危険物を扱う製造所や貯蔵所、取扱所には、消防法第十三条第一項に基づいて危険物保安監督者を選任する義務があります。
ところが政令第三十一条の二は、この原則の対象から外れる六つの類型を定めています。
六つの類型は貯蔵タンク系、屋外・移動タンク系、販売取扱所、一般取扱所の四つのグループに分かれ、いずれも危険物の量と引火点で線引きされています。
この記事では政令第三十一条の二が定める六つの類型と、それぞれの条件を解説します
危険物を扱う施設には、必ず保安監督者を置かないといけないと思っていました。
実は政令が定める六つの類型に当てはまれば不要です。
条件は施設ごとに違います。
うちの施設が当てはまらないか気になります。
四つのグループに分けて順番に確認していきましょう。
- 危険物保安監督者は原則すべての製造所等に必要だが、政令第三十一条の二が定める六つの類型だけは対象から外れる
- 屋内貯蔵所・地下タンク貯蔵所と屋内タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所は、引火点四十度以上の第四類の危険物のみという条件が共通する
- 移動タンク貯蔵所は無条件で対象外、屋外貯蔵所は指定数量の倍数三十以下だけが条件になる
- 第一種・第二種販売取扱所は、引火点四十度以上の第四類の危険物のみを取り扱うことだけが条件になる
- 一般取扱所はボイラー消費または容器詰替えの用途に限り、指定数量の倍数三十以下かつ引火点四十度以上の第四類のみという条件が加わる
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目次
危険物保安監督者はなぜ原則すべての施設に必要なのか

危険物を扱う製造所や貯蔵所、取扱所には、保安の監督にあたる責任者を置くことが求められています。
消防法第十三条第一項が、この選任義務の根拠です。
危険物保安監督者は、甲種または乙種の危険物取扱者で実務経験六月以上の者から選ばなければなりません。
政令第三十一条の二は、この原則の対象から外れる六つの類型を定めています。
六つの類型は、屋内貯蔵所・屋内タンク貯蔵所のグループ、移動タンク貯蔵所・屋外貯蔵所のグループ、販売取扱所のグループ、一般取扱所のグループの四つに分かれます。
いずれも危険物の量(指定数量の倍数)や引火点による線引きが条件になっています。
自分の施設がどの類型に当てはまるか、順番に確認していきましょう。
うちの施設も保安監督者が要らないことがあるのでしょうか。
六つの類型のどれかに当てはまれば不要です。
順番に見ていきましょう。
屋内貯蔵所や屋内タンク貯蔵所はどんな条件なら不要になるのか

屋内貯蔵所や地下タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所は、貯蔵する危険物の性質によって扱いが変わります。
政令第三十一条の二第一号・第二号が、この四つの施設の条件を定めています。
四つの施設に共通するのは、引火点四十度以上の第四類の危険物のみという条件です。
そのうえで屋内貯蔵所・地下タンク貯蔵所には、指定数量の倍数三十以下という量の条件が加わります。
屋内タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所には、この倍数の条件は書かれていません。
同じ「引火点四十度以上の第四類のみ」でも、施設の種類によって条件の数が違う点に注意が必要です。
ガソリンや軽油だけを扱っていても、灯油以外の第四類危険物を混ぜて貯蔵していないか確認しておきましょう。
うちは灯油だけを屋内タンクで貯蔵しています。
それなら不要でしょうか。
灯油だけなら引火点四十度以上の第四類に該当します。
他の危険物が混ざっていないかも確認しましょう。
移動タンク貯蔵所や屋外貯蔵所はどこまで不要になるのか

移動タンク貯蔵所と屋外貯蔵所は、前段の屋内貯蔵所グループとは条件の作りが異なります。
政令第三十一条の二第三号・第四号を確認しましょう。
移動タンク貯蔵所は、危険物の種類や数量を問わず対象から外れます。
第三号には引火点や品名についての限定が一切ありません。
一方の屋外貯蔵所は、指定数量の倍数三十以下という量の条件だけが定められています。
屋外貯蔵所には、前段の屋内貯蔵所グループにあった引火点四十度以上の第四類という品名の限定はありません。
同じ「対象から外れる」施設でも、条件の有無や中身が施設ごとに違う点を見落とさないようにしましょう。
移動タンク貯蔵所には条件が何もないのですね。
そのとおり無条件で対象外です。
屋外貯蔵所は倍数だけ確認しましょう。
販売取扱所はどんな条件なら不要になるのか

塗料店や薬局のように、容器のまま危険物を販売する施設が販売取扱所です。
政令第三十一条の二第五号が、この施設の条件を定めています。
第一種・第二種販売取扱所は、引火点四十度以上の第四類の危険物のみという条件だけで対象から外れます。
ここまでの屋内貯蔵所等と違い、指定数量の倍数についての条件は書かれていません。
販売取扱所はもともと第一種・第二種のいずれも指定数量の倍数の上限が定められた施設であるため、この号ではあらためて倍数を定めていないと読めます。
扱う危険物の品名を一つずつ確認し、引火点四十度未満のものが混ざっていないかを見ておきましょう。
灯油や重油の専門店であれば、多くの場合この号に当てはまります。
販売取扱所には量の条件が無いのは意外でした。
引火点だけを確認すればよい号です。
品名を一つずつ見ておきましょう。
ボイラー消費や容器詰替えの一般取扱所はどこまで不要になるのか

一般取扱所は用途がさまざまなので、対象から外れる条件も他の施設より細かく定められています。
政令第三十一条の二第六号を確認しましょう。
一般取扱所が対象から外れるのは、用途がボイラー消費または容器詰替えに限られる場合だけです。
そのうえで指定数量の倍数三十以下と引火点四十度以上の第四類の危険物のみという二つの条件が、共通してかかります。
イとロのどちらにも当てはまらない用途の一般取扱所は、この号の対象になりません。
たとえば燃料を他の施設へ送る供給施設は、消費や詰替えそのものではないため、この号には当てはまらないとされた事例があります。
自分の施設の用途が、消費と詰替えのどちらかに厳密に当てはまるかを確認しておきましょう。
燃料を他の設備に送る施設は当てはまらないのですね。
消費と詰替えだけに限られる号です。
用途を厳密に見ておきましょう。
よくある質問
まとめ
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
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条件は施設ごとに組み合わせが違います。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十三条第一項
- 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第三十一条の二
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





