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消防用設備等の代替設置はどこまで認められるか|令第32条とパッケージ型消火設備の実例

消防用設備等の代替はどこまで認められるか

消防用設備等は、基準どおりに設置するのが原則です。
しかし現場では、基準どおりの設備が物理的に入らない部屋や、別の設備のほうが実情に合う場面があります。
そこで使われるのが消防法施行令第32条の特例規定です。
質疑応答が示したのは基準どおりでなくても同等以上と認められれば設置できるという考え方です。

うちの物置、狭くて補助散水栓が入らないと言われました。
パッケージ型消火設備で代わりになりませんか。

そこは認められています。
告示のただし書きにより補助散水栓の代替として設置できるという回答が出ています。

排煙設備も、別の設備に代えられますか。

条件しだいで代えられます。
5つの実例を順に見ていきます。

この記事の結論
  • 補助散水栓は13号告示第3ただし書きによりパッケージ型消火設備に代えられます
  • 排煙設備は同等の防火安全性能が確認できれば加圧防排煙設備に代えられます
  • 収納設備はII型の代わりに住宅用下方放出型自動消火装置を設置できます
  • 特定共同住宅等の住戸は要件を満たせば宿泊施設として使用できます
  • 特定共同住宅等の非常電源は非常電源専用受信設備にまとめられます

パッケージ型消火設備は補助散水栓の代わりになるか

パッケージ型消火設備を13号告示第3ただし書きにより補助散水栓の代替として設置できることを示したイメージ
補助散水栓は、屋内消火栓の代わりに置ける設備です。
その補助散水栓自体を、別の設備に代えられるかという問いです。
問 パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第12号。以下「12号告示」という。)第3に掲げる階層、規模の要件に該当しない防火対象物に、パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第13号。以下「13号告示」という。)に従いパッケージ型自動消火設備を設置した場合、地階、無窓階又は火災のとき煙が著しく充満するおそれのある場所以外の場所で、消防法施行規則第13条第3項に掲げる部分に、13号告示第3ただし書きにより、補助散水栓の代替としてパッケージ型消火設備を設置してよいか
答 差し支えない。
なお、パッケージ型消火設備の設置にあたっては、12号告示に規定される技術基準のうち、第3に掲げる規定以外の基準に適合する必要があることを念のため申し添える。
設置できる場所は限定されています
条件は地階、無窓階又は煙が著しく充満するおそれのある場所以外であることです。危険度の高い場所には使えません。
なお書きも軽く読まないでください。12号告示のうち第3以外の基準には適合が必要とされています。ただし書きが免除するのは第3の部分だけです。
自分の建物では、対象の部屋が地階や無窓階に当たらないかを図面で確かめてください。当たる場合はこの代替は使えません。

地階だと、この代替は使えないんですね。

その通りです。
対象の部屋が地階や無窓階に当たらないか確かめてください

加圧防排煙設備は排煙設備の代わりになるか

加圧防排煙設備が技術基準に適合しない場合でも消防法施行令第32条を適用して排煙設備の代替として設置できることを示したイメージ
加圧防排煙設備には、専用の技術基準があります。
その基準に完全には合わない場合、排煙設備の代わりとして使えなくなるのか。
問 排煙設備に代えて用いることができる必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等である加圧防排煙設備については、「排煙設備に代えて用いることができる必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令」(平成21年総務省令第88号)及び「加圧防排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準」(平成21年消防庁告示第16号)においてその設置及び維持に関する技術上の基準が規定されているところであるが、これらの技術上の基準の全部又は一部に適合しない場合に、同等の防火安全性能を有することが確認されれば、消防法施行令第32条を適用すること、又は特殊消防用設備等として総務大臣の認定を受けることにより、排煙設備の代替として当該設備を設置することは可能と考えてよいか
答 差し支えない。
なお、加圧防排煙設備に係る技術上の基準について、(財)日本消防設備安全センターより「加圧防排煙設備の設計・審査に係る運用ガイドライン」が示されているので、参考とされたい。
基準に完全に合わなくても道は2つあります
1つは消防法施行令第32条の適用、もう1つは特殊消防用設備等としての総務大臣認定です。
どちらの道も、共通の条件が前提になっています。同等の防火安全性能を有することが確認されることです。基準の文言に一致しなくてよいわけではありません。
なお書きにある運用ガイドラインは、この確認を進めるときの手がかりになります。基準に完全一致しない設計を検討しているなら、まずこのガイドラインを確認してください。

