鉄粉や金属粉、マグネシウムといった金属の粉は、消防法上どれも危険物になりそうな響きですが、実際には粒の大きさや形によって対象から外れることがあります。
現場では「金属の粉だから危険物だろう」と一律に判断してしまいがちです。
実は消防法は網ふるいを通過する割合や形状という具体的な数値で、危険物の品名から除外されるかどうかを決めています。
今回はこの除外の基準がどのような数値で線引きされているのかを、規則の条文からたどっておきます。
鉄粉も金属粉も、粉なら全部危険物になると思っていました。
粒の大きさや形によって品名から除外されることがあります。
規則が定める網ふるいの数値を見ていきましょう。
網ふるいの数値で決まるとはどういうことですか。
危険物の規制に関する規則が目開きの大きさと通過率で除外基準を定めています。
順番に見ていきましょう。
- 消防法別表第一備考第三号・第五号・第六号は、鉄粉・金属粉・マグネシウムが総務省令で定める基準によって品名から除外されることがあると定めています
- その基準は危険物の規制に関する規則第1条の3が定めています
- 鉄粉は目開き53マイクロメートルの網ふるいを通過するものが50パーセント未満でなければ除外されません
- 金属粉のうち銅粉とニッケル粉は試験を経ずに除外され、それ以外は目開き150マイクロメートルの網ふるいが基準になります
- マグネシウムは目開き2ミリメートルの網ふるいを通過しない塊状、または直径2ミリメートル以上の棒状であれば除外されます
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目次
鉄粉や金属粉やマグネシウムはどう定義されているのか

まずは条文がどう書いているのかを確認します。
鉄粉は鉄の粉であること自体は単純ですが、総務省令で定める基準を満たすと品名そのものから外れます。
金属粉はアルカリ金属・アルカリ土類金属・鉄・マグネシウムを除いた金属の粉全般を指す広い定義です。
マグネシウムは定義そのものに除外規定は無く、形状によって除外されるかどうかが決まる書き方になっています。
この「総務省令で定めるもの」の中身を、次に条文で確認します。
鉄粉は鉄の粉ならなんでも対象になるんですね。
実はそうとも限りません。
次に除外の基準を確認しましょう。
網ふるいの通過率はなぜ判定基準になるのか

条文は目開きの大きさごとに基準を分けています。
鉄粉は目開き53マイクロメートルの網ふるいを基準にします。
金属粉(銅粉・ニッケル粉を除く)は目開き150マイクロメートルの網ふるいを基準にし、鉄粉より粗い網を使います。
どちらも網ふるいを通過するものが50パーセント未満であれば品名から除外されます。
銅粉とニッケル粉だけは、この網ふるいの試験を経ずに扱いが決まっています。次に確認します。
目開きの大きさが違うとどう変わるんですか。
鉄粉より粗い網を通しても除外になるということです。
次は銅粉とニッケル粉の扱いを見ましょう。
銅粉とニッケル粉はなぜ試験なしで除外されるのか

条文の書き方をもう一度確認します。
第2項の一号・二号は網ふるいの数値を条件にしていません。
三号だけが目開き150マイクロメートルの網ふるいという数値基準を定めています。
つまり銅粉・ニッケル粉である時点で除外が確定し、粒度を測定する必要がありません。
この違いを見落とすと、不要な試験を依頼してしまうことがあります。
銅粉やニッケル粉は試験しなくていいということですか。
そのとおりです。品目名だけで除外が決まります。
次はマグネシウムの扱いを見ていきます。
塊状や棒状のマグネシウムはなぜ規制の対象外になるのか

条文を確認します。
目開き2ミリメートルの網ふるいを通過しない塊状のものは除外されます。
直径2ミリメートル以上の棒状のものも同じく除外されます。
裏を返せば、粉状や細かい形状のマグネシウムは除外されず危険物として扱われます。
現品がどちらの形状に当たるかを、実際に確認する手順を次に見ていきます。
マグネシウムの棒や塊も現場にありますが、危険物なんですか。
直径2ミリメートル以上の棒状なら除外されます。
次は確認の手順を見ていきましょう。
除外に当たるかどうかはどう確認すればよいのか

確認する項目を整理します。
- 現品が鉄粉・金属粉・マグネシウムのいずれに当たるかをまず確認する
- 鉄粉は53マイクロメートル、金属粉(銅粉・ニッケル粉を除く)は150マイクロメートルの網ふるいの通過率をメーカーの試験成績書やSDSで確認する
- 銅粉・ニッケル粉であれば粒度の確認は不要と判断する
- マグネシウムは塊状か棒状かを実測し、目開き2ミリメートルの網ふるいや直径の基準に照らして確認する
メーカーのSDSに粒度分布の記載が無い場合は、試験機関に依頼して確認します。
銅粉・ニッケル粉かどうかは成分表示で判断できます。
除外に該当しなければ、鉄粉・金属粉・マグネシウムとして指定数量や貯蔵・取扱いの基準を確認します。
判断に迷ったときは、所轄消防署に相談すれば適切な対応が分かります。
まずは手元の在庫が網ふるいの基準に当たるか確認してみます。
それが確認の第一歩です。
数値が分からなければ先にメーカーへ確認しておいてください。
よくある質問
まとめ
まずは手元の在庫が鉄粉か金属粉かマグネシウムかを確認します!
粒度や形状が分かれば判断もスムーズです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)別表第一備考第三号・第五号・第六号
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年自治省令第1号)第1条の3
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





