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常時開放式の防火戸がある避難口誘導灯は省略できるのか|自動火災報知設備と連動する場合の要件を解説

常時開放式の防火戸のある廊下に誘導灯が点灯しているオフィスビルの内観

工場や店舗の廊下を歩いていると、いつも開けっぱなしになっている防火戸を見かけることがあります。
その場所に避難口誘導灯が付いていないと、設置漏れではないかと不安になるかもしれません。
実はこの防火戸には、誘導灯を省略できる例外規定が設けられている場合があります。
この記事では避難口誘導灯・通路誘導灯を設けるべき場所と、防火戸で省略できる条件を解説します。

うちの倉庫、いつも開けっぱなしの防火戸のところに誘導灯が付いてないんですけど、大丈夫でしょうか。

その防火戸が条件を満たしていれば、誘導灯を省略できる規定に当てはまっている可能性がありますよ。

条件って、具体的にどこを確認すればいいんですか。

防火戸の連動と3つの設置場所を順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 避難口誘導灯は屋内から直接地上への出入口や直通階段の出入口など決まった箇所に設ける義務があります
  • 常時開放式の防火戸がある避難口も、原則として避難口誘導灯の設置対象です
  • 自動火災報知設備と連動して閉鎖し誘導標識と非常照明を備えれば例外的に省略できます
  • 通路誘導灯は曲り角と避難口誘導灯の有効範囲外を補う箇所に設置します
  • レイアウトを変えて有効範囲外ができたら通路誘導灯の増設や配置換えが必要です

避難口誘導灯を省略できる3つの条件を示す図解

避難口誘導灯はどの出入口に設けなければならないのか

地上への出入口・階段出入口・廊下出入口に誘導灯が点灯している建物
避難口誘導灯には、設けるべき場所が条文で具体的に列挙されています。
まずはこの基本の並びを押さえておきます。
避難口誘導灯は、次のイからニまでに掲げる避難口の上部又はその直近の避難上有効な箇所に設けること。イ 屋内から直接地上へ通ずる出入口(略)ロ 直通階段の出入口(略)ハ イ又はロに掲げる避難口に通ずる廊下又は通路に通ずる出入口(略)ニ イ又はロに掲げる避難口に通ずる廊下又は通路に設ける防火戸で直接手で開くことができるもの(くぐり戸付きの防火シャッターを含む。)がある場所(略)(消防法施行規則第28条の3第3項第一号)
避難口誘導灯を設ける箇所は4種類に整理されています
屋内から直接地上へ通ずる出入口と、直通階段の出入口がまず対象になります。
それらに通ずる廊下や通路の出入口も対象で、ここまでは一般的な出入口の並びです。
そして4つ目に、直接手で開くことができる防火戸がある場所も避難口として扱われます。
この4つ目の防火戸の扱いが、次の見出しで説明する省略規定につながっています。

防火戸がある場所まで避難口として扱われるとは知りませんでした。

はい、そのため原則はここにも避難口誘導灯が必要になります。

常時開放式の防火戸がある避難口は誘導灯を省略できるのか

開いた防火戸と閉じた防火戸に誘導標識と非常照明が備わっている様子
先ほどの防火戸には、条文の中に例外の書き方が用意されています。
括弧書きの部分を丁寧に読み解いていきます。
イ又はロに掲げる避難口に通ずる廊下又は通路に設ける防火戸で直接手で開くことができるもの(くぐり戸付きの防火シャッターを含む。)がある場所(自動火災報知設備の感知器の作動と連動して閉鎖する防火戸に誘導標識が設けられ、かつ、当該誘導標識を識別することができる照度が確保されるように非常用の照明装置が設けられている場合を除く。)(消防法施行規則第28条の3第3項第一号ニ)
省略できるのは3つの条件をすべて満たしたときだけです
まず防火戸が自動火災報知設備の感知器の作動と連動して自動的に閉鎖すること。
次にその防火戸に誘導標識が設けられていること。
最後にその誘導標識を識別できる照度を確保するため、非常用の照明装置が設けられていること。
どれか一つでも欠ければ、その場所には避難口誘導灯そのものが必要になります。

うちの防火戸、いつも開けっぱなしなんですけど、それだけで条件を満たしたことになりますか。

いいえ、開いているだけでは足りません。
感知器連動・誘導標識・非常照明の3つがそろって初めて省略できます。

通路誘導灯はどこに設けなければならないのか

曲り角に誘導灯が設置されたL字型の廊下
避難口誘導灯とは別に、通路誘導灯にも設けるべき場所が決まっています。
避難口の誘導灯だけでは足りない部分を補う役割です。
通路誘導灯は、廊下又は通路のうち次のイからハまでに掲げる箇所に設けること。イ 曲り角 ロ 前号イ及びロに掲げる避難口に設置される避難口誘導灯の有効範囲内の箇所 ハ イ及びロのほか、廊下又は通路の各部分(避難口誘導灯の有効範囲内の部分を除く。)を通路誘導灯の有効範囲内に包含するために必要な箇所(消防法施行規則第28条の3第3項第二号)
通路誘導灯を設ける箇所は3つに整理されています
まず廊下や通路の曲り角には必ず設けます。
次に主要な避難口に設置された避難口誘導灯の有効範囲内の箇所にも設けます。
そして最後に、それらの有効範囲でカバーしきれない廊下・通路の残りの部分を埋めるように設けます。
つまり通路のどの部分にいても、必ずどれかの誘導灯の有効範囲に入るようにする決まりです。