基準に合わなければ即アウト、ではないんですね。

そうです。
同等の防火安全性能があるかどうかで判断されます

収納設備にII型の代わりに置ける消火装置はあるか

収納設備がII型パッケージ型自動消火設備で防護しにくい場合に消防法施行令第32条を適用して住宅用下方放出型自動消火装置を設置できることを示したイメージ
居室と収納設備の広さの組み合わせによっては、II型を2台以上設置する必要が出てきます。
収納設備は居室より小さく燃えにくいのに、同じ扱いでよいのか。
問 パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第13号)第3第2号に掲げる防火対象物に同告示第2条第2号に規定するII型(以下「II型」という。)を設置する際に、13平方メートル以下の居室に対し収納設備が設けられ13平方メートルを超えることとなる場合又は居室と収納設備の床面積の合計が13平方メートル以下であっても居室や収納設備の形状等の理由から1台のII型では防護し難い場合は、II型を2台以上設置することが求められているところであるが、次の条件を満たす場合は、収納設備は居室と比べて出火危険性が低いこと、居室と比較して体積が小さいため早期の火災感知が可能であること及び防護面積が小さいことに鑑み、消防法施行令(昭和36年政令第37号)第32条を適用し収納設備に対しII型に代えて住宅用下方放出型自動消火装置を設置してよいか
1 一の収納設備の床面積は3平方メートル以下であること。
2 設置する住宅用下方放出型自動消火装置は、収納設備を防護できる性能を有していること。
3 II型の点検時には住宅用下方放出型自動消火装置についてもII型の点検基準に準じた点検が定期的に実施され適切に維持管理されていること。
答 差し支えない。
なお、設置する住宅用下方放出型自動消火装置は、居室と収納設備が一の同時放射区域となる場合であっても必ずしもII型との連動を要さないものとする。
理由は収納設備の性質にあります
挙げられた根拠は出火危険性の低さ・体積の小ささ・防護面積の小ささの3つです。居室と同格に扱う必要がないという判断です。
条件は3つ並んでいます。収納設備の床面積が3平方メートル以下であること、装置が収納設備を防護できる性能を持つこと、そしてII型の点検にあわせて定期的に点検されることです。
なお書きも実務的です。同時放射区域が一体になっていても、II型との連動は必須ではないとされました。配線の設計をシンプルにできます。
自分の建物で検討するなら、まず収納設備の床面積を測ってください。3平方メートルを超えていれば、この代替は使えません。

収納設備は居室と同じ扱いをしなくてよいという発想なんですね。

そこが根拠です。
収納設備の床面積をまず測ってください

特定共同住宅等の住戸を宿泊施設として使えるか

特定共同住宅等の一部の住戸を宿泊施設として使用する場合に要件を満たせば消防法施行令第32条を適用して40号省令の設備を設置できることを示したイメージ
特定共同住宅等は、住戸としての利用を前提に設備が決められています。
その一部を宿泊施設として使う場合はどうなるのか。
問 令別表第1(5)項ロに掲げる用途に供する部分のみで構成されている特定共同住宅等(「特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令」(平成17年総務省令第40号。以下「40号省令」という。)第2条第1号に規定するものをいう。)の一部の住戸を宿泊施設として使用する場合に、次に掲げる要件を満たすものについては、令第32条の規定を適用し、40号省令に規定する必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等の設置を認めてよいか
1 当該宿泊施設が100㎡以下で区画されていること。
2 当該宿泊施設の床面積が当該防火対象物の延べ面積の10分の1以下、かつ300㎡未満であること。
答 差し支えない。
2つの上限で歯止めがかかっています
面積の上限が100㎡以下、割合の上限が延べ面積の10分の1以下かつ300㎡未満です。どちらか一方ではなく両方を満たす必要があります。
この2つの条件は、建物全体に対して宿泊施設化が小規模にとどまることを求めています。住戸の性格を大きく変えない範囲だから認められるという考え方です。
建物の一部を短期宿泊で使う計画があるなら、対象住戸の面積と建物全体の延べ面積の両方を先に出してください。どちらか一方でも超えていれば、この扱いは使えません。

