BLOG

わら類や木くずをまとめて置くとなぜ面積で区切るのか|集積単位の距離基準と石炭や木炭類の例外を解説

作業着姿の点検員がわら類の集積単位の間の距離を巻尺で測っているイメージ

古紙や木くず、わら類などの指定可燃物は、少しの量なら気にせず積み上げてしまいがちです。
しかし基準量を超えてまとめて置く(集積する)場合には、面積で区切る基準がかかります。
区切った一つひとつの塊(集積単位)の間には、決められた距離を保たなければなりません。
火災予防条例(例)が定める、綿花類等を集積するときの面積と距離の基準をわかりやすく解説します

倉庫のわらや古紙は、届出さえしておけば量が多くても大丈夫ですよね。

いえ、基準量を超えてまとめて置くと面積で区切る基準がかかります。

区切るというのは、具体的にどうすればいいんですか。

一つの塊を面積で区分し、塊同士の間に距離を保ちます。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 廃棄物固形化燃料等及び合成樹脂類以外の指定可燃物をまとめて置くときは、一集積単位の面積を区分しなければなりません
  • 対象になるのは、わら製品・木毛及びかんなくず・ぼろ及び紙くず・糸類・わら類・再生資源燃料・石炭及び木炭類・木材加工品及び木くずです。
  • 区分した集積単位の相互間には、面積に応じた距離を保たなければなりません。
  • 石炭・木炭類等は、温度計等による監視と散水設備等の設置があれば距離の規定によらないことがあります
  • 対象になる品目と基準数量は、危険物の規制に関する政令別表第四で確認できます。

指定可燃物は面積で区分距離を確保温度で監視点検で確認という集積の基準を示した図解

指定可燃物をまとめて置くとなぜ面積で区切る基準があるのか

区画線で区切られた倉庫内の指定可燃物の集積
指定可燃物を一か所にまとめて置くことを「集積」といいます。
集積する量が増えるほど、火災が広がったときの被害も大きくなります。
火災予防条例(例)第三十四条第二項 綿花類等を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備は、次の各号に掲げる技術上の基準によらなければならない。二 綿花類等のうち廃棄物固形化燃料等及び合成樹脂類(略)以外のものを集積する場合には、一集積単位の面積が二百平方メートル以下になるように区分するとともに、集積単位相互間に次の表に掲げる距離を保つこと。(略)
結論は、集積する量が増えるほど一つの塊を小さく区切る必要があるということです
条文が定める境目は、一集積単位の面積が二百平方メートルを超えるかどうかです。
面積の区分は、火が一つの塊から隣の塊へ燃え広がる速さを抑える狙いがあります。
区分した塊の間には、あとで見る距離の基準も別に定められています。
自分の倉庫や作業場にある集積が、この面積の区分を超えていないかがまず出発点です。

面積で区切るなんて、今まで意識したことがありませんでした。

一度、積んである塊の面積を測ってみてください。
次から対象になる品目を見ていきます。

どの品目がこの集積基準の対象になるのか

石炭や木くずの山と合成樹脂類の梱包を並べた倉庫
対象になる品目は、指定可燃物のうち合成樹脂類と廃棄物固形化燃料等を除いたものです。
まずは自分の施設にある物品がどの品目に当たるかを確認します。
危険物の規制に関する政令別表第四(第一条の十二関係) 品名 綿花類(二百キログラム) 木毛及びかんなくず(四百キログラム) ぼろ及び紙くず(千キログラム) 糸類(千キログラム) わら類(千キログラム) 再生資源燃料(千キログラム) 石炭・木炭類(一万キログラム) 木材加工品及び木くず(十立方メートル)(略)
結論は、合成樹脂類と廃棄物固形化燃料等以外の指定可燃物がまとめて対象になるということです
綿花類・木毛及びかんなくず・ぼろ及び紙くず・糸類・わら類・再生資源燃料・石炭及び木炭類・木材加工品及び木くずが該当します。
合成樹脂類は別の号で集積単位の面積が五百平方メートルまで認められ、区画の基準も異なります。
廃棄物固形化燃料等は水分や温度の管理を求める号が別に定められています。
自分が扱う品目が、面積の区分と発熱の管理のどちらの号に当たるかを取り違えないことが大切です。

うちは古紙とわら類だけなので、この基準がそのまま当てはまるんですね。

そのとおりです。
合成樹脂類が混ざっていないかだけ確認してください。

集積単位相互にどれだけ距離を保つのか

間隔をあけて並ぶ二つの集積単位
面積で区分した塊同士は、離しておけばよいわけではなく距離にも基準があります。
距離は塊の面積によって二段階に分かれています。
火災予防条例(例)第三十四条第二項第二号 (略)一集積単位の面積が二百平方メートル以下になるように区分するとともに、集積単位相互間に次の表に掲げる距離を保つこと。(略)
結論は、塊が大きいほど間に空ける距離も広くなるということです
この条文と同じ表現を採用している複数の市の火災予防条例を確認すると、面積が五十平方メートル以下の塊同士は一メートル以上の距離で足ります。
面積が五十平方メートルを超え二百平方メートル以下になると、距離は二メートル以上に広がります。
表そのものの数値は火災予防条例(例)の条文本文には現れず、条例を制定する各市町村が条文中の表として定める形になっています。
自分の倉庫の塊同士が、面積に応じたこの距離を実際に空けているかを測ってみることが確認の第一歩です。

