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パッケージ型自動消火設備はスプリンクラーの代わりになるか|対象建物と易燃性の可燃物の基準を解説

天井の自動消火装置を点検している技術者のイメージ

スプリンクラー設備を設置しようとしたら、天井が低くて配管が入らないと言われたことはないでしょうか。
そんなとき、消防法施行令第29条の4という代替設備の規定を使うと、パッケージ型自動消火設備でスプリンクラーの代わりを果たせる場合があります。
ただし設置できる建物や場所には細かい条件があり、Ⅰ型Ⅱ型で対象範囲も異なります。
この記事では、対象となる建物の要件、同時放射区域の考え方、そして設置してはいけない場所と可燃物の基準を解説します。

うちのビル、天井が低くてスプリンクラーの配管が入らないと言われたんです。
代わりの設備ってあるんでしょうか。

パッケージ型自動消火設備のことですね。
令第29条の4の規定で、スプリンクラー設備の代わりとして認められる場合があります。

どんな建物にでも設置できるんですか。

いいえ、対象になる建物や面積には条件があります。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • パッケージ型自動消火設備は、消防法施行令第29条の4に基づきスプリンクラー設備の代わりとして設置できる設備です
  • Ⅰ型は延べ面積10,000平方メートル以下、Ⅱ型は275平方メートル未満の防火対象物が対象です
  • 同時放射区域の面積が13平方メートルを超える場合は、区域を2以上に分割します
  • 放出口は、階段や浴室などスプリンクラー設備を要しない部分には設けられません
  • Ⅱ型は易燃性の可燃物(合成皮革製のソファ等)がある場所には設置できません

パッケージ型自動消火設備の設置条件を示した図解

パッケージ型自動消火設備とは何を指すのか

天井に取り付けられたパッケージ型自動消火設備とスプリンクラー設備を比較したイメージ
消火器のように人が操作する設備とは違い、火元の熱や煙を自動で感知して消火剤を放射する設備です。
まずは、法令上どう位置づけられているのかを確認しましょう。
(必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する基準)第二十九条の四 法第十七条第一項の関係者は、この節の第二款から前款までの規定により設置し、及び維持しなければならない同項に規定する消防用設備等(略)に代えて、総務省令で定めるところにより消防長又は消防署長が、その防火安全性能(略)が当該通常用いられる消防用設備等の防火安全性能と同等以上であると認める消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設(略)を用いることができる。
(消防法施行令第29条の4第1項)
第二 用語の意義 この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 Ⅰ型 第六、第十五及び第十六においてⅠ型として定める性能を有するパッケージ型自動消火設備をいう。
二 Ⅱ型 第六、第十五及び第十六においてⅡ型として定める性能を有するパッケージ型自動消火設備をいう。
十七 同時放射区域 火災が発生した場合において、作動装置又は選択弁等に接続する一の放出導管に接続される、一定の区域に係る全ての放出口から消火及び延焼防止のために同時に消火薬剤を放射し、防護すべき区域をいう。
(パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件 平成16年5月31日 消防庁告示第13号)
自動で消火剤を放射する点が、消火器やパッケージ型消火設備との大きな違いです。
令第29条の4は、通常設置すべき消防用設備等に代えて、同等以上の防火安全性能があると認められる設備を使ってよいと定めています。
パッケージ型自動消火設備は、この代替設備の一つとして消防庁告示第13号で基準が定められました。
性能によってⅠ型Ⅱ型に区分され、設置できる建物の規模もそれぞれ異なります。
まずはこの2つの型の違いから押さえておきましょう。

