発電機室や変圧器室の天井を見上げると、他の部屋にあるはずのスプリンクラーヘッドが見当たらないことがあります。
見落としや施工漏れのように見えますが、実はこれは消防法施行規則が正式に認めている取り扱いです。
どんな場所が対象になるのか、免除される部屋に他の備えは要らないのかを、条文から順に確認していきます。
発電機室や変圧器室の消防用設備について、条文に沿って正しく理解しましょう
うちの電気室、天井を見てもスプリンクラーヘッドが一つも無いんです。
それは施工漏れではなく、消防法施行規則が認めている正式な取り扱いです。
法律で決まっているなら、うちも安心していいんですね。
どの部屋が対象になるかは条文で決まっているので、順番に確認していきましょう。
- 発電機室や変圧器室はスプリンクラーヘッドを設けなくてよい部分にあたります
- 根拠は消防法施行規則第13条第3項第4号です
- ヘッドの免除であって消火設備そのものの設置義務が消えるわけではありません
- 床面積が200平方メートル以上になると別の消火設備が必要になります
- 対象かどうかは図面で電気設備の設置場所を確認して判断します
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目次
発電機室や変圧器室になぜスプリンクラーヘッドを設けなくてよいのか

発電機室や変圧器室はその代表例です。
スプリンクラー設備は消防法施行令第12条第2項第1号により、原則として天井や小屋裏の総務省令で定める部分に設けます。
その総務省令で定める部分を裏から定めているのが消防法施行規則第13条第3項で、各号に該当する場所は設置しなくてよい部分として除かれます。
第4号に発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている場所が挙げられているため、電気室はヘッドの設置対象から外れます。
まずは自分の建物のどこが電気設備の設置場所にあたるのかを、図面で洗い出すところから始めます。
うちの受電盤の部屋も、天井にヘッドが無いのはこの号のおかげなんですね。
そのとおりです。
条文が第4号として名指ししている場所なので、正しい取り扱いです。
どこまでが電気設備の設置場所に含まれるのか

どこまでが対象に含まれるのか、条文の言葉を確かめます。
号の名前は機器の種類であって部屋の名前ではありません。
受配電盤やキュービクル式の設備が置かれた場所も、発電機や変圧器と同様の機能を持つ電気設備として扱われることがあります。
一方で、同じ部屋を電気設備以外の物品の保管に多く使っている場合など、電気設備の設置場所と言い切れない使い方をしていれば、当てはまるかどうかは個別の判断になります。
室名の看板だけで判断せず、実際の設置状況を所轄消防署へ確かめてください。
うちのキュービクルの部屋も、同じように考えていいんでしょうか。
機能としては近いですが、最終的には所轄消防署の判断になります。
図面を持って相談しましょう。
ヘッドが免除される部屋に消火設備はまったく要らなくなるのか

別の条文が、床面積によって新しい設置義務を定めています。
消防法施行令第13条第1項は、発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている部分のうち、床面積が200平方メートル以上のものに、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備のいずれかを設置するよう定めています。
つまり同じ「発電機、変圧器その他これらに類する電気設備」という言葉が、規則第13条第3項ではスプリンクラーヘッドの免除の根拠に、令第13条第1項では別の消火設備の設置義務の根拠になっています。
床面積が200平方メートル未満であれば、この設置義務そのものは生じません。
容量や構造によっては大型消火器で足りる特例が認められる場合もあるので、対象になりそうな場合は個別に確認してください。
うちの電気室も200平方メートルを超えていたら、別の設備が必要になるんですね。
はい、面積を測って超えているようなら、不活性ガス消火設備などの検討が必要です。
実務で見落としやすいのはどこか

見落としやすい点を確認します。
電気室の一部を物品の保管スペースとして使っている場合、その部分まで自動的に第4号の対象になるとは限りません。
用途が混在する部屋は、電気設備の設置場所とそれ以外の部分を分けて考える必要があります。
号の対象はあくまで発電機、変圧器その他これらに類する電気設備であり、単なる配線や照明設備だけの部屋は当てはまりません。
図面の上で電気設備が実際にどこまで置かれているかを確認し、部屋全体をまとめて判断しないようにしてください。
うちの電気室、隅に工具とか置いてあるんですが、それでも問題ないですか。
保管が目的化していなければ大きな問題にはなりにくいですが、範囲が曖昧なら所轄消防署に確認しておくと安心です。
明日からなにを確かめればよいのか

図面と現地の両方を見ることが大切です。
まず建物の図面で発電機室や変圧器室、キュービクルの設置場所を洗い出します。
次に該当する部屋の床面積を測り、200平方メートル以上かどうかを確認します。
200平方メートル以上であれば、不活性ガス消火設備などの設置状況もあわせて確認します。
不明な点があれば、図面を持って所轄消防署に相談し、自分の建物がどの号に当たるのかを確定させてください。
まずは図面で場所と面積を確認してみます。
それが一番確実な進め方です。
分からない点があればいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
これで発電機室や変圧器室のスプリンクラーの扱いがすっきりしました!
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第12条第2項第1号
- 消防法施行令第13条第1項
- 消防法施行規則第13条第3項第4号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





