地下街を新しく作ったり、今ある建物の地下と地下街をつなげたりするとき、いったいどこの許可を取ればよいのでしょうか。
実はこの手続き、平成13年を境に大きく姿を変えています。
かつては国が一つの会議体で全国の地下街を審査していましたが、今はその仕組み自体が廃止されました。
この記事では、廃止された制度の中身と、今も消防庁が求め続けている3つの対応を解説します。
うちが管理してるビルの地下、近くの地下街とつながる工事をするみたいなんです。
これって消防に何か届け出がいるんでしょうか。
実は地下街に関する国の許可の仕組みは、平成13年に廃止されているんです。
今は自治体ごとの判断に変わっています。
廃止されたということは、規制がなくなったということですか。
いいえ、なくなったのは国の一元審査だけです。
消防法令や条例を守る義務はそのまま続いていますよ。
- 地下街の防火対策はかつて建設省・消防庁・警察庁など複数省庁が共同で許認可を行う国の仕組みでした
- 平成13年の地方分権改革により、この国の許認可の枠組みは全て廃止されました
- 廃止後も消防庁は自治体に3つの対応を求め続けています
- 通達の廃止は規制緩和を意味せず、消防法令と条例の遵守義務はそのまま残ります
- 地下街に関わるときは、所轄消防署への早期の相談が欠かせません
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目次
地下街の防火対策はなぜ国の許認可から自治体の裁量に変わったのか

その転機になったのが、平成11年に成立した法律でした。
昭和48年、建設省・消防庁・警察庁・当時の運輸省が共同で「地下街の取扱いについて」を定め、地下街中央連絡協議会という国の会議体が全国の地下街の新設・増設を一件ずつ審査していました。
ところが平成11年の地方分権一括法により、都道府県や市町村が国の代わりに事務を行う「機関委任事務」という仕組みそのものが廃止されました。
これを受けて平成13年、地下街に関する一連の通達は全て廃止され、国による一元審査の枠組みは幕を閉じました。
まず押さえておきたいのは、この廃止が地下街の安全対策そのものをやめる話ではなく、審査の仕組みを作り直す話だったという点です。
うちのビルの近くに地下街があるんですが、今どこの許可を取ればいいのか分からなくて。
以前は国の会議体が全部審査していたんですが、平成13年にその仕組みごと廃止されているんです。
廃止された地下街の通達と協議会はどんな仕組みだったのか

昭和48年から積み重ねられてきた10本近い通達が、まとめて役目を終えました。
建設省・消防庁・警察庁・運輸省・資源エネルギー庁の5省庁で構成する地下街中央連絡協議会が、「地下街に関する基本方針」や「他の建築物の地下階との接続の取扱い」など複数の通達を運用していました。
静岡駅前で起きたガス爆発事故(昭和55年)をきっかけに、ガス保安対策や準地下街への規制強化も、この協議会の枠組みの中で進められてきました。
これらが平成13年、機関委任事務の廃止に伴ってまとめて廃止され、協議会そのものも解散しています。
つまり地下街を巡る半世紀近い国の審査の歴史が、この年に一区切りついたということです。
協議会が無くなったなら、地下街の新設は今どこに聞けばいいんですか。
基本的には所轄の消防署と、都市計画を担当する自治体の窓口になります。
廃止後も消防庁が求め続ける対応とは何か

廃止と同じ日付で、もう1本の通知が出され、今も生きています。
求めている対応は大きく3つです。
第一に各自治体が引き続き防火・安全対策に配慮すること、第二に新設や増設の際に関係機関との事前調整を行うこと、第三に地下街ごとの実状に合わせた総合消防防災システムの構築を進めることです。
特に3つ目は、これまで大規模な地下街だけの取り組みと見られがちでしたが、小規模な地下街についても積極的な構築が呼びかけられています。
号令をかける相手を個々の自治体に変えただけで、目指す安全水準は下げていないという姿勢が読み取れます。
じゃあ結局、何をどこまでやればいいのか分かりにくいですね。
所轄消防に相談すれば、自治体独自の要綱があるかどうかを教えてもらえますよ。
通達の廃止を規制緩和と勘違いしていないか

しかしここには見落としがちな落とし穴があります。
消防法や消防法施行令別表第一(16の2)項による地下街の位置づけ、火災予防条例の規定は、通達の廃止後も一切変わっていません。
むしろ注意したいのは、条文上の地下街が「連続して地下道に面する店舗等」を指すため、単独の建物の地下階でも、地下道でつながる別の建物と合わせて地下街とみなされるケースがあることです。
かつての通達では、こうした「地下街類似のもの」の新設や増設も厳しく抑制する方針が示されていました。
自分のビルは地下街ではないと思っていても、地下通路で近くの建物とつながった時点で規制の対象になり得ると考えておく必要があります。
うちのビルは地下街の中じゃないから関係ないと思っていました。
地下道で隣のビルとつながっていると、地下街と同じ扱いになることがあるので確認が必要ですよ。
地下街に関わるときはなにを確認すればよいか

確認すべき窓口は、思っているよりシンプルです。
確認したいのは、自治体独自の地下街整備に関する要綱の有無、建築・都市計画・警察・ガス事業者など関係機関との事前調整の窓口、既存の地下街であれば総合消防防災システムへの参加状況の3点です。
新設や増設でなくても、既存の地下街と地下道でつながる工事を計画する段階で、早めに相談しておくと手戻りを防げます。
自治体によって要綱の有無や運用は異なるため、近隣の他の地下街の事例を参考にするのも有効です。
国の許認可が無くなった今だからこそ、地元の消防署との関係づくりが安全対策の出発点になります。
まずは消防署に相談してみます。
それが一番の近道です。
図面を持っていくとスムーズですよ。
よくある質問
まとめ
地下街の防火対策がこんなに変わっていたなんて知りませんでした。
これからは早めに消防署に相談します!
地下街に関わる工事や増改築のご相談もお気軽にどうぞ。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 地方分権に伴う地下街関連通達の廃止について(平成13年6月1日 国都計第92号・消防予第179号・警察庁乙備発第3号ほか)
- 地下街中央連絡協議会の廃止及び地下街関連通達の廃止について(平成13年6月1日 国都計第93号)
- 地下街の取扱いについて(平成13年6月1日 消防予第179号 消防庁予防課長通知)
- 消防法第8条の2第1項(地下街の定義)
- 消防法施行令別表第一(16の2)項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





