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準地下街の避難口誘導灯は地下道側にも要るのか|建築物と地下道が一体になる仕組みと設置の考え方を解説

準地下街の建築物と地下道の境目にある開口部のイメージ

地下街のそばに建つビルで、地階が地下道と直接つながっている光景を見たことがあるかもしれません。
このような建物と地下道の組み合わせは、消防法令上「準地下街」という一つの防火対象物として扱われます。
境目の開口部にどちらの誘導灯を設置すればよいのか、判断に迷う現場は少なくありません。
結論から言うと、建築物側に設置すれば足り、地下道側への追加設置までは求められません。

地下街とつながっている建物なんですが、避難口誘導灯は建築物側と地下道側の両方に付ける必要があるんでしょうか。

実は、境目の開口部については建築物側だけで足りるという考え方がすでに示されています。

そうなんですね。
てっきり両方に付けないといけないと思っていました。

この記事で、その理由と実務で気をつけたいポイントを一緒に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 準地下街((16の3)項)は、建築物の地階と地下道を合わせて一つの防火対象物として扱われます。
  • 避難口誘導灯は(16の3)項も設置対象に含まれます。
  • 建築物と地下道の境目の開口部は、建築物側に設置すれば地下道側への追加設置までは求められません。
  • ただし管理権原が分かれている場合は、統括防火管理者が避難口の管理を統括します。
  • 迷ったときは開口部の配置図を用意して、所轄消防と地下道側の管理者に確認しましょう。

準地下街の避難口誘導灯は建築物側で足りるという考え方を示す図解

準地下街とはどんな防火対象物なのか

建物の地階と地下道がひとつにつながる準地下街の断面イメージ

地下鉄の駅から続く地下通路に、複数のビルの地階が直接つながっている場所を見かけることがあります。
このような建物と地下道の組み合わせには、専用の用途区分が用意されています。

消防法施行令別表第一(16の3)項 建築物の地階((16の2)項に掲げるものの各階を除く。)で連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたもの((1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項又は(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。)

準地下街は、建築物の地階と地下道をまとめて一つの防火対象物とみなす区分です。
似た名前の「地下街」((16の2)項)が地下の工作物そのものを指すのに対し、準地下街は建築物の地階と地下道の合体という点が違います。
法令上は境目の壁を意識せず、建築物側と地下道側をひとまとまりとして防火安全対策を考える必要があります。
まずは自分の建物の地階が、この(16の3)項の要件に当てはまるかどうかを確認するところから始めましょう。

うちが(16の3)項に当たるのかどうか、正直あいまいなままです。

地階が地下道と連続してつながっているかどうかがポイントなので、まずは建物の図面から確認してみましょう。

避難口誘導灯はどの開口部に必要になるのか

建築物と地下道の境目の開口部に設ける避難口誘導灯のイメージ

誘導灯の設置基準は、防火対象物の用途区分ごとに定められています。
準地下街も、避難口誘導灯を設置しなければならない区分にはっきりと含まれています。

消防法施行令第26条第1項 誘導灯及び誘導標識は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める防火対象物又はその部分に設置するものとする。(一 避難口誘導灯 別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項、(16)項イ、(16の2)項及び(16の3)項に掲げる防火対象物…) 同条第2項第一号 避難口誘導灯は、避難口である旨を表示した緑色の灯火とし、防火対象物又はその部分の避難口に、避難上有効なものとなるように設けること。

条文が求めているのは「避難上有効なものとなるように設ける」ことであり、開口部の片側・両側という数え方ではありません。
準地下街の境目にある開口部も、この避難口誘導灯の設置対象に含まれます。
つまり、開口部そのものが避難口として機能する以上、そこには避難上有効な誘導灯が必要になるということです。
どちら側の壁に取り付けるかは、この後で具体的に確認していきましょう。

避難口誘導灯を付けなあかん場所って、思っていたより広い気がします。

(16の3)項も設置対象に入っているので、境目の開口部も対象になります。

建築物側と地下道側の両方に設置は必要か

境目の開口部の建築物側だけに避難口誘導灯を設置した参考例

ここが今回の一番の疑問どころです。
境目の開口部に、建築物側と地下道側の両方から誘導灯を設置しないと不安に感じる担当者は少なくありません。

問 準地下街(令別表第一(16の3)項)に掲げる防火対象物に該当する建築物の地階で、地下道に面して設けられている開口部にあっては、建築物側と地下道側の両方に避難口誘導灯の設置が必要か。
答 建築物側のみに設置すれば足りる。(昭和56年12月18日消防予第299号)

