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アセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等はなぜ屋外タンクで違う対策を求められるのか|移動タンクでは消える基準と残る基準を解説

アセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等はなぜ屋外タンクで違う対策を求められるのか アイキャッチ

危険物の中には、アセトアルデヒドやヒドロキシルアミンのように、通常の危険物より一段厳しい取り扱いを求められるものがあります。
屋外タンク貯蔵所でこれらを扱うときは、政令が定める基本の基準に加えて、総務省令が危険物の性質に応じた上乗せの基準を定めています。
ところが、同じ危険物をタンクローリーにあたる移動タンク貯蔵所に積み替えると、屋外タンクとは違う組み合わせの基準に切り替わります。
施設が変われば、同じ危険物でも求められる措置は変わります。

うちの施設ではアセトアルデヒドとヒドロキシルアミンの両方を扱うタンクがあります。
屋外タンクと移動タンクで対策の中身が違うと聞いたのですが。

はい、政令が委任する特例の中身が施設ごとに書き分けられているんです。
今日はその違いを一緒に確認していきましょう。

危険物なら何でも同じ基準だと思っていました。

実は物質ごとに条文が細かく分かれているんです。

この記事の結論
  • アセトアルデヒド等・ヒドロキシルアミン等を貯蔵する屋外タンク貯蔵所には、政令第十一条第四項に基づく上乗せの基準があります
  • アセトアルデヒド等の屋外タンクは、銅や水銀を避けた設備と冷却装置・不活性ガス封入装置が必要です
  • ヒドロキシルアミン等の屋外タンクは、温度上昇と鉄イオン等の混入を防ぐ措置が必要です
  • 移動タンク貯蔵所に積み替えると、アセトアルデヒド等の基準は不活性ガス封入と材質制限だけに簡素化されます
  • ヒドロキシルアミン等を移動タンクで扱う場合は、屋外タンク貯蔵所の規定がそのまま準用されます

アセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等の屋外タンクと移動タンクにおける特例をまとめた図解

アセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等はなぜ屋外タンクで特例を受けるのか

屋外タンク貯蔵所に警告表示のあるタンクが並ぶイラスト
屋外タンク貯蔵所には、位置・構造・設備に関する共通の基準があります。
そのうえで、扱う危険物の性質によっては、総務省令でさらに基準を上乗せできる仕組みが用意されています。
危険物の規制に関する政令第十一条第四項 アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、アセトアルデヒド、酸化プロピレンその他の総務省令で定める危険物を貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所については、当該危険物の性質に応じ、総務省令で、第一項に掲げる基準を超える特例を定めることができる。
特例は危険物ごとに個別に書き分けられています。
条文が挙げるアルキルアルミニウムやアセトアルデヒドは、いずれも空気や水、金属と反応しやすい自己反応性・自然発火性の強い危険物です。
そのため、共通基準だけでは足りない部分を、危険物の性質ごとに規則の個別条文で補っています。
今回はこのうち、アセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等の二つを取り上げ、屋外タンク貯蔵所と移動タンク貯蔵所でどう扱いが変わるかを見ていきます。

特例があるのは知っていましたが、危険物ごとに中身が違うとは知りませんでした。

そうなんです。
次の項目からそれぞれ具体的に見ていきましょう。

アセトアルデヒド等の屋外タンクはなぜ銅や水銀を避け冷却装置を備えるのか

アセトアルデヒド等のタンクに冷却装置と不活性ガス容器が付くイラスト
アセトアルデヒド等を貯蔵する屋外タンク貯蔵所には、二つの追加基準があります。
一つは設備の材質そのものの制限、もう一つは温度管理のための装置です。
危険物の規制に関する規則第二十二条の二の六(アセトアルデヒド等の屋外タンク貯蔵所の特例) アセトアルデヒド等を貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所に係る令第十一条第四項の規定による同条第一項に掲げる基準を超える特例は、次のとおりとする。一 屋外貯蔵タンクの設備は、銅、マグネシウム、銀若しくは水銀又はこれらを成分とする合金で造らないこと。二 屋外貯蔵タンクには、冷却装置又は保冷装置及び燃焼性混合気体の生成による爆発を防止するための不活性の気体を封入する装置を設けること。
アセトアルデヒドは銅やその合金と反応しやすい性質があります。
反応によって爆発性の化合物が生じるおそれがあるため、タンクや配管の材質そのものから銅・マグネシウム・銀・水銀を除外しています。
温度が上がると分解が進みやすくなる性質もあるため、冷却装置または保冷装置を設け、あわせて燃焼性の混合気体を作らないよう不活性ガスを封入する装置も求められます。
どちらも欠けると、材質面と温度面の両方でリスクが残ることになります。