面積の上限と割合の上限、両方をクリアしないといけないんですね。

その通りです。
対象住戸の面積と建物全体の延べ面積を先に出してください

特定共同住宅等の非常電源はまとめられるか

特定共同住宅等の非常電源を消防法施行令第32条を適用して非常電源専用受信設備に統合できることを示したイメージ
スプリンクラー、連結送水管、非常コンセント設備。
それぞれに非常電源を個別に持たせるのが原則ですが、まとめられないのか。
問 40号省令第2条第1号に規定する特定共同住宅等で、延べ面積が1,000㎡以上の令別表第1(16)項イとなるものであっても、同条第1号の2に規定する住戸利用施設の床面積の合計が1,000㎡未満であるものについては、令第32条の規定を適用し、共同住宅用スプリンクラー設備、連結送水管(共同住宅用連結送水管を含み、加圧送水装置を設けたものに限る。)及び非常コンセント設備(共同住宅用非常コンセント設備を含む。)に附置する非常電源を非常電源専用受信設備としてよいか
答 差し支えない。
まとめられる条件は住戸部分の小ささです
建物全体は延べ面積1,000㎡以上の大きな特定共同住宅等でも、住戸利用施設の床面積の合計が1,000㎡未満であれば対象になります。
対象になる設備は3つ挙げられています。スプリンクラー・連結送水管・非常コンセント設備の非常電源を、非常電源専用受信設備として統合できます。
建物の規模で自動的に決まる話ではありません。住戸として使われている部分がどれだけあるかを、実際に積み上げて確認する必要があります。
自分の建物では、住戸利用施設の床面積を合計してください。1,000㎡未満に収まっていれば、非常電源の統合を検討する余地があります。

建物全体の大きさではなく、住戸部分の大きさで見るんですね。

そこが分かれ目です。
住戸利用施設の床面積を合計してください
㈱防災屋でもご相談を承っています。

よくある質問

Qパッケージ型消火設備はどこにでも補助散水栓の代わりに置けますか?
A回答は、地階、無窓階又は火災のとき煙が著しく充満するおそれのある場所以外の場所に限って差し支えないとしています。
Q加圧防排煙設備が技術基準に完全には合わない場合はどうなりますか?
A回答は、同等の防火安全性能を有することが確認されれば、令第32条の適用又は特殊消防用設備等としての認定により設置可能としています。
Q住宅用下方放出型自動消火装置はII型と連動させる必要がありますか?
A回答のなお書きは、居室と収納設備が一の同時放射区域となる場合であっても必ずしも連動を要さないとしています。
Q宿泊施設化できる住戸の面積に上限はありますか?
A回答は、宿泊施設が100㎡以下で区画され、かつ延べ面積の10分の1以下かつ300㎡未満であることを要件としています。

まとめ

補助散水栓は告示のただし書きによりパッケージ型消火設備に代えられます
排煙設備は同等の防火安全性能があれば加圧防排煙設備に代えられます
収納設備は床面積3平方メートル以下なら住宅用下方放出型自動消火装置に代えられます
特定共同住宅等の住戸は100㎡以下かつ延べ面積の10分の1以下で宿泊施設化できます
住戸利用施設が1,000㎡未満なら非常電源をまとめられます
どの代替も同等以上の性能が前提になっています
検討するときは面積と場所の条件を先に数値で出してください

代替できるかどうか、条件込みで分かりました。
うちの建物でも確かめてみます。

どの実例も、条件を数値で満たせるかがすべてです。
面積を測るところから始めてください
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成25年3月18日 事務連絡 予防課から各都道府県消防防災主管課・東京消防庁・各指定都市消防本部あて)
  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成28年5月16日 消防予第163号 予防課長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成28年9月13日 消防予第278号 予防課長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成30年6月15日 消防予第426号 予防課長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
  • 消防法施行令第32条
  • 特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成17年総務省令第40号)
  • パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第12号)
  • パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第13号)
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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消防用設備等の代替はどこまで認められるか
消防用設備等は、基準どおりに設置するのが原則です。 しかし現場では、基準どおりの設備が物理的に入らない部屋や、別の設備のほうが実情に合う場面があります。 そこで使われるのが消防法施行令第32条の特例規定です。 質疑応答が...