満タンのタンクローリーが急ブレーキをかけると、内部の危険物は前後に大きく揺れ動きます。
この揺れが車体の傾きや転倒事故につながらないよう、政令はタンクの内部に仕切り板を設けることを義務づけています。
ところがこの防波板、設置条件や配置の基準を細かく知らないまま点検していると意外な見落としにつながります。
この記事では移動タンク貯蔵所の防波板について、政令と規則が定める設置基準を解説します
うちのタンクローリーにも防波板って付いているんでしょうか。
容量によりますが、二千リットル以上のタンク室には必須ですよ。
まずは政令第十五条の基準から見ていきましょう。
防波板がどんな役割を持つものか、恥ずかしながら知りませんでした。
液体の動揺を抑えて転倒を防ぐ大事な部品です。
設置条件を順番に確認していきましょう。
- 移動タンク貯蔵所には政令第十五条第一項第四号により防波板の設置が義務づけられている
- 防波板が必要になるのは容量二千リットル以上のタンク室で、規則第二十四条の二の九が細目を定める
- 防波板はタンク室内の二箇所に、高さや間隔を変えて設けなければならない
- 防波板一箇所あたりの面積はタンク室の最大断面積の五十パーセント以上必要になる
- 貯蔵する危険物の動揺により容易に湾曲しない構造であることも欠かせない
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目次
移動タンク貯蔵所になぜ防波板が必要なのか

この揺れを抑えるために、政令は防波板という仕切り板の設置を義務づけています。
移動貯蔵タンクの内部を四千リットル以下ごとに区切る間仕切りとは別に、揺れそのものを吸収する目的で設けられます。
材質は厚さ一・六ミリメートル以上の鋼板、またはこれと同等以上の機械的性質を有する材料と定められています。
間仕切りと防波板は役割が異なるため、点検の際にどちらを確認しているのか混同しないようにしましょう。
急ブレーキや急カーブの多い運行経路ほど、防波板の状態が事故防止の要になります。
うちの車両にも防波板が入っているはずですが、意識したことがありませんでした。
目立たない部品ですが、揺れを抑える重要な役割を持っていますよ。
次はどんなタンクに必要かを見てみましょう。
どんなタンクに防波板が必要なのか

規則は容量を基準に、設置が必要なタンク室の範囲を定めています。
タンク室の容量がこれ未満であれば、揺れの影響が小さいとみなされ防波板は不要です。
一方、二千リットル以上のタンク室では例外なく設置が義務になります。
容量の数え方はタンク全体ではなく、間仕切りで区切られた一室ごとの容量である点に注意が必要です。
点検の際は、車検証や設計図でタンク室ごとの容量を確認しておくと判断がスムーズです。
うちの車両は複数の間仕切りがありますが、全部の部屋に防波板が必要ですか。
一室ずつの容量で判断します。
二千リットル未満の部屋には不要ですよ。
防波板はどこにどれだけの面積で設けるのか

規則は設置数・位置・面積の三点を細かく定めています。
同じ位置に並べてしまうと揺れを吸収しきれないため、高さまたは間仕切りからの距離を変えることが求められます。
面積は一箇所あたりタンク室の断面積の五十パーセント以上が原則です。
断面が円形、または短径一メートル以下のだ円形であれば四十パーセント以上まで緩和されます。
図面上の配置だけでなく、実車で高さと面積を実測して確認することが確実です。
二箇所に分けるのは知っていましたが、高さも変えるのは初耳です。
同じ高さだと効果が偏ってしまうんです。
面積の割合も忘れずに確認してくださいね。
見落としやすいのはどこか

実際に揺れに耐えられる構造かどうかも、規則が明確に求めています。
面積や設置数の基準を満たしていても、板自体が薄く強度不足であれば要件を満たしません。
経年劣化で腐食や変形が進むと、この構造要件から外れるおそれがあります。
また防波板と間仕切り(政令第十五条第一項第三号)は別の部材であり、点検表で取り違えないようにする必要があります。
定期点検では面積や位置だけでなく、板の強度や腐食の有無まで確認しましょう。
防波板って、板を入れておけばそれで基準を満たすと思っていました。
強度が足りないと意味がないんです。
間仕切りと取り違えないことも大事ですよ。
明日からなにを確認すればよいのか

車両ごとに図面と実車を突き合わせておきましょう。 点検ではまずタンク室ごとの容量を確認しましょう。
二千リットル以上であれば、防波板の有無と位置を必ずチェックします。
次に一箇所あたりの面積が五十パーセント以上(例外は四十パーセント以上)あるかを図面と実測で突き合わせます。
最後に板自体の腐食や変形の有無を確認し、動揺に耐える強度が保たれているかを見ます。
この四点を押さえておけば、防波板に関する見落としはほぼ防げます。
点検のときに何を見ればいいか、順番がはっきりしました。
容量・位置・面積・強度の四点です。
次の点検からぜひ確認してみてください。
よくある質問
まとめ
うちの防波板、次の点検でしっかり確認してみます!
判断に迷ったら、プロへの相談も検討してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令 第十五条(e-Gov法令検索)
- 危険物の規制に関する規則 第二十四条の二の九(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