配管の材質まで気にしたことはありませんでした。
次の点検で確認します。

竣工図に記載された材質と、実際の配管を照合しておくと安心です。

ヒドロキシルアミン等の屋外タンクはなぜ温度と鉄イオンを管理するのか

ヒドロキシルアミン等のタンクが土盛りと温度計に囲まれるイラスト
ヒドロキシルアミン等の屋外タンクに求められる措置は、アセトアルデヒド等とは中身が異なります。
材質の制限ではなく、反応そのものを起こさせないための管理が中心です。
危険物の規制に関する規則第二十二条の二の七(ヒドロキシルアミン等の屋外タンク貯蔵所の特例) ヒドロキシルアミン等を貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所に係る令第十一条第四項の規定による同条第一項に掲げる基準を超える特例は、次のとおりとする。一 屋外タンク貯蔵所には、ヒドロキシルアミン等の温度の上昇による危険な反応を防止するための措置を講ずること。二 屋外タンク貯蔵所には、鉄イオン等の混入による危険な反応を防止するための措置を講ずること。
ヒドロキシルアミンは温度の上昇や鉄イオンなどの混入をきっかけに分解反応が進みやすい性質を持っています。
条文は具体的な装置の型式までは指定していません。
温度を監視する計器や冷却手段、配管や容器から鉄分が混入しない構造など、施設ごとの実情に応じた措置を講じることが求められます。
アセトアルデヒド等の号のような材質限定が無い代わりに、反応を引き起こす要因そのものを断つ発想になっている点が特徴です。

同じ「危険な反応を防ぐ」でも、材質を縛るか要因を断つかで違うんですね。

そのとおりです。
危険物の性質に合わせて条文の作りも変わっています。

移動タンクに積み替えるとなぜアセトアルデヒド等の基準は簡素になるのか

タンクローリーとタンクがホースで繋がるイラスト
屋外タンクからタンクローリーに危険物を積み替えると、適用される条文そのものが切り替わります。
移動タンク貯蔵所にも同じ危険物専用の特例条文がありますが、内容は屋外タンクよりも簡素です。
危険物の規制に関する規則第二十四条の九(アセトアルデヒド等の移動タンク貯蔵所の特例) アセトアルデヒド等を貯蔵し、又は取り扱う移動タンク貯蔵所に係る令第十五条第四項の規定による同条第一項及び第二項に掲げる基準を超える特例は、次のとおりとする。一 移動貯蔵タンクは、不活性の気体を封入できる構造とすること。二 移動貯蔵タンク及びその設備は、銅、マグネシウム、銀若しくは水銀又はこれらを成分とする合金で造らないこと。
移動タンクの特例には冷却装置や保冷装置を求める号がありません。
屋外タンク(規則第二十二条の二の六)が材質制限と温度管理の装置を両方求めていたのに対し、移動タンクの特例は材質制限と不活性ガスの封入構造だけの二号にとどまります。
これは、移動タンク貯蔵所の運行時間や積載量が屋外タンクでの長期貯蔵とは前提が異なり、条文の設計自体が施設の実情に合わせて作られているためです。
積み替え作業のたびに、屋外タンク側の基準がそのまま移動タンクに引き継がれるわけではない点に注意が必要です。

