特定共同住宅等ではスプリンクラーや自動火災報知設備を住宅用の設備に置き換えられることは知られています。
実は消防隊が使う連結送水管や非常コンセント設備にも、専用の代替設備が用意されています。
ただし代替が使えるのは、建物の一部の条件を満たす特定共同住宅等に限られます。
40号省令が定めるのは出入口がどこに面しているかという条件です。
スプリンクラーだけでなく、連結送水管にも代替設備があるとは知りませんでした。
ただしどの建物でも使えるわけではありません。
出入口の造りで決まる条件があります。
うちのマンションは対象になるのでしょうか。
見るのは住戸や共用室の出入口が面する場所です。
順番に確認していきましょう。
- 特定共同住宅等でも連結送水管や非常コンセント設備を共同住宅用の代替設備に代えられる場合があります
- 代替が認められる条件は住戸・共用室・管理人室の主たる出入口が階段室等に面していることです
- 開放型特定共同住宅等は定義上この条件を満たさないため代替を使えません
- 共同住宅用連結送水管の放水口は三階ごと、非常コンセントは十一階から設けます
- 対象外の建物では通常の連結送水管と非常コンセント設備を令の基準どおりに維持しなければなりません
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目次
連結送水管や非常コンセント設備も特定共同住宅等では代替できるのか

実は消防隊が消火活動で使う連結送水管や非常コンセント設備にも、専用の代替設備が用意されています。
条文にある「消防活動支援性能」とは、消防隊が到着してから安全に消火・救助活動を行うための性能を指します。
連結送水管は高層階までホースを届けるための配管、非常コンセント設備は照明や排煙機の電源を確保するコンセントです。
どちらも本来はビル全体で使う大がかりな設備ですが、共同住宅用の代替設備はより簡易な仕様で足ります。
ただし第5条第1項が定める条件を満たさない特定共同住宅等では、この代替は使えません。
連結送水管まで簡易な設備に代えられるとは驚きました。
条件を満たす建物に限った話です。
次はその条件の中身を見ましょう。
代替が認められる条件とは何を指すのか

二方向避難型や開放型といった呼び方そのものでは判定できません。
一方で同令第2条第9号は、開放型特定共同住宅等を「主たる出入口が開放型廊下又は開放型階段に面していること」で定義しています。
開放型廊下・開放型階段は外気に開放された通路であり、防火戸で囲われた階段室等とは構造がまったく異なります。
つまり開放型特定共同住宅等に分類される建物は、定義のうえで階段室等に面する条件を満たしません。
自分の建物がどちらに当たるかは、住戸や共用室の出入口がどの通路に面しているかを実際に確認する必要があります。
階段室等という言葉、初めて聞きました。
普段よく見る防火戸付きの階段のことです。
開放型の廊下とは別物と覚えてください。
共同住宅用連結送水管と非常コンセント設備の設置基準はどうなっているか

第5条第2項が、放水口と非常コンセントそれぞれの位置を具体的に定めています。
放水口は三階から数えて三階ごとに設ける決まりです。
非常コンセントは十一階からと、放水口よりずっと高い階数を起点にしている点が特徴です。
これは非常コンセント設備が主に高層階での照明・排煙機器の電源確保を目的とし、はしご車の届く高さを超えた階で特に重要になるためです。
設置場所は階段室等の踊り場や非常用エレベーターの乗降ロビーなど、消防隊が実際に活動しやすい位置に限られます。
非常コンセントだけ十一階からというのは意外です。
高層階の電源確保が目的だからです。
低い階では設置義務そのものがありません。
開放型の特定共同住宅等ではこの代替が使えないのはなぜか

開放型特定共同住宅等では、この代替そのものが使えません。
第5条第1項が求める「階段室等に面する」という条件とは、構造上両立しません。
二方向避難・開放型特定共同住宅等も同様に開放型の性質を併せ持つため、この代替は使えません。
二方向避難型やその他の特定共同住宅等であっても、実際の出入口が開放型廊下や開放型階段に面していれば同じく対象外になります。
対象外の建物では、通常の連結送水管と非常コンセント設備を令の基準どおりに設置し維持しなければなりません。
うちは開放廊下の建物なので、代替は使えないということですね。
定義上、階段室等には当たりません。
通常の設備をそのまま維持してください。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に見ていけば判断はそれほど難しくありません。
住戸・共用室・管理人室の出入口が、階段室等・開放型廊下・開放型階段のどれに面しているかを図面と現地の両方で見比べてください。
対象になる建物では、共同住宅用連結送水管の放水口が階段室等や非常用エレベーターの乗降ロビーに設けられているかを確認します。
共同住宅用非常コンセント設備は十一階以上にしか設置義務がないため、低層の共同住宅では最初から対象にならないことも覚えておきましょう。
迷ったときは所轄消防署か点検業者に図面を見せて、条件を満たしているかを確認するのが確実です。
出入口がどこに面しているかさえ確認すれば良いんですね!
まずは図面での確認から始めましょう。
迷ったら所轄消防署にも相談してください。
よくある質問
まとめ
出入口の面する場所、図面で確認してみます!
それだけ押さえれば話が早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成17年総務省令第40号)第1条・第2条・第5条
- 消防法施行令第29条の4
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