つまりスプリンクラーの代わりに使える機械ってことですね。
全部の建物で使えるわけではなさそうですね。

そのとおりです。
Ⅰ型とⅡ型で対象になる建物も変わります。

どんな建物にスプリンクラーの代わりとして設置できるのか

延べ面積の異なるⅠ型対象の建物とⅡ型対象の建物を比べているイメージ
設置できる範囲は、Ⅰ型とⅡ型で大きく異なります。
告示が定める防火対象物の要件を確認しましょう。
第三 パッケージ型自動消火設備を設置することができる防火対象物
パッケージ型自動消火設備は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める防火対象物又はその部分に設置することができるものとする。
一 Ⅰ型 消防法施行令第十二条第一項第一号、第三号、第四号及び第九号から第十二号までに掲げる防火対象物又はその部分(略)のうち、令別表第一㈤項若しくは㈥項に掲げる防火対象物又は同表(十六)項に掲げる防火対象物の同表㈤項若しくは㈥項に掲げる防火対象物の用途に供される部分で、延べ面積が一万平方メートル以下のもの
二 Ⅱ型 令第十二条第一項第一号及び第九号に掲げる防火対象物又はその部分で、延べ面積が二百七十五平方メートル未満のもの(易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるものを除く。)
(パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件 平成16年5月31日 消防庁告示第13号)
設置できるのは、旅館や病院、共同住宅などが中心です。
Ⅰ型は、令別表第一(5)項(旅館等・共同住宅等)や(6)項(病院・老人福祉施設等)の用途部分で、延べ面積が10,000平方メートル以下のものが対象です。
Ⅱ型は、劇場や集会場等((1)項)・キャバレー等((9)項)の用途部分で、延べ面積275平方メートル未満のものに限られます。
どちらも延べ面積の上限を超えると、この代替は使えません。
自分の建物の用途区分と延べ面積を、まず令別表第一で確かめてください。

うちは旅館なので、Ⅰ型の対象になりそうです。

延べ面積が10,000平方メートル以下であれば対象になり得ます。
まず図面で確認してみましょう。

同時放射区域はどうやって決まるのか

同時放射区域を2つに分割した部屋にそれぞれ自動消火装置が設置されたイメージ
パッケージ型自動消火設備は、部屋ごとに区切った同時放射区域という単位で防護します。
この区域の決め方には、明確なルールがあります。
第四 設置及び維持に関する技術上の基準(抜粋)
一 同時放射区域は、原則としてパッケージ型自動消火設備を設置しようとする防火対象物又はその部分のうち、壁、床、天井、戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)等で区画されている居室、倉庫等の部分ごとに設定すること。
二 壁、床、天井、戸等で区画されている居室等の面積が十三平方メートルを超えている場合においては、同時放射区域を二以上に分割して、設定することができること。
三 パッケージ型自動消火設備は、当該設備の防護面積(二以上のパッケージ型自動消火設備を組み合せて使用する場合にあっては、当該設備の防護面積の合計)が各同時放射区域の面積以上であるものを設置すること。
(パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件 平成16年5月31日 消防庁告示第13号)
区域の基本単位は、壁や戸で仕切られた居室や倉庫ごとです。
1つの部屋の面積が13平方メートルを超える場合は、同時放射区域を2以上に分割して設定できます。
そして、設置する設備の防護面積は、必ずその同時放射区域の面積以上でなければなりません。
広い部屋に1台だけ置いて面積が足りない、という置き方は基準を満たしません。
部屋の実測面積と、設備の防護面積をあわせて確認する必要があります。

うちの部屋、20平方メートルくらいあるんですが、1台で足りますか。

13平方メートルを超えるなら、区域を分けて設置する必要があります。

放出口を設置してはいけない場所はどこか

階段や浴室やエレベーター機械室に設置禁止を示すパッケージ型自動消火設備のイメージ
自動で消火剤を放射する設備だからこそ、置いてはいけない場所も決められています。
基準が示す除外部分を確認しましょう。
第四 設置及び維持に関する技術上の基準(抜粋)
七 パッケージ型自動消火設備の放出口は、消防法施行規則第十三条第三項各号に掲げる部分以外の部分に設けること。
(パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件 平成16年5月31日 消防庁告示第13号)
(スプリンクラー設備を設置することを要しない階の部分等)第十三条第3項 令第十二条第二項第一号の総務省令で定める部分は、次の各号に掲げる部分以外の部分とする。
一 階段(略)、浴室、便所その他これらに類する場所
二 通信機器室、電子計算機器室、電子顕微鏡室その他これらに類する室
三 エレベーターの機械室、機械換気設備の機械室その他これらに類する室
四 発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている場所
五 エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類する部分
(消防法施行規則第13条第3項)
除外されているのは、そもそもスプリンクラー設備が不要とされる部分と同じ場所です。
階段や浴室、便所、エレベーターの機械室や昇降路、発電機・変圧器の設置場所などがこれにあたります。
これらの場所は火災危険が低い、または消火剤の放射がかえって支障を招くと考えられているためです。
放出口をこうした場所に置いてしまうと、基準に適合しない設置になります。
設計段階で、規則第13条第3項の除外リストと設置予定の場所を照らし合わせてください。

