アルコール類は消防法上の危険物ですが、水で薄めればいつでも対象から外れると考えていないでしょうか。
現場では「濃度が低ければ危険物ではない」と単純に判断してしまいがちです。
実は消防法は濃度だけでなく、引火点と燃焼点という二つの試験値も使って除外を判断しています。
今回はこの二段構えの除外の仕組みを、規則の条文からたどっておきます。
アルコール類は水で薄めれば危険物ではなくなるんですよね。
濃度だけでは決まらないことがあります。
規則が定める除外の条文を見ていきましょう。
濃度以外の何を見るんですか。
危険物の規制に関する規則が引火点と燃焼点という二つの試験値を使います。
順番に見ていきましょう。
- 消防法別表第一備考第十三号は、アルコール類が総務省令で定める基準によって品名から除外されることがあると定めています
- その基準は危険物の規制に関する規則第1条の3第4項が定めています
- アルコールの含有量が60パーセント未満の水溶液は、それだけで除外されます
- 濃度が60パーセント以上でも、エタノールの60パーセント水溶液との引火点の比較試験で除外されることがあります
- ただし燃焼点が基準以下のものは、この引火点による除外から外れて危険物のままになります
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目次
アルコール類とはどのように定義されているのか

まずは条文の定義を確認します。
変性アルコールも含まれる点に注意が必要です。
そしてこの定義にも「総務省令で定めるものを除く」という除外規定がセットになっています。
除外の中身は危険物の規制に関する規則が定めており、二つの独立した除外ルートがあります。
まずは一つ目の、濃度だけで決まるルートから見ていきます。
変性アルコールも対象になるんですね。
はい、そのうえで除外の基準が二つあります。
まずは濃度による除外を見ましょう。
濃度60パーセント未満の水溶液はなぜ除外されるのか

条文を確認します。
引火点や燃焼点を測るまでもなく、濃度の実測値だけで判断が完結する仕組みです。
逆に言えば、濃度が60パーセントに達していれば、このルートでは除外されません。
消防法上のアルコール類は、この濃度基準を境に規制の対象かどうかが変わります。
では濃度が60パーセント以上のものは必ず危険物になるのか、次に確認します。
60パーセント以上なら必ず危険物になるんですか。
実はもう一つの除外ルートがあります。
次は引火点による比較試験を見ましょう。
濃度60パーセント以上でもなぜ除外されることがあるのか

条文を確認します。
ここでいうエタノールの60パーセント水溶液は、除外の基準となる比較対象(基準物質)です。
自分の試料の引火点を測り、この基準物質の引火点と比べて上回っているかどうかで判断します。
固定された温度の数値ではなく、基準物質との比較で決まる点が一つ目のルートとの違いです。
一見するとここまでで除外が確定しそうですが、条文には続きがあります。
引火点がエタノールの水溶液より高ければ除外は確定ですね。
実はそれだけでは確定しません。
次に見落としやすい例外を確認しましょう。
引火点だけで安心すると何を見落とすのか

その中身を確認します。
これは除外の除外という二重の構造で、引火点だけを確認して安心すると見落とす部分です。
引火点は火が一瞬でも着く最低の温度、燃焼点はそれより高く燃焼が持続する温度を指します。
引火点の比較で除外に見えても、燃焼点まで測って基準を超えていなければ除外は成立しません。
つまり除外を確定させるには、引火点と燃焼点の両方を確認する必要があります。
引火点さえ測れば十分だと思っていました。
燃焼点まで確認して初めて除外が確定します。
最後に現場での確認手順を見ましょう。
現場ではどう確認すればよいのか

確認する項目を整理します。
- まずアルコールの含有量を確認し、60パーセント未満であればその時点で除外が確定する
- 60パーセント以上の場合は可燃性液体量が60パーセント未満かどうかを確認する
- 試料の引火点をエタノールの60パーセント水溶液の引火点と比較する
- 引火点で上回っていても、燃焼点が基準以下でないかを必ず確認する
これらの試験値はタグ開放式引火点測定器など所定の試験方法で測定します。
自社で試験設備を持たない場合は試験機関に依頼して成績書を取得します。
除外に該当しなければ、アルコール類として指定数量や貯蔵・取扱いの基準を確認します。
判断に迷ったときは、所轄消防署に相談すれば適切な対応が分かります。
濃度だけでなく燃焼点まで確認してみます。
それが確実な進め方です。
数値が分からなければ先に試験機関へ確認しておいてください。
よくある質問
まとめ
まずは手元のアルコール水溶液の濃度を確認します!
引火点と燃焼点まで分かれば判断もスムーズです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)別表第一備考第十三号
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年自治省令第1号)第1条の3第4項
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





