灯油や軽油をお客様自身に容器へ詰め替えさせるセルフ式の設備は、通常の給油とは別の基準が定められています。
ノズルを開いたまま固定できない構造や、満量になれば自動的に止まる仕組みなど、事故を防ぐための条件が細かく決まっています。
あわせて、固定給油設備や固定注油設備が自動車と衝突したり、地震で転倒したりしたときの対策も義務づけられています。
この記事では、顧客用固定注油設備に求められる構造基準と、衝突・転倒時の危険物漏えい防止措置を順番に整理します。
うちのスタンドも灯油をセルフで詰め替えられる機械を置いているのですが、普通の給油ノズルと同じでいいのでしょうか。
いいえ、注油設備専用の構造基準があります。
衝突や地震のときの対策も別に決まっているんですか。
はい、転倒時の漏えい防止まで義務づけられています。
- 顧客に自ら灯油や軽油を詰め替えさせる注油設備には、規則第二十八条の二の五第三号の構造基準が適用されます。
- 注油ノズルの手動開閉装置は、開放状態で固定できない構造にしなければなりません。
- 容器が満量になれば自動的に注入を停止する構造にするとともに、地震時には危険物の供給を自動的に停止する構造も必要です。
- 固定給油設備・固定注油設備・簡易タンクには、自動車等の衝突を防止するための措置を講じなければなりません。
- 設備が転倒した場合に備え、配管からの危険物の漏えいが拡散しないための措置も義務づけられています。
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目次
顧客に自ら灯油や軽油を詰め替えさせる設備には何が求められるか

給油とは別に、注油という区分で独自の基準が設けられています。
ガソリンなどをセルフで給油する固定給油設備とは、条文上も別の設備として扱われています。
根拠となるのは政令第十七条第五項で、顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所に対して総務省令で特例基準を定められると規定しています。
その特例のひとつとして、規則第二十八条の二の五第三号が注油設備専用の構造基準を置いています。
次の項目から、その構造基準の中身を確認します。
灯油の詰め替え機もガソリンの給油機と同じ扱いだと思っていました。
いいえ、注油設備専用の基準があります。
注油ノズルの開閉装置と満量停止はどう決まっているか

給油ノズルと共通する部分もありますが、詳しく見ていきます。
イでは、開放状態のままレバーを固定する装置を禁止しています。
常に手動開閉装置を握り続けなければ注油できない仕組みにする趣旨です。
ロでは、容器が満量になった時点で危険物の注入を自動的に停止する構造も求めています。
あふれるおそれのある詰め替え作業を、機械側の構造でも止められるようにしています。
レバーを固定できる金具を付けてはいけないんですか。
はい、開放状態での固定は禁止されています。
一回あたりの注油量の上限と地震時の停止はどう定められているか

どちらも構造として備えておかなければならない基準です。
ハの規定により、注油設備そのものに上限設定機能を備えなければなりません。
実際にどの数値を設定するかは、別の運用基準(規則第四十条の三の十)で顧客ごとの利用量を勘案して決めます。
ニでは、地震が発生した際にホース機器への危険物の供給を自動的に停止する構造も義務づけています。
揺れを感知して止める仕組みまで、詰め替え機の構造として組み込む必要があります。
上限の数値は自分たちで決めていいんですか。
構造上は設定できればよく、具体的な数値は別の基準で決めます。
固定給油設備や固定注油設備の衝突防止はどこまで求められるか

灯油や軽油の注油設備だけでなく、給油設備や簡易タンクにも共通する基準です。
顧客自身が車を運転して設備に近づくため、操作に不慣れな利用者を想定した基準になっています。
具体的な措置は条文に例示されておらず、ガードパイプや車止めなどで衝突のおそれを防ぐ運用が一般的です。
ただし書きにより、顧客の車が衝突するおそれのない場所に設置される場合は、この措置を省略できます。
自分の設備がどちらに当たるか、配置図で確認しておくことが大切です。
うちの注油機は建物の壁際にあるので、ガードは要らないということですか。
衝突のおそれがない配置かどうかがポイントです。
転倒したときの危険物の漏えいはどう防ぐのか

衝突防止の措置と対になって定められている基準です。
衝突防止(イ)が「倒れさせない」措置なのに対し、ロは「倒れたときに広げない」措置です。
ポンプ機器とホース機器が分離して設置されている場合は、ホース機器側を基準に判断します。
配管や接続配管からの漏えいを止める緊急遮断弁などが、この措置にあたります。
衝突防止とあわせて確認することで、二段構えの安全対策になります。
転倒そのものを防げていれば、この措置は不要になりますか。
いいえ、両方とも別々に満たす必要があります。
よくある質問
まとめ
灯油や軽油のセルフ注油機にも、専用の基準があるんですね。
今度うちの設備を見直してみます。
ぜひ、ノズルと衝突防止の両方を確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十七条第五項(顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所の特例)
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の二の五第三号・第四号(顧客用固定注油設備の構造、衝突防止・転倒時の漏えい拡散防止措置)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





