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特定共同住宅が二方向避難型や開放型になるにはどんな構造が要るのか|バルコニーの隔板表示から廊下の外気開放条件まで解説

バルコニーの隔板を確認している技術者のイメージ

マンションで通常の消防用設備の代わりに40号省令の代替設備を使うには、まず建物の構造類型を判定する必要があります。
判定に使う型は二方向避難型開放型に分かれ、両方を満たせば二方向避難・開放型になります。
どちらの型に当たるかで、置ける設備の種類や免除される消防用設備が変わってきます。
平成17年消防庁告示第3号が定めているのは構造類型ごとの具体的な構造要件です。

うちのマンションが二方向避難型なのか開放型なのか、正直よく分かっていません。
図面のどこを見れば判定できるのでしょうか。

見るのはバルコニーや廊下の外気への開き方です。
型ごとに要件が違うので、順番に確認していきましょう。

バルコニーの仕切り板に何か表示が要る、という話も聞いたことがあります。

それは二方向避難型の要件のひとつです。
開放型ではまた別の条件を見ます。

この記事の結論
  • 特定共同住宅の構造類型は二方向避難型・開放型・二方向避難・開放型・その他の4つに分かれます
  • 二方向避難型はバルコニー等と規則第4条の2の2が定める避難上有効な開口部が前提です
  • 隔板等がある場合は容易に開放・除去・破壊できる構造にし3つの事項を表示しなければなりません
  • 開放型は廊下の外気に面する部分の面積が見付面積の3分の1を超えることが条件です
  • 両方の要件を満たせば二方向避難・開放型として扱われ、判定を誤ると設置できる代替設備も変わります

二方向避難型と開放型の見分け方を示した図解

特定共同住宅の設備計画はなぜ構造類型の判定から始まるのか

特定共同住宅の階ごとに構造類型の判定を行うイメージ
40号省令の代替設備をどこまで使えるかは、建物ひとつひとつの図面によって答えが変わります。
その入り口になるのが、告示が定める構造類型の判定です。
特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令第2条第8号から第10号までの規定に基づき、特定共同住宅等の構造類型を次のとおり定める(平成17年消防庁告示第3号)。この告示は、同令第2条第8号から第10号までに規定する特定共同住宅等の構造類型を定めるものとする(同告示第一 趣旨)。
構造類型は全部で4つに分かれます
告示第3号は二方向避難型開放型二方向避難・開放型という3つの型と、そのいずれにも該当しない「その他」を定めています。
どの型に当たるかによって、通常用いる消防用設備等の代わりに使える代替設備の種類や、設置を省略できる設備が変わります。
建物ぜんぶをひとつの型で決めつけることはできず、住戸や共用室が存する階ごと、廊下や階段室の造りごとに確認していく作業になります。
まずは自分の建物が何階建てで、廊下と階段室がどんな形になっているかを整理するところから始めます。

二方向避難型と開放型は、それぞれ別の建物の話だと思っていました。

同じ建物が両方を満たすこともあります。
まずは廊下と階段室の造りを確認しましょう。

二方向避難型と認められるにはどんな条件が要るのか

バルコニーの隔板が開閉できる状態と固定された状態を比較するイメージ
二方向避難型は、火災が起きても住戸から少なくとも2つの避難経路を選べることを目指す型です。
バルコニーをどう使うかが、判定の中心になります。
住戸等の外気に面する部分に、バルコニーその他これに類するもの(以下「バルコニー等」という。)が、避難上有効に設けられていること。バルコニー等に面する住戸等の外壁に、消防法施行規則第4条の2の2に規定する避難上有効な開口部が設けられていること。隣接するバルコニー等が隔板等によって隔てられている場合にあっては、当該隔板等が容易に開放し、除去し、又は破壊することができ、かつ、当該隔板等に次に掲げる事項が表示されていること。イ 当該バルコニー等が避難経路として使用される旨 ロ 当該隔板等を開放し、除去し、又は破壊する方法 ハ 当該隔板等の近傍に避難上支障となる物品を置くことを禁ずる旨(平成17年消防庁告示第3号第三 二)
バルコニーが避難経路として機能するかどうかがカギです
外気に面する部分にバルコニー等を設け、規則第4条の2の2が定める避難上有効な開口部を備えることが前提になります。
隣の住戸とバルコニーが隔板等で仕切られている場合は、その隔板等を容易に開放・除去・破壊できる構造にしたうえで、3つの事項を表示しなければなりません。
表示が無かったり、隔板等が固定されていて壊せない造りだったりすると、バルコニーがあっても避難経路として認められません。
現地確認では、隔板等そのものだけでなく、そこに貼られている表示の内容まで見る必要があります。