積み替えたら冷却装置は要らなくなるということですか。

移動タンクの条文には、その号が無いのでそのとおりです。

両方の危険物を扱う施設は明日から何を確認すればよいのか

点検員がタンクの前でチェックリストを確認するイラスト
ヒドロキシルアミン等は移動タンクに積み替えても、屋外タンクと同じ発想の措置が続きます。
最後に、両方の危険物を扱う施設が確認しておくべき点を整理します。
危険物の規制に関する規則第二十四条の九の二(ヒドロキシルアミン等の移動タンク貯蔵所の特例) ヒドロキシルアミン等を貯蔵し、又は取り扱う移動タンク貯蔵所に係る令第十五条第四項の規定による同条第一項及び第二項に掲げる基準を超える特例は、第二十二条の二の七に掲げるヒドロキシルアミン等を貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所の規定の例によるものとする。
ヒドロキシルアミン等だけは屋外タンクの規定がそのまま移動タンクにも適用されます。
  • 屋外タンクのアセトアルデヒド等は材質制限+冷却装置・不活性ガス封入の両方が揃っているか
  • 屋外タンクのヒドロキシルアミン等は温度上昇と鉄イオン混入を防ぐ具体的な措置があるか
  • 移動タンクのアセトアルデヒド等は材質制限と不活性ガス封入構造の二号だけで足りているか、屋外タンク並みの装置を過剰に求めていないか
  • 移動タンクのヒドロキシルアミン等は屋外タンクと同じ温度・鉄イオン対策まで引き継がれているか
同じ危険物でも、貯蔵する施設が変われば根拠条文も求められる措置も変わります。
点検のたびに「今どの条文が効いているか」を確かめる習慣をつけておくと、思わぬ取りこぼしを防げます。

つまり、屋外タンクと移動タンクの両方をチェックリストで分けて確認すればよいのですね。

はい、施設ごとに条文が分かれている点さえ押さえれば大丈夫です。

よくある質問

Qアセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等は同じ屋外タンクに一緒に貯蔵できますか?
A今回取り上げた条文は、それぞれの危険物に必要な措置を個別に定めているだけで、同一タンクでの混在を認める規定ではありません。危険物の類や品名が異なれば、貯蔵そのものについて別の制限がかかるため、個別に確認する必要があります。
Qなぜアセトアルデヒド等の設備は銅や水銀を使えないのですか?
Aアセトアルデヒドは銅やその合金と反応しやすい性質があり、反応によって爆発性の化合物を生じるおそれがあるためです。規則第二十二条の二の六が設備の材質そのものを制限しています。
Q移動タンク貯蔵所でもヒドロキシルアミン等には冷却装置が必要ですか?
A規則第二十四条の九の二は屋外タンク貯蔵所の規定の例によるとしているため、屋外タンクと同じ温度上昇・鉄イオン混入の防止措置が移動タンクにもそのまま求められます。
Qアセトアルデヒド等の移動タンクに冷却装置は不要なのですか?
A規則第二十四条の九が定める特例は不活性の気体を封入できる構造と材質制限の二号のみで、屋外タンクのように冷却装置や保冷装置を義務付ける号はありません。

まとめ

屋外タンク貯蔵所の基準は、政令第十一条第一項が原則、第四項が危険物の性質に応じた上乗せです
アセトアルデヒド等は銅・マグネシウム・銀・水銀を避けた設備にします
アセトアルデヒド等のタンクには冷却装置または保冷装置と不活性ガス封入装置を設けます
ヒドロキシルアミン等は温度上昇による危険な反応を防ぐ措置を講じます
ヒドロキシルアミン等は鉄イオン等の混入による危険な反応を防ぐ措置も講じます
移動タンク貯蔵所のアセトアルデヒド等は不活性ガス封入装置と材質制限のみで足ります
移動タンク貯蔵所のヒドロキシルアミン等は屋外タンク貯蔵所の規定がそのまま適用されます

屋外タンクと移動タンクで基準が違う理由がよく分かりました。

特殊な危険物の取り扱いで迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十一条(屋外タンク貯蔵所の基準)
  • 危険物の規制に関する政令第十五条(移動タンク貯蔵所の基準)
  • 危険物の規制に関する規則第二十二条の二の六(アセトアルデヒド等の屋外タンク貯蔵所の特例)
  • 危険物の規制に関する規則第二十二条の二の七(ヒドロキシルアミン等の屋外タンク貯蔵所の特例)
  • 危険物の規制に関する規則第二十四条の九(アセトアルデヒド等の移動タンク貯蔵所の特例)
  • 危険物の規制に関する規則第二十四条の九の二(ヒドロキシルアミン等の移動タンク貯蔵所の特例)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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