少量危険物のタンクを地下に埋めると、地上のタンクとは別の基準が細かく定められます。
地下タンクの構造や水圧試験、配管の位置まで確認できている現場は多くありません。
火災予防条例(例)第三十一条の五は、鋼板の厚さから漏れの検知方法まで、地下タンク特有の技術上の基準を定めています。
少量危険物の地下タンクには、設置方式から漏れ検知の方法まで独自の基準があります。
うちの倉庫の裏に少量のシンナーを入れた地下タンクがあります。
地上のタンクの基準は前に確認しましたが、地下は別物なんでしょうか。
火災予防条例(例)第三十一条の五には、地下タンクだけの基準があります。
前条の一部を準用しつつ、独自の号も定めています。
具体的にはどんなところが違うんでしょう。
うちのタンクが基準を満たしているか気になります。
設置方式・厚さと水圧試験・計量口・配管の位置の順に見ていきましょう。
今日は第三十一条の五に沿って確認します。
- 少量危険物の地下タンクは、火災予防条例(例)第三十一条の五が定める独自の技術上の基準に適合する必要があります。
- 地盤面下のタンク室に設置するか、防食措置を講じたうえで地盤面下に直接設置するかの二つの方法があります。
- タンクは厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板等で気密に造り、水圧試験で漏れや変形が無いことを確かめます。
- 危険物の量を自動的に表示する装置又は計量口を設け、配管はタンクの頂部に取り付けます。
- タンクの周囲には二箇所以上の管を設けるなどして、液体の危険物の漏れを検知する設備が必要です。
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目次
少量危険物の地下タンクにはなぜ設置方式から基準が分かれるのか

火災予防条例(例)は、前条の基準を一部準用しつつ、地下タンク専用の号を追加しています。
地盤面下のコンクリート製タンク室に設置するか、防食性のある材料で被覆するなどして地盤面下に直接埋設するかの二択です。
上部から車両等の荷重を受けるおそれがあるタンクには、荷重が直接かからないふたを設けます。
どちらの方式でも、堅固な基礎の上に固定することが共通の条件です。
新設時は、まずこの設置方式を決めてから、ふたや基礎の工事を進めると手戻りがありません。
設置方式とふた、基礎は工事の記録で確認できそうです。
次はタンク本体そのものの基準が気になります。
そうですね。
次は厚さと水圧試験の数値基準を見ていきましょう。
地下タンクの厚さと水圧試験にはどんな数値基準があるのか

圧力タンクかどうかで、必要な試験の圧力も変わります。
厚さは共通して3.2ミリメートル以上の鋼板等で気密に造ります。
水圧試験の圧力は、圧力タンクでない場合は70キロパスカル、圧力タンクの場合は最大常用圧力の1.5倍です。
試験時間はいずれも10分間で、漏れや変形が無いことを確かめます。
設置時の記録が残っていない場合は、施工業者に試験成績書の有無を確認してください。
うちのタンクは古くて、水圧試験の記録が残っていません。
圧力タンクかどうかも分かりません。
設置時の記録やタンクの仕様書で圧力タンクかどうかを確認してください。
次は危険物の量の確認方法です。
危険物の量はどうやって確認すればよいのか

どちらの方式を選ぶかで、追加で必要になる措置が変わります。
自動表示装置を選んだ場合、条文上はこれ以上の付帯措置は求められていません。
一方で計量口を選んだ場合は、口の真下にあたるタンクの底板が傷みやすいため、損傷を防止する措置を追加で講じる必要があります。
既設のタンクでどちらの方式かが分からない場合は、タンクの図面や設置記録を確認してください。
うちのタンクには計量口が付いていますが、底板の保護までは見た記憶がありません。
これは確認が必要でしょうか。
計量口の直下は底板が傷みやすいので、必ず確認してください。
次は配管と漏れ検知の基準です。
配管の位置と漏れの検知にはなぜ独自の基準があるのか

条例は配管の取り付け位置と、漏れを見つける仕組みの両方を定めています。
配管が側面や底面にあると、継ぎ目からの漏れが土の中に染み出して発見が遅れるおそれがあります。
条文はさらに、タンクの周囲に二箇所以上の管を設けるなどして漏れを検知する設備まで求めています。
点検の際は、配管の位置と検知用の管の両方がそろっているかをあわせて確認してください。
うちのタンクは古くて、配管が側面から出ているように見えます。
これは基準に反しているんでしょうか。
配管の位置は図面や設置記録で確認してください。
最後に点検の手順をまとめます。
地下タンクを点検するときの手順はどうなるか

確認する順番を決めておくと、点検の抜け漏れを防げます。
まず設置方式(タンク室か防食措置つきの直接埋設か)とふた・基礎を見ます。
次に鋼板の厚さと水圧試験の記録、計量口や自動表示装置と底板の保護を確認します。
続いて配管がタンクの頂部にまとまっているか、周囲に検知用の管が二箇所以上あるかを見ます。
明日からは、まず配管の位置と検知用の管の本数の2点から点検を始めてください。
順番に見ていけば、地下でも抜け漏れなく点検できそうです。
次の点検からこの順番で確認します。
それが一番確実です。
まとめとよくある質問もあわせて確認していきましょう。
よくある質問
まとめ
地下タンクにも配管や漏れ検知の独自基準があると分かって助かりました。
うちのタンクを一つずつ確認してみます。
配管の位置と検知用の管の本数、この2点から始めてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号 消防庁長官)第三十一条の五
- 火災予防条例(例)第三十一条の四(タンクの位置、構造及び設備の技術上の基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