曲り角なら必ず誘導灯が必要ってことなんですね。

そうです。
曲り角は避難の方向が変わる場所なので、必ず通路誘導灯の設置箇所になります。

レイアウトを変えたら誘導灯の配置も見直しが必要なのはなぜか

棚を新設したことで誘導灯の光が届かない範囲ができたオフィス
誘導灯の設置箇所は、設置した時点だけで決まるものではありません。
有効範囲という考え方を押さえておく必要があります。
避難口誘導灯及び通路誘導灯の有効範囲は、当該誘導灯までの歩行距離が次の各号に定める距離のうちいずれかの距離以下となる範囲とする。ただし、当該誘導灯を容易に見とおすことができない場合又は識別することができない場合にあつては、当該誘導灯までの歩行距離が十メートル以下となる範囲とする。(消防法施行規則第28条の3第2項)
有効範囲は見とおしがきくかどうかで変わります
歩行距離が基準内でも、パーティションや高い棚で誘導灯を見とおせなくなると、有効範囲は10メートルまで縮まります。
新しく什器や間仕切りを設置すると、それまで有効範囲に入っていた廊下の一部が範囲外になることがあります。
範囲外ができた場合は、前の見出しのハの規定どおり通路誘導灯を追加して補う必要があります。
レイアウト変更のたびに、誘導灯の見え方まで確認する習慣が欠かせません。

棚を増やしただけで、誘導灯の話にまで影響するとは思いませんでした。

はい、見とおしを妨げる什器の配置は有効範囲そのものを変えてしまいます。

明日からなにを確認すればよいのか

点検員が誘導灯と防火戸の連動を確認している様子
ここまでの規定を、日常の点検にどう落とし込むかを整理します。
チェックすべき点は大きく3つです。
  • 常時開放式の防火戸がある場所で、感知器連動・誘導標識・非常照明の3条件がすべてそろっているかを確認する
  • 廊下の曲り角に通路誘導灯が設けられているかを確認する
  • 新しく設置した什器やパーティションが誘導灯の見とおしを妨げていないかを確認する
点検のたびに条件がそろっているかを見直します
防火戸が常に開いた状態に固定されていないか、感知器と連動して閉まる動作を実際に確認します。
誘導標識の照度が非常用照明で確保され続けているかも合わせて見ます。
レイアウトを変える計画があるときは、着手前に誘導灯の有効範囲への影響を確認しておくと安心です。
判断に迷うときは、所轄消防署や専門業者に相談することをおすすめします。

今度の点検で、防火戸の連動と曲り角の誘導灯を重点的に見てみます。

それがよいと思います。
条件がそろって初めて省略が成り立つ、という順番を忘れないでください。

よくある質問

Q常時開放式の防火戸があれば誘導灯は自動的に省略できますか?
Aできません。感知器連動・誘導標識・非常照明の3条件をすべて満たしたときだけ省略が認められます。
Q通路誘導灯は曲り角以外にも必要になりますか?
A必要になります。避難口誘導灯の有効範囲外となる廊下・通路の部分にも、それを補うために通路誘導灯を設けます。
Q誘導灯の有効範囲は歩行距離だけで決まりますか?
A歩行距離が基準内でも、見とおしや識別ができない場合は歩行距離十メートル以下まで範囲が縮まります。
Qくぐり戸付きの防火シャッターも同じ扱いになりますか?
Aはい。くぐり戸付きの防火シャッターは防火戸と同じ扱いで、省略の条件を満たせば同様に扱われます。

まとめ

避難口誘導灯は屋内から直接地上への出入口や直通階段の出入口など決まった箇所に設ける義務があります
直接手で開くことができる防火戸がある場所も、原則として避難口として扱われます
感知器連動・誘導標識・非常照明の3条件がそろえば避難口誘導灯を省略できます
通路誘導灯は曲り角と避難口誘導灯の有効範囲外を補う箇所に設けます
誘導灯の有効範囲は歩行距離だけでなく、見とおしや識別のしやすさでも変わります
什器やパーティションの新設で有効範囲外ができたら通路誘導灯の見直しが必要です
日常点検では防火戸の連動動作と曲り角の誘導灯を重点的に確認します

防火戸のところに誘導灯がない理由が、条件次第だとよく分かりました。

誘導灯の設置場所や省略条件に不安があれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第26条
  • 消防法施行規則第28条の3第2項・第3項

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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