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連結送水管の主管はどんなときに細くできるのか|フォグガン等の指定と水力計算による特例を解説

連結送水管の主管はどんなときに細くできるのかを示すアイキャッチ

連結送水管は、火災のときに消防隊がホースをつないで放水するための設備です。
主管の内径は原則として100ミリメートル以上と決まっており、これより細い管は使えません。
ただし条文にはただし書きがあり、一定の条件がそろえば例外が認められます。
この記事では主管を細くできる場合と格納箱を省略できる場合の2つの特例を解説します

うちのビルは連結送水管の主管が細いような気がするのですが、これは違反なのでしょうか。
点検業者さんにも聞いたことがないので気になっています。

細いからといって、すぐに違反とは限りません。
消防長等の指定を受けている建物なら、細い主管でも認められる場合があります。

指定というのは、どんな建物でも申請すれば受けられるものですか。
ホースの格納箱がない階もあった気がして、それも心配です。

格納箱の省略にも別の条件があります。
どちらも自己判断ではなく消防長等の指定や認定が前提なので、順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 連結送水管の主管は原則として内径100ミリメートル以上必要です
  • フォグガン等(定格放水量が200リットル毎分以下のもの)のみを使用するものとして消防長等が指定した防火対象物では細い主管も認められます
  • 細い主管が認められるのは、主管の内径が水力計算により算出された管径以上である場合に限られます
  • 非常用エレベーターが設置され、放水用器具を容易に搬送できると消防長等が認めた建築物では、ホース格納箱の設置も不要になります
  • どちらの特例も消防長等の個別の指定・認定が前提で、自己判断で選べるものではありません

連結送水管の主管は原則内径100ミリメートル以上だがフォグガン等の指定と水力計算により細くできる場合がありホース格納箱も非常用エレベーターがあれば省略できることを示す図解

連結送水管の主管はなぜ100ミリメートル以上と決まっているのか

建物の外壁に沿う太い送水管に消防ポンプ自動車からホースをつないでいるイメージ
消防隊が確実に放水できるよう、連結送水管の主管には太さの基準があります。
まずは原則となる数字を確認しましょう。
消防法施行令第29条第2項第2号 主管の内径は、100ミリメートル以上とすること。ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。
主管は原則として内径100ミリメートル以上でなければなりません
消防法施行令第29条第2項第2号が定める基準で、消防隊が大量の水を送り込めるだけの太さを確保する趣旨です。
ただし条文の後半には「ただし書き」があり、総務省令で定める場合は例外が認められると書かれています。
この総務省令にあたるのが消防法施行規則第30条の4で、次の項目で具体的な条件を見ていきます。
自分の建物の主管が細いと感じたら、まずこの例外に当てはまるかどうかを確認する必要があります。

100ミリメートルというのは、かなり太い印象ですね。
うちの主管がこれより細かったら、それだけで違反になるのでしょうか。

すぐに違反とは限りません。
総務省令の条件を満たしていれば、細い主管でも適法になります。

どんな条件がそろえば主管を細くできるのか

霧状に放水するフォグガンを持つ担当者の横に細い送水管があるイメージ
前の項目で出てきた総務省令が、施行規則第30条の4です。
条文を見ると、細い主管が許される条件がはっきり書かれています。
消防法施行規則第30条の4第1項 令第29条第2項第2号ただし書の総務省令で定める場合は、消防長又は消防署長が、その位置、構造及び設備の状況並びに使用状況から判断して、フォグガンその他の霧状に放水することができる放水用器具(次条において「フォグガン等」という。)のうち定格放水量が200リットル毎分以下のもののみを使用するものとして指定する防火対象物において、主管の内径が水力計算により算出された管径以上である場合とする。
細い主管が認められるのはフォグガン等しか使わないと指定された建物だけです
フォグガン等とは、霧状に放水できる放水用器具の総称で、通常の棒状放水より使う水量が少なくて済みます。
条件はさらに絞られており、定格放水量が200リットル毎分以下のものしか使わないと決められている必要があります。
そのうえで、主管の内径が水力計算により算出された管径以上であることまで確かめられて、はじめて特例が成立します。
つまり「フォグガンを置いているから細くてよい」わけではなく、指定と計算の両方がそろって初めて認められる仕組みです。

フォグガンを用意しておけば、それだけで細い主管が認められるわけではないのですね。
水力計算というのも初めて聞きました。

はい、指定計算の両方が条件です。
水力計算は設計段階で行われているはずなので、図面が残っているか確認してみてください。

消防長等の指定は何を判断材料にしているのか

消防署の制服を着た担当者が建物の看板と図面を確認しているイメージ
指定は消防長または消防署長が個別に行うもので、誰でも自由に申請できる制度ではありません。
条文にある判断材料を分けて確認しましょう。
  • 建物の位置(消防隊が到着しやすいか、周囲の状況はどうか)
  • 建物の構造(延焼のしやすさや区画の状況)
  • 建物の設備の状況(フォグガン等以外の消火設備が備わっているか)
  • 建物の使用状況(実際にどのような用途・使われ方をしているか)
指定は建物ごとの個別事情を総合して判断されます
条文の文言どおり、位置・構造・設備の状況・使用状況という4つの要素をあわせて消防長等が判断します。
同じ規模の建物でも、周囲の状況や設備の組み合わせが違えば指定される・されないが変わり得るということです。
指定を受けているかどうかは建物ごとの個別の行政判断なので、書類が残っているかを確認するのが確実です。
自分の建物で確認したいときは、所轄の消防署に問い合わせるのがもっとも早い方法です。