バルコニーがあれば自動的に二方向避難型になると思っていました。

隔板等の表示の有無まで見ます。
設置しただけでは足りません。

開放型と認められるにはどんな廊下や階段室の構造が要るのか

外気に開放された廊下と閉鎖された廊下を比較するイメージ
開放型は、廊下や階段室が煙を外へ逃がせるかどうかを見る型です。
外気にどれだけ開かれているかが数値で決められています。
すべての階の廊下及び階段室等が隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1メートル以上離れていること。すべての階の廊下は、次のaからdまでに定めるところによること。a 各階の外気に面する部分の面積(廊下の端部に接する垂直面の面積を除く。)は、当該階の見付面積の3分の1を超えていること。b 外気に面する部分の上部に垂れ壁等を設ける場合は、当該垂れ壁等の下端から天井までの高さは、30センチメートル以下であること。c 手すり等の上端から垂れ壁等の下端までの高さは、1メートル以上であること。d 外気に面する部分に風雨等を遮るために壁等を設ける場合にあっては、当該壁等の幅を2メートル以下とし、かつ、当該壁等相互間の距離を1メートル以上とすること(平成17年消防庁告示第3号第四 二)
廊下の壁の何割が外に開いているかが問われます
外気に面する部分の面積が、その階の見付面積の3分の1を超えていることが最初の条件です。
垂れ壁や手すりの高さ、風よけの壁の幅と間隔まで数値で決まっており、感覚だけで開放廊下だからと済ませることはできません。
階段室についても、平成14年消防庁告示第7号に適合する開口部を持つか、煙が床上1.8メートルまで降りてこないことのどちらかを満たす必要があります。
図面に見付面積と開口部面積を書き込み、比率を計算してから判定するのが確実です。

廊下が外に面してさえいれば開放型になると思っていました。

面積の割合や垂れ壁の高さまで数字で決まっています。
目分量では判定できません。

実務で見落としやすいのはどこか

エントランスホールの吹き抜けを耐火構造の床で区画するイメージ
二方向避難型と開放型は、それぞれ独立した物差しです。
どちらも満たしたときにだけ、もう一段上の型になります。
省令第2条第10号に規定する二方向避難・開放型特定共同住宅等は、(略)第三及び第四に掲げる要件を満たすものとする(平成17年消防庁告示第3号第五)。エントランスホール等は、避難階以外の階にわたらないものとすること。ただし、当該エントランスホール等が耐火構造の床又は壁で当該避難階以外の階と区画されている場合(当該エントランスホール等と特定共同住宅等の部分を区画する床又は壁に開口部を設ける場合にあっては、防火設備であるはめごろし戸が設けられているものに限る。)にあっては、この限りでない(同告示第四 二 (三)ロ)。
二方向避難型と開放型は別々に判定し、両方満たしたときだけ二方向避難・開放型になります
うちは両方満たしていそうだからと決めつけるのではなく、第三の要件第四の要件をそれぞれ個別に確認する必要があります。
見落としやすいのがエントランスホールで、直接外気に開放されていないエントランスホールが避難階にある場合、そのホールが避難階以外の階にまたがっていないかを確認しなければなりません。
耐火構造の床や壁で区画されていれば例外的にまたがってもよいとされていますが、区画に開口部があるときは防火設備であるはめごろし戸が条件になります。
エントランスホールが吹き抜けで上階とつながっている建物は、この区画の有無を必ず確認してください。

