工事中の建物のまわりを囲うフェンスに、名前がずらりと並んだ白い掲示物が貼られているのを見たことはないでしょうか。
あの掲示は単なるお知らせ看板ではなく、建築基準法が工事現場に義務づけている法定の表示です。
掲示を怠ると罰則の対象になるうえ、看板とは別にもう一つ現場に備えておくべき義務が潜んでいます。
本記事では工事現場の確認済表示と設計図書の備え付け義務を、条文にもとづいて解説します。
うちのビルの隣で工事をしているんですが、フェンスに掲示されている紙って何のためのものなんですか。
建築基準法第八十九条が定める、確認済の表示です。
誰が建てて誰が管理しているかを、その場でわかるようにする決まりなんです。
うちも近く新築の工事を始めるんですが、看板さえ立てておけば十分ですよね。
看板の中身が正しいことも大事ですが、それとは別にもう一つ現場に備えておく義務があります。
そこを見落とす現場が意外と多いんですよ。
- 建築基準法第八十九条第一項は、工事現場に建築主・設計者・工事施工者・現場管理者の氏名等と確認があった旨を表示する義務を定めています。
- 対象になるのは確認済証を必要とする新築・増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替で、建築設備や工作物にも準用されます。
- 表示の様式は建築基準法施行規則第十一条が定める別記第六十八号様式に統一されています。
- 見落とされがちなのが、表示とは別に第八十九条第二項が定める設計図書を現場に備えておく義務です。
- これらの規定に違反すると50万円以下の罰金の対象になります。
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目次
工事現場に掲げられている表示は何のためにあるのか

建築基準法が、工事の施工者に掲示そのものを義務づけているのです。
義務を負うのは建築主ではなく、工事の施工者です。
表示は「見やすい場所」に掲げることが条件で、通行人や近隣住民の目に触れる位置に置く必要があります。
まずはこの表示が、誰にどんな内容を求めているのかを次に見ていきましょう。
工事現場の表示は、施工業者が勝手に掲げているだけかと思っていました。
法律で義務づけられた表示なので、掲げていないと違反になります。
次はどんな工事に義務がかかるのか見てみましょう。
どんな工事にこの掲示義務がかかるのか

建物本体だけでなく、工作物や建築設備にもこの義務が広がっている点に注意が必要です。
建物本体だけでなく、昇降機などの建築設備にも表示義務は準用されます。
煙突や広告塔といった工作物の確認工事も、同じ様式での表示が必要です。
自分の現場がどの区分に当たるかは、確認済証を交付した特定行政庁や指定確認検査機関に確認できます。
建物だけじゃなくて、エレベーターや煙突の工事にも表示がいるんですか。
はい、建築設備や工作物にも準用されます。
次は表示に何を書くのかを見ていきましょう。
表示には何を書かなければならないのか

様式は全国共通で、建築基準法施行規則が定める書式に統一されています。
- 建築主の氏名又は名称
- 設計者の氏名又は名称
- 工事施工者の氏名又は名称
- 工事の現場管理者の氏名又は名称
- 当該工事について確認があった旨の表示
条文が定めているのは氏名又は名称と確認があった旨までで、様式の細かな体裁は施行規則に委ねられています。
現場管理者の氏名が書かれていない、あるいは掲示自体が古いまま更新されていない現場も見受けられます。
表示の内容が実際の現場管理者と食い違っていないかも、あわせて確認しておきましょう。
うちの現場、表示に書いてある現場管理者の名前が担当者交代前のままかもしれません。
それは表示のやり直しが必要です。
次はもう一つの見落としやすい義務を見ていきましょう。
現場に備えておくべきものは表示だけなのか

現場の見えるところに掲げる表示とは違い、こちらは見落とされやすい義務です。
表示は看板一枚で目立ちますが、設計図書の備え付けは現場事務所の中の話なので見落とされがちです。
確認を受けた内容どおりに施工が進んでいるかを、現場でいつでも照合できるようにする趣旨です。
表示と設計図書、この2つがそろって初めて第八十九条の義務を満たしたことになります。
看板ばかり気にしていて、設計図書を現場に置いているか確認したことがありませんでした。
表示と図書はセットの義務です。
次は明日からの確認手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

罰則があることを知っておくと、現場での優先度が上がります。
自社が施工者の立場なら、現場管理者が交代したときに表示を更新しているかを確認しましょう。
発注者や近隣住民の立場でも、表示を見れば誰が工事を請け負っているかをその場で確認できます。
設計図書は現場事務所の見えない場所に置かれがちなので、備え付けの有無を施工者に一言確認しておくと安心です。
表示を見れば、工事の責任者がすぐわかるということですね。
はい、表示と設計図書の両方がそろっているか、現場に行った際に確認してみてください。
よくある質問
まとめ
工事現場の表示、今度から意識して見てみます!
工事現場の安全管理のご相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第八十九条(工事現場における確認の表示等)
- 建築基準法施行規則第十一条(工事現場の確認の表示の様式)
- 建築基準法第百三条(罰則)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





