移送取扱所の配管は、地下に埋設する経路の途中で道路や線路を横断することがあります。
危険物の規制に関する規則は、道路を横断する場合と線路を横断する場合とで、認められる方法を変えています。
道路は地下埋設が原則としつつも架空横断という例外を残していますが、線路にはその選択肢がありません。
この記事では、道路と線路で横断のルールがどう分かれるのかを条文から整理します。
道路も線路も、配管を渡すときは同じように地下に埋めればよいと思っていました。
実は道路には上空を渡る例外が認められているんです。
線路の場合も、同じように上空を渡れるのでしょうか。
いいえ、線路の横断にはその例外がありません。
今日は道路と線路で横断のルールがどう違うのかを条文から解説します。
- 道路を横断する配管は、原則として道路の下に埋設しなければなりません
- 地形の状況その他特別の理由でやむを得ず、かつ保安上適切な措置を講じた場合に限り架空横断が認められます
- 道路を地下で横断する配管は、さや管その他の告示で定める構造物に収めるのが原則です
- 支持条件の急変への措置と交通に著しい支障がないことが確認できれば、さや管を省略できます
- 線路を横断する配管には架空という選択肢がなく、地下埋設のみが認められます
▼

目次
移送取扱所の配管が道路や線路を横断するとき原則はどちらか

まず道路を横断する場合の原則を確認します。
規則第28条の19第1項は、道路を横断して配管を設置する場合について、道路下に埋設することを原則として求めています。
横断のたびに埋めるか渡すかを自由に選べるわけではなく、まず地下に埋めることが出発点になります。
次の見出しでは、この原則に対して例外的に認められる方法を確認します。
横断するときも、必ず地下に埋めなければならないのですか。
この号だけを見ればそうですが、実はただし書きに例外があります。
次の見出しで確認しましょう。
道路の横断で架空にできるのはどんな場合か

その条件は二つとも満たす必要があります。
一つ目は地形の状況その他特別の理由により道路の上空以外に適当な場所がないことで、単に地下埋設のほうが手間だからという理由では足りません。
二つ目は保安上適切な措置を講じることで、支持構造物の強度や車両への安全確保などが問われます。
どちらか一方だけでは足りず、両方を満たしたうえで初めて道路上を渡ることが選択肢になります。
上空を渡るほうが工事は簡単そうですが、それだけでは選べないのですか。
はい、地形の事情と保安上の措置がそろって初めて選べます。
次はこの地下埋設を選んだときの構造の基準を見てみましょう。
道路を地下で横断する配管はなぜさや管に収めるのか

条文は原則とただし書きの両方を置いています。
規則第28条の19第2項は、道路を横断して配管を埋設する場合について、さや管その他の告示で定める構造物の中に設置することを求めています。
ただし書きでは、支持条件の急変に対する適切な措置が講じられ、かつ工事によって交通に著しい支障が生じるおそれがない場合はこの限りでないとされ、条件次第でさや管を省略できます。
省略できるかどうかは工事の影響の大きさで判断が分かれるため、交通量や施工方法まで踏まえた記録を残しておくことが実務の要点になります。
さや管を省略できるなら、最初から無い前提で工事を進めてもよいのでしょうか。
いいえ、省略はあくまで例外です。
まずさや管を入れる前提で計画し、条件がそろえば見直す順番になります。
線路を横断する配管に架空という選択肢がないのはなぜか

条文が準用している範囲を確認すると、その理由が分かります。
規則第28条の20は、線路敷を横断して配管を埋設する場合について、第28条の14(第一号を除く。)と前条(第28条の19)第2項だけを準用すると定めています。
準用の対象に第28条の19の第1項(地下埋設の原則と架空横断のただし書き)や第3項(架空横断時の垂直距離)は含まれておらず、条文はそもそも「埋設する場合」だけを前提に書かれています。
つまり線路を横断する配管には、道路のような架空横断の選択肢そのものが用意されていません。
線路も、道路と同じように上空を渡れると思っていました。
線路の横断には、その例外自体が準用されていません。
次の見出しで、線路の横断が実際に引き継ぐ基準を確認しましょう。
線路を横断する配管はどの基準を引き継ぐのか

実際に生きてくる基準を確認します。
第28条の14第二号により、配管の外面と地表面との距離は1.2メートル以上を確保しなければなりません。
除外されている第一号(軌道中心から4メートル以上等の水平距離)は、横断ではなく線路敷に沿って埋める場合の基準のため、横断時には適用されません。
さらに前条第2項の準用により、さや管その他の告示で定める構造物への収容もあわせて必要になるため、線路の横断では深さとさや管の両方を満たしているかを確認することが実務の締めくくりになります。
線路の横断では、深さとさや管の両方をそろえる必要があるのですね。
そのとおりです。
まずは自社の配管がその両方を満たしているか、記録から確認してください。
よくある質問
まとめ
道路と線路で選択肢そのものが違うとよく分かりました。
まずは横断箇所の図面から確かめてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の14・第28条の19・第28条の20
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





