁通気管と大気弁付通気管の二種類のいずれかの構造基準を満たす必要がある
- 屋外・屋内・地下・簡易貯蔵タンクではそれぞれ先端の高さや離隔距離の基準が異なる
- 無弁通気管の先端には細目の銅網等による引火防止装置を設けるのが原則
- 地下貯蔵タンクの通気管は接合部分の損傷を点検できる措置を講じなければならない
- 高引火点危険物を百度未満で扱うタンクには引火防止装置等を省略できる特例がある
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目次
通気管はなぜ屋外貯蔵タンクに欠かせないのか

液面の上には気化した蒸気とわずかな空気の層があり、気温の変化でこの層の圧力が変わります。
通気管が無いと、内部の圧力変化がタンク本体にそのままかかり、変形や損傷につながるおそれがあります。
政令第十一条第一項第八号は屋外貯蔵タンク、同令第十二条第一項第七号は屋内貯蔵タンク、同令第十三条第一項第八号は地下貯蔵タンク、同令第十四条第八号は簡易貯蔵タンクについて、それぞれ通気管の設置を求めています。
具体的な構造は、これらの委任を受けた総務省令=危険物の規制に関する規則第二十条が定めています。
圧力タンクなら通気管は要らないんですか。
圧力タンクは安全装置で対応します。
次は通気管そのものの種類を見てみましょう。
無弁通気管と大気弁付通気管はどこが違うのか

常に開いている無弁通気管と、圧力差でだけ開く大気弁付通気管です。
無弁通気管は直径三十ミリメートル以上とし、先端を水平より下に四十五度以上曲げて雨水の浸入を防ぐ構造にします。
先端には細目の銅網等による引火防止装置が原則必要ですが、高引火点危険物を百度未満で貯蔵するタンクに限り、この装置を省略できます。
大気弁付通気管は五キロパスカル以下の圧力差で作動する弁を備え、引火防止装置の基準は無弁通気管と共通です。
銅網の装置は全部のタンクに必要なんですか。
高引火点危険物を百度未満で扱うタンクは例外です。
それ以外は原則として必要になります。
屋内タンクと地下タンクでは通気管の基準がどう変わるのか

規則第二十条は、タンクの設置場所ごとに先端の位置や取り付け方を別に定めています。
屋内貯蔵タンクの通気管は、先端を地上四メートル以上とし、窓や出入口等の開口部から一メートル以上離します。
引火点が四十度未満の危険物では、さらに敷地境界線から一・五メートル以上離す必要があります。
地下貯蔵タンクの通気管はタンクの頂部に取り付け、蒸気回収弁を設ける場合は十キロパスカル以下で開放する構造にします。
屋内タンクの通気管はなぜ窓から離すんですか。
放出される蒸気が室内へ流れ込むのを防ぐためです。
次は地下タンクで見落としやすい点を見ましょう。
地下タンクの通気管になぜ点検口が必要なのか

規則はこの区間について、点検ができる措置を講じることを求めています。
溶接など漏えいのおそれが無いと認められる方法で接合された部分は対象から除かれますが、それ以外の接合部分には点検できる措置が必要です。
埋め戻したあとに点検口を作り忘れると、接合部分の劣化を地上から確認する手段が無くなります。
工事の段階で点検の動線を確保しておくことが、地下タンクならではの注意点です。
うちの地下タンクの通気管、点検口があったか思い出せません。
設置時の図面や施工記録で確認できます。
不明なら点検業者に相談してみましょう。
明日から通気管の何を確認すればよいのか

自分の施設の通気管がどの区分に当たるかを、まず整理しましょう。
- 自分のタンクが無弁通気管と大気弁付通気管のどちらの構造かを確認する
- 先端の曲がりや引火防止装置に詰まり・腐食が無いかを目視で確認する
- 屋内タンクは開口部や敷地境界線からの距離が確保されたままかを確認する
- 地下タンクは接合部分の点検口の位置と状態を図面と照らし合わせて確認する
まず先端の引火防止装置から見てみます。
地下タンクの点検口もあわせて確認しましょう。
よくある質問
まとめ
うちの通気管の先端も詰まりが無いか見てみます!
地下タンクの点検口もあわせて確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十一条・第十二条・第十三条・第十四条
- 危険物の規制に関する規則第二十条
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