境目の開口部は、建築物側にさえ確実に設置しておけば、地下道側への追加設置までは求められません。
避難口誘導灯は「避難上有効なものとなるように設ける」ことが条文の要求であり、同じ開口部に二重に設置することまでは求めていないためです。
建築物側の避難者にも地下道側から入ってくる避難者にも、その開口部が避難口だと伝わるように設ければ足りる、という考え方です。
逆に言えば、建築物側の誘導灯が壊れていたり、避難上有効な位置からずれていたりすれば、この免除は成り立たなくなります。

境目の開口部、やっぱり両方に付けないと不安なんですが。

建築物側に確実に設置して維持していれば、地下道側への追加設置までは求められませんよ。

実務で見落としやすいのはどこか

管理者が別々で誘導灯の設置を互いに任せきりにしてしまう境目の開口部

建築物側だけで足りるという話には、実務ならではの落とし穴があります。
それは、建築物と地下道の管理者が別々であるケースです。

消防法第8条の2第1項 高層建築物…その他政令で定める防火対象物で、その管理について権原が分かれているもの又は地下街…でその管理について権原が分かれているもののうち消防長若しくは消防署長が指定するものの管理について権原を有する者は、…これらの防火対象物の全体について防火管理上必要な業務を統括する防火管理者(統括防火管理者)を協議して定め、…当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設の管理…その他当該防火対象物の全体についての防火管理上必要な業務を行わせなければならない。

「相手側が設置してくれるはず」という思い込みが、境目の誘導灯を空白にしてしまいます。
準地下街のうち管理権原が分かれているものは、統括防火管理者を協議して定める義務の対象になり得ます。
統括防火管理者の業務には、廊下・階段と並んで避難口の管理がはっきりと含まれています。
つまり、境目の誘導灯を「どちらが設置し、どちらが点検するか」は、個々の担当者の思い込みではなく、統括防火管理者のもとで整理しておくべき事項です。

うちの建物と地下道、管理してる会社が別なんです。

それなら統括防火管理者のもとで、設置と点検の分担を書面にしておくと安心です。

明日からなにを確認すればよいのか

開口部の配置図を確認し合う建築物側の担当者と地下道側の担当者

ここまでの内容を、実際の建物でどう確認すればよいか整理します。
難しく考えず、まずは図面を手元に置くところから始めましょう。

まずは開口部の配置図を用意し、誘導灯がどちら側にあるかを目で確かめましょう。
次に、その建築物側の誘導灯が避難上有効な位置にあり、正常に点灯しているかを点検記録で確認します。
地下道側の管理者が別にいる場合は、統括防火管理者の選任状況と避難口の管理分担を一度整理しておくと安心です。
判断に迷う点があれば、配置図を持って所轄消防に相談すれば、その場で具体的な助言がもらえます。

明日、何から手を付けたらいいでしょうか。

まずは開口部の配置図を用意して、所轄消防と地下道側の管理者に一緒に確認してもらいましょう。

よくある質問

Q準地下街とふつうの地下街はどう違うのか?
A地下街((16の2)項)は地下の工作物内に設けられた店舗等の集合体そのものを指すのに対し、準地下街((16の3)項)は建築物の地階と地下道を合わせたものを指す点が違います。
Q境目の開口部に避難口誘導灯を設置しないとどうなるのか?
A消防法施行令第26条の設置義務を満たさない状態になり、所轄消防の指導や是正の対象になり得ます。
Q建築物側の誘導灯が故障していた場合はどうなるのか?
A建築物側だけで足りるという前提が崩れるため、速やかな修理が必要です。統括防火管理者が定められている場合は、その報告体制に沿って対応しましょう。
Q地下道側の管理者との協議がまとまらないときはどうすればよいのか?
A所轄消防に相談すれば、統括防火管理者の選任や設置範囲の考え方について助言を受けられます。

まとめ

準地下街は建築物の地階と地下道を合わせた一つの防火対象物です。
避難口誘導灯は(16の3)項も設置対象です。
境目の開口部は建築物側の設置で足ります。
地下道側への追加設置までは義務ではありません。
管理権原が分かれている場合は統括防火管理者を選任します。
避難口の管理は統括防火管理者の業務に含まれます。
判断に迷ったら所轄消防に配置図を示して確認しましょう。

境目の誘導灯、これで自信を持って確認できます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令別表第一(16の3)項(準地下街)
  • 消防法施行令第26条(誘導灯及び誘導標識に関する基準)
  • 消防法第8条の2(統括防火管理者)
  • 消防庁 行政実例(昭和56年12月18日消防予第299号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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