二方向避難型と開放型、両方満たさないといけないと思っていました。

型ごとに別々に判定します。
両方満たせば二方向避難・開放型という扱いになるだけです。

明日からなにを確認すればよいのか

担当者がチェックリストを持って建物を確認するイメージ
判定の基準が分かれば、次は現地で数字を測る段階です。
避難上有効な開口部も、実は具体的な数値で決まっています。
令第4条の2の2第2号及び令第25条第1項第5号の総務省令で定める避難上有効な開口部は、直径1メートル以上の円が内接することができる開口部又はその幅及び高さがそれぞれ75センチメートル以上及び1.2メートル以上の開口部とする。前項の開口部は、床面から開口部の下端までの高さは、15センチメートル以内であること、開口部は、格子その他の容易に避難することを妨げる構造を有しないものであること、開口部は、開口のため常時良好な状態に維持されているものであることに適合するものでなければならない(消防法施行規則第4条の2の2)。
避難上有効な開口部には具体的な寸法基準があります
規則が定めるのは、直径1メートル以上の円が入る開口部か、幅と高さがそれぞれ75センチメートルと1.2メートル以上ある開口部のどちらかです。
床から開口部の下端までの高さは15センチメートル以内、格子など避難の妨げになる構造が無いこと、そして常に開けられる状態を保っていることも条件になります。
物置代わりに荷物を積んで開口部を塞いでいたり、格子を後付けしていたりすると、寸法を満たしていても要件から外れます。
現地では巻尺で開口部の寸法を測り、実際に人が通れる状態かどうかまで確認してください。

開口部の寸法まで測るとは思っていませんでした。

巻尺があればすぐ確認できます。
まずは15センチメートルの高さから見てください。

よくある質問

Qバルコニーがあれば自動的に二方向避難型になりますか?
Aいいえ。バルコニー等を設けたうえで、規則第4条の2の2の避難上有効な開口部を備え、隔板等がある場合は容易に開放・除去・破壊できる構造と3つの事項の表示が必要です。
Q廊下が外に面していれば開放型になりますか?
A面しているだけでは足りません。外気に面する部分の面積が見付面積の3分の1を超えること、垂れ壁や手すりの高さが数値どおりであることなど、告示第3号が定める複数の条件をすべて満たす必要があります。
Q二方向避難型と開放型の両方を満たすとどうなりますか?
A二方向避難・開放型特定共同住宅等として扱われます。第三の要件と第四の要件をどちらも満たしていることが前提です。
Qエントランスホールが吹き抜けで複数階にまたがっている場合はどうなりますか?
A耐火構造の床又は壁で区画されていなければ、原則として認められません。区画に開口部を設ける場合は防火設備であるはめごろし戸が必要です。

まとめ

特定共同住宅の構造類型は二方向避難型・開放型・二方向避難・開放型・その他の4つに分かれます
二方向避難型はバルコニー等と避難上有効な開口部が前提です
隔板等がある場合は容易に開放・除去・破壊できる構造にし3つの事項を表示します
開放型は廊下の外気に面する面積が見付面積の3分の1を超えることが条件です
垂れ壁や手すりの高さ、風雨を遮る壁の幅と間隔も数値で決まっています
両方の要件を満たせば二方向避難・開放型として扱われます
エントランスホールが複数階にまたがる場合は耐火区画の有無を確認します

住戸等の位置、バルコニーの隔板等、廊下の外気への開き方の3つを図面で確かめてみます。

その3つを押さえれば話が早く進みます
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 特定共同住宅等の構造類型を定める件(平成17年消防庁告示第3号)
  • 特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成17年総務省令第40号)
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の2

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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