塊が大きいほど、間の距離も広げないといけないんですね。

はい、そのとおりです。
面積と距離をセットで確認してください。

石炭や木炭類はなぜ距離の規定によらなくてよいことがあるのか

温度計と散水ヘッドが設けられた石炭の山
石炭や木炭類、廃棄物固形化燃料等以外の再生資源燃料には、距離の規定を外れる例外があります。
ただし無条件ではなく、代わりの設備が必要です。
火災予防条例(例)第三十四条第二項第二号 (略)ただし、廃棄物固形化燃料等以外の再生資源燃料及び石炭・木炭類(略)にあつては、温度計等により温度を監視するとともに、廃棄物固形化燃料等以外の再生資源燃料又は石炭・木炭類を適温に保つための散水設備等を設置した場合は、この限りでない。
結論は、距離を空ける代わりに温度の監視と散水設備を備える選び方があるということです
政令別表第四の備考では、石炭・木炭類にはコークスや豆炭、練炭、活性炭なども含まれるとされています。
これらは自然発熱で内部から温度が上がることがあるため、距離よりも温度の監視が実効性を持ちます。
例外を使うには、温度計等による監視と、適温に保つための散水設備等の両方が必要です。
距離を空けるか、温度監視と散水設備を備えるかは、現場の広さと管理体制で選ぶことになります。

石炭を山積みにしているだけで、温度なんて測ったことがありません。

それなら距離の基準どおりに区分するか、温度計と散水設備を備えるかを選んでください。

明日から集積の管理で何を確認すればよいのか

巻尺で集積を点検する点検員
条例が定める基準は、市町村ごとの条例で具体的な形になります。
最後に、現場で確認すべき手順を整理します。
消防法第九条の四第二項 指定数量未満の危険物及び指定可燃物その他指定可燃物に類する物品を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、市町村条例で定める。
結論は、面積・距離・例外の三つを順番に確認すれば対応できるということです
まず、集積している品目が合成樹脂類や廃棄物固形化燃料等に当たらないかを確認します。
次に、一つの塊の面積を測り、二百平方メートル以下に区分されているかを確かめます。
区分した塊同士の距離が、面積に応じた一メートル又は二メートル以上あるかを測ります。
石炭や木炭類等で例外を使う場合は、温度計と散水設備等が実際に機能しているかも点検してください。

まずは面積を測るところから始めればいいんですね。

はい。
面積・距離・例外の順で確認してみてください。

よくある質問

Qわら類と古紙のように品目が違っても、同じ集積単位として面積を合算しますか?
A条文は品目を分けて数量を定めていますが、同じ場所にまとめて置く塊であれば一集積単位として面積の区分の対象になります。品目ごとの正確な扱いは所轄消防署に確認してください。
Q合成樹脂類が少しだけ混ざっている場合も、この記事の基準になりますか?
Aいいえ。合成樹脂類は面積五百平方メートル以下という別の号で扱われます。混在する場合は品目ごとに該当する号を分けて確認する必要があります。
Q距離を測ったら基準より少し足りませんでした。すぐに違反になりますか?
Aまずは集積の並べ方を見直し、距離を確保できないか検討してください。改善が難しい場合は、対応方法について所轄消防署に早めに相談することをおすすめします。
Q温度監視の例外を使う場合、散水設備は常に稼働させておく必要がありますか?
A条文は適温に保つための散水設備等を設置することを求めています。常時の稼働ではなく、温度計の監視結果に応じて作動させる運用が一般的です。

まとめ

合成樹脂類と廃棄物固形化燃料等以外の指定可燃物を集積するときは、面積で区分する基準がかかります
一集積単位の面積は二百平方メートル以下に区分しなければなりません
面積が五十平方メートル以下なら一メートル以上、超えれば二メートル以上の距離が必要です
石炭・木炭類等は、温度計等の監視と散水設備等の設置があれば距離の規定によらないことがあります
対象品目にはわら製品や木毛、糸類、再生資源燃料なども含まれます
合成樹脂類は面積五百平方メートル以下という別の号で扱われます
対象品目と基準数量は、危険物の規制に関する政令別表第四で確認できます

面積と距離のセットで確認すればいいと分かって助かりました!

まずは面積の実測から始めてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第九条の四(指定数量未満の危険物及び指定可燃物に関する基準)
  • 火災予防条例(例)第三十四条第二項第二号(昭和三十六年十一月二十二日 自消甲予発第七十三号 消防庁長官通知)
  • 危険物の規制に関する政令別表第四(第一条の十二関係)
  • 横浜市火災予防条例第四十三条第二項第二号・広島市火災予防条例第三十五条第二項第二号(火災予防条例(例)第三十四条第二項第二号に相当する規定を確認)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
作業着姿の点検員がわら類の集積単位の間の距離を巻尺で測っているイメージ
古紙や木くず、わら類などの指定可燃物は、少しの量なら気にせず積み上げてしまいがちです。 しかし基準量を超えてまとめて置く(集積する)場合には、面積で区切る基準がかかります。 区切った一つひとつの塊(集積単位)の間には、決...