4つも見られているとは知りませんでした。
うちの建物が指定を受けているかは、自分たちでは分からなさそうです。

そのとおりです。
所轄消防署への確認が一番確実な方法ですので、機会があれば聞いてみてください。

ホース格納箱を省略できる建物もあるのか

階段のホース格納箱とエレベーターホールに箱が無い状態を並べたイメージ
連結送水管には主管の太さ以外にも、もうひとつ特例があります。
今度はホースを納めておく箱についてです。
消防法施行規則第30条の4第2項 令第29条第2項第4号ハただし書の総務省令で定めるものは、非常用エレベーターが設置されており、消火活動上必要な放水用器具を容易に搬送することができるものとして消防長又は消防署長が認める建築物とする。
非常用エレベーターがあればホース格納箱を省略できる場合があります
本来は地階を除く階数が11以上の建築物で放水口ごとにホース格納箱を附置する決まりですが、この条文がその例外です。
条件は非常用エレベーターの設置と、それによって放水用器具を容易に搬送できると消防長等が認めることの両方です。
エレベーターがあるだけでは足りず、実際に搬送が容易だと個別に認められて初めて省略が成立します。
格納箱が無い階を見つけても、まずは非常用エレベーターの有無とあわせて確認するようにしてください。

階段に格納箱が無いのを見つけたら、それだけで違反かと思っていました。
エレベーターとセットで見る必要があるのですね。

はい、非常用エレベーターの有無とセットで確認するのが正確な見方です。
気になる場合は、あわせて消防長等の認定の記録も確認しておきましょう。

点検のときは何を確認すればよいのか

担当者が書類ラックの前でファイルを確認しているイメージ
ここまでの2つの特例は、どちらも消防長等の個別の判断が前提でした。
点検のときは、その根拠が書面で残っているかを確認します。
  • 主管が細い場合は、フォグガン等の指定書水力計算書が保管されているか
  • 格納箱が無い場合は、非常用エレベーターの稼働状況消防長等の認定の記録が保管されているか
特例を使っている建物ほど根拠書類の保管が大切になります
主管の太さや格納箱の有無だけを見ても、それが違反なのか特例なのかは現場では判断できません。
指定書水力計算書認定の記録があって初めて、その建物が特例の対象だと説明できます。
書類が見当たらないときは、所轄消防署に過去の指定・認定の有無を照会しておくと安心です。
防火管理者としては、主管や格納箱そのものだけでなく、その裏づけとなる書類の保管まで含めて管理しておく必要があります。

書類まで確認するという発想がありませんでした。
今度の点検のときに、指定書や水力計算書が残っているか探してみます。

それがいちばん確実な方法です。
見当たらない場合は、遠慮なく所轄消防署にご相談ください。

よくある質問

Q連結送水管の主管はすべての建物で100ミリメートル以上必要ですか?
Aいいえ、原則は100ミリメートル以上ですが、消防長または消防署長がフォグガン等のみを使用するものとして指定した防火対象物では、水力計算で算出した管径以上であれば細い主管も認められます。
Qフォグガンとはどんな放水用器具ですか?
A霧状に放水できる放水用器具の総称で、規則上は定格放水量が200リットル毎分以下のものだけがこの特例の対象になります。
Qホース格納箱はどんな建物でも省略できますか?
Aいいえ、非常用エレベーターが設置されていて、消火活動上必要な放水用器具を容易に搬送できると消防長等が認めた建築物に限られます。
Q自分の建物がこの特例を使っているかはどこで確認できますか?
A特例は個別の指定・認定に基づくため、建物ごとに指定書や水力計算書の保管状況を所轄消防署や防火管理者に確認する必要があります。

まとめ

連結送水管の主管は原則として内径100ミリメートル以上(消防法施行令第29条第2項第2号)
ただし書きにより総務省令が定める場合は例外が認められる
フォグガン等(定格放水量200リットル毎分以下)のみ使用する指定を受けた防火対象物が対象
主管の内径は水力計算により算出された管径以上であることが条件
非常用エレベーター設置+容易な搬送を消防長等が認めた建築物ではホース格納箱も省略できる
どちらも消防長等の個別の指定・認定が前提で自己判断では使えない
点検では指定書・水力計算書の保管状況をあわせて確認する

主管の太さも格納箱の有無も、まずは書類の確認から始めます!

それが確実な進め方です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第29条第2項第2号・第4号
  • 消防法施行規則第30条の4(連結送水管の主管の内径の特例等)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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