エレベーターの機械室にも置けないんですね。
知りませんでした。

はい、除外リストに載っている場所です。
設計図と照らし合わせてみましょう。

Ⅱ型を設置する前に何を確認すればよいのか

合成皮革のソファと布団やベッドを並べたイメージ
最後に、Ⅱ型を設置する前に必ず確認したい可燃物の基準を見ていきます。
見落とすと設置自体が認められません。
●パッケージ型自動消火設備(Ⅱ型)を設置することができない易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるもの
ア 告示第三第二号に規定する「易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるもの」とは、表面が合成皮革製のソファ等で特に燃焼速度が速いものとして次のいずれにも該当するものが設置されている防火対象物又はその部分が考えられること。
(ア)座面(正面幅が概ね800ミリメートル以上あるもの)及び背面からなるもの
(イ)表面が合成皮革、クッション材が主にポリウレタンで構成されているもの
イ 布団又はベッドが設置されている防火対象物又はその部分(アに該当するものを除く。)は、「易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるもの」に該当しないと考えられること。
(平成28年2月23日消防予第48号)
条件は、燃焼速度の速い合成皮革製ソファのような可燃物があるかどうかです。
具体的には座面幅が概ね800ミリメートル以上で、表面が合成皮革、クッション材が主にポリウレタンでできたソファ等が対象になります。
一方で、布団やベッドが置かれているだけでは、この除外規定には該当しないとされています。
設置前には、対象の部屋にあるソファ等の素材と大きさを実際に確認する必要があります。
判断に迷う場合は、所轄消防署や専門業者に相談してください。

うちの休憩室、合成皮革のソファを置いてるので確認したほうがよさそうですね。

はい、座面の幅と素材を測ってみてください。

よくある質問

Qパッケージ型自動消火設備はどんな建物にも設置できますか?
Aいいえ。Ⅰ型は延べ面積10,000平方メートル以下の令別表第一(5)項・(6)項の用途部分、Ⅱ型は延べ面積275平方メートル未満の(1)項・(9)項の用途部分に限られます。
Q同時放射区域はどのように決めればよいですか?
A壁や戸で区画された居室や倉庫ごとに設定し、面積が13平方メートルを超える場合は2以上に分割します。設備の防護面積は、その区域の面積以上でなければなりません。
Qエレベーターの昇降路にも設置できますか?
Aできません。消防法施行規則第13条第3項各号に掲げる部分(階段・浴室・便所・エレベーターの機械室や昇降路等)には放出口を設けられません。
Q布団やベッドがある部屋にはⅡ型を設置できませんか?
A設置できます。易燃性の可燃物に該当するのは合成皮革製のソファ等特に燃焼速度が速いものであり、布団やベッドはこれに該当しないと考えられています。

まとめ

パッケージ型自動消火設備は、消防法施行令第29条の4に基づきスプリンクラー設備の代わりとして設置できる設備です
Ⅰ型は延べ面積10,000平方メートル以下、Ⅱ型は275平方メートル未満の防火対象物が対象です
同時放射区域は、壁や戸で区画された居室・倉庫ごとに設定します
区域の面積が13平方メートルを超える場合は、2以上に分割します
放出口は消防法施行規則第13条第3項各号に掲げる部分には設置できません
Ⅱ型は易燃性の可燃物(合成皮革製のソファ等)がある場所には設置できません
設置を検討する際は、用途区分・延べ面積・可燃物の有無を順に確認しましょう

対象建物と易燃性の可燃物の基準、しっかり確認します!

判断に迷ったときは、いつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第29条の4(必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する基準)
  • パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年5月31日 消防庁告示第13号)
  • 消防法施行規則第13条第3項(スプリンクラー設備を設置することを要しない部分)
  • 易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるものの解釈に関する行政実例(平成28年2月23日 消防予第48号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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