給油取扱所は、営業している時間帯だけ危険物の取扱いに気を配ればよいわけではありません。
シャッターを閉めて従業員が帰ったあとの時間帯にも、消防法令は独立した基準を置いています。
固定給油設備やタンクの注入口をそのままにしておくと、部外者による誤操作や事故につながるおそれがあります。
この記事では危険物の規制に関する規則第四十条の三の六の二が定める営業時間外の措置を解説します
うちのスタンドも夜間は無人になりますが、閉店後まで基準があるんですか。
はい、係員が不在の時間帯にも講じるべき措置が定められていますよ。
営業中の基準しか意識していませんでした。
まずは根拠となる規則の全体像から確認していきましょう。
対象になる施設も限られているので、そこも押さえておきます。
- 給油取扱所には、営業していない時間帯の立入りと操作を制限する独自の基準がある
- 対象となる規定は危険物の規制に関する規則第四十条の三の六の二である
- この基準は通常の有人給油取扱所が対象で、航空機給油取扱所等と顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所は除かれる
- 固定給油設備やタンク注入口の周囲には係員以外の者を近寄らせない措置が必要
- 号三の「前二号に定めるもののほか」の規定は、明示されていない設備にも及ぶ
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目次
給油取扱所はなぜ営業していない時間にも基準があるのか

営業が終わったあとの時間帯についても、独立した基準が置かれています。
政令はまず、係員がいない時間帯は係員以外を出入させないことを原則として求めています。
ただし書きにある「総務省令で定める措置」を講じれば、この原則そのままではなく具体的な代替措置に置き換えられます。
その代替措置の中身を定めているのが、危険物の規制に関する規則第四十条の三の六の二です。
まずはこの規定がどの給油取扱所に適用されるのかを見ていきましょう。
うちは普通の有人スタンドですが、この基準はうちにも関係ありますか。
そこは対象になる施設の範囲を確認する必要がありますね。
どの給油取扱所にこの基準が適用されるのか

政令の条文には、明確に対象から除かれる施設が書かれています。
航空機給油取扱所・船舶給油取扱所・鉄道給油取扱所といった特殊な形態は、そもそもこの号の対象から除かれています。
顧客に自ら給油等をさせるセルフスタンドも同様に除かれており、こちらは別の監視体制の基準が適用されます。
自分の施設がどちらの類型に当たるかを、まず確認しておく必要があります。
判断に迷う場合は、許可申請時の区分を許可証や台帳で確認するのが確実です。
セルフのスタンドは別の基準で監視しているから、この規定からは外れているんですね。
そのとおりです。
施設の種類によって適用される基準が変わる点に注意してください。
具体的にどんな措置を講じる必要があるのか

「近寄らせない」ことと「操作させない」ことです。
号一は、固定給油設備や専用タンクの注入口など危険物を取り扱う箇所の周囲そのものに人を近づけない措置を求めます。
号二は、ポンプや制御卓など操作できてしまう設備そのものにみだりな操作をさせない措置を求めます。
実務では、フェンスや施錠に加えて、制御卓の電源遮断やロックといった対策が組み合わされます。
どちらか一方だけでは基準を満たさない点に注意が必要です。
フェンスで囲むだけじゃなく、機械の操作も止めないといけないんですね。
はい。
場所と設備の両方に対策が必要です。
号三の前二号に定めるもののほかとは何を指すのか

号三に、見落とされがちな包括的な規定が置かれています。
給油取扱所には、洗車機やタイヤの空気入れなど、号一・号二の列挙に出てこない設備もあります。
こうした設備であっても、係員以外の利用を禁止している箇所であれば、号三によって近寄らせない措置が必要になります。
「条文に名前が挙がっていないから対象外」と判断するのは早計です。
自分の施設にある設備を一つずつ洗い出し、係員以外の利用を禁止すべきものが漏れていないか確認しましょう。
洗車機みたいに条文に名前が出てこない設備も、対象になることがあるんですね。
はい。
号三のような包括規定は見落としやすいので注意してください。
明日からなにを確認すればよいのか

定期的に実施状況を確認する仕組みが欠かせません。
- 閉店後に固定給油設備・専用タンク注入口周辺の施錠状況を確認する
- 制御卓の電源遮断やロックが確実に機能しているか点検する
- 洗車機など号三に該当しうる設備の立入禁止措置を洗い出す
閉店作業のたびに、フェンスや施錠の状態を目視で確認する習慣をつけましょう。
制御卓については、電源遮断やロックが確実に機能しているかも定期的に点検してください。
洗車機や空気入れのような周辺設備も、係員以外の利用を禁止すべきかどうかを一度整理しておくと安心です。
判断に迷う設備があれば、自己判断せず所轄消防署へ確認することをおすすめします。
つまり、閉店作業のたびにチェックリストで確認すればいいんですね。
そのとおりです。
迷ったら所轄消防署に相談してください。
よくある質問
まとめ
営業時間外の立入り制限、うちの店舗でもチェックリストを作ってみます。
対策に迷ったら、いつでもプロにご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令 第二十七条第六項第一号(e-Gov法令検索)
- 危険物の規制に関する規則 第四十条の三の六の二(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





