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土地を買ったら知らない建築協定に縛られるのか|建築基準法第七十五条の効力を解説

知らない建築協定は新しい所有者にも効力が及ぶのか

分譲地や商店街を歩いていると、外壁の色や屋根の形、看板の大きさまで足並みが揃った街並みを見かけることがあります。
そうした街並みを支えているのが、建築基準法が定める建築協定という制度です。
協定は認可され公告されると効力を持ち、あとから土地を取得した人にも及ぶため、知らずに土地を買った所有者が思わぬ制限に気づくこともあります。
建築協定は建築基準法第六十九条に基づき土地所有者等が結ぶ地域独自の建築ルールで、認可の公告後は新しい所有者にも効力が及びます

隣の地区に建築協定があるって聞いたんですが、うちの敷地にも関係あるんでしょうか。

建築協定は結んだ後に土地を取得した方にも効力が及ぶ場合があります。
まず条文で仕組みを確認しておきましょう。

普通の建築基準法だけでも大変なのに、協定まであると余計にややこしそうです。

条文を追えば結ぶ手順も効力の範囲もはっきり決まっています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 建築協定は、市町村が条例で認めた区域内で土地の所有者等が全員の合意によって結ぶ建築物の独自ルールです(建築基準法第六十九条)。
  • 協定で定められるのは敷地・位置・構造・用途・形態・意匠・建築設備に関する基準で、通常の建築基準法より細かい制限を課せます
  • 協定書を作成して特定行政庁の認可を受け、その旨が公告されて初めて効力を持ちます(第七十条・第七十三条)。
  • 認可の公告があった日以後にその土地の所有者等となった人にも、原則として協定の効力が及びます(第七十五条)。
  • 加入・変更・廃止にはそれぞれ特定行政庁への申請と認可が必要で、勝手に抜けることはできません。

建築基準法第六十九条に基づく建築協定の締結から効力発生までの流れの図解

建築協定とはどんな仕組みなのか

外壁の色や屋根の形が揃った分譲住宅地の街並み

海に近い敷地の話ではありませんが、街並みを見るとルールの存在に気づく制度があります。
それが建築基準法が定める建築協定です。

第六十九条 市町村は、その区域の一部について、住宅地としての環境又は商店街としての利便を高度に維持増進する等建築物の利用を増進し、かつ、土地の環境を改善するために必要と認める場合においては、土地の所有者及び借地権を有する者(略)が当該土地について一定の区域を定め、その区域内における建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準についての協定(以下「建築協定」という。)を締結することができる旨を、条例で、定めることができる。

建築協定は、市町村の条例が認めた区域の中で土地の所有者等が結ぶ建築物の独自ルールです
通常の建築基準法は全国どこでも同じ基準ですが、建築協定はそれに上乗せする形で地域だけのルールを追加できます。
条文が挙げているのは敷地・位置・構造・用途・形態・意匠・建築設備という七つの項目で、外壁の色や屋根の形、看板の大きさまで対象にできます。
ただし建築協定を結べるのはどこの土地でもよいわけではなく、市町村があらかじめ条例で認めた区域に限られます。
条例が無い市町村では、建築協定という仕組み自体を使うことができません。
自分の建物がある市町村にこの条例があるかどうかを確認するのが最初の一歩になります。

建築協定って、聞いたことはあるんですが普通の建築基準法と何が違うんでしょうか。

建築基準法に条例で上乗せする地域独自のルールです。
次は結び方を見てみましょう。

建築協定はどうやって結ばれるのか

建築協定書を確認しながら申請する市役所の窓口カウンター

建築協定は誰か一人が決めれば成立するものではなく、区域内の土地所有者等が足並みを揃えて手続きを進める必要があります。
どんな手順を踏めば協定として認められるのかを確認しましょう。

第七十条第一項 前条の規定による建築協定を締結しようとする土地の所有者等は、協定の目的となつている土地の区域(略)、建築物に関する基準、協定の有効期間及び協定違反があつた場合の措置を定めた建築協定書を作成し、その代表者によつて、これを特定行政庁に提出し、その認可を受けなければならない。第七十条第三項 第一項の建築協定書については、土地の所有者等の全員の合意がなければならない。ただし、(略)借地権の目的となつている土地の所有者以外の土地の所有者等の全員の合意があれば足りる。

建築協定は区域内の土地所有者等全員の合意がなければ結べません
合意した内容は建築協定書としてまとめ、代表者が特定行政庁に提出して認可を受ける必要があります。
借地権が設定されている土地があるときは、借地人の合意があれば土地の所有者本人の同意までは不要というルールもあります。
特定行政庁は、協定の目的が第六十九条の趣旨に合っているか、土地や建物の利用を不当に制限していないかを審査したうえで認可します。
認可されると特定行政庁はその旨を公告し、建築協定書の写しを役所の窓口で誰でも見られるようにします。
一人でも反対する所有者がいると原則として協定は成立しないため、事前の話し合いが欠かせません。

うちの地区、一人でも反対したら協定は結べないんですか。

はい、原則全員の合意が必要です。
次は認可された協定の効力を見てみましょう。

認可された建築協定にはどんな効力があるのか

認可の公告文が貼られた掲示板と売却済みの札が立つ住宅

認可を受けただけでは終わりではなく、公告があって初めて建築協定は実際の効力を持ちます。
その効力がどこまで及ぶのかを確認しておきましょう。

第七十三条第二項 特定行政庁は、前項の認可をした場合においては、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。(略) 第七十五条 (略)認可の公告のあつた建築協定は、その公告のあつた日以後において当該建築協定区域内の土地の所有者等となつた者(当該建築協定について(略)合意をしなかつた者の有する土地の所有権を承継した者を除く。)に対しても、その効力があるものとする

建築協定は認可の公告によって効力が発生し、その後の土地の所有者等にも及びます
つまり協定に合意していない人が新たにその土地を手に入れても、公告後であれば協定のルールを引き継ぐのが原則です。
一方で、もともと合意しなかった所有者から所有権を引き継いだ場合は、協定の効力が及ばないという例外も条文に定められています。
建物の借主についても、協定の基準が借主の権限にかかわる内容であれば、借主自身が土地の所有者等とみなされます(第七十七条)。
賃貸物件を借りて事業をする場合でも、看板の大きさや外観の変更が建築協定の対象になっていれば従う必要があります。
効力の範囲は個々の協定書の内容によって変わるため、実際の適用範囲は建築協定書そのものを確認するしかありません。

自分が合意してなくても、あとから協定に従うことになる場合があるんですね。

はい、公告後に土地を取得すると原則として効力が及びます。
次は思わぬ落とし穴を見てみましょう。

知らずに土地を買っても建築協定に縛られるのか

看板の大きさが異なる二つの店舗の対比

不動産の売買では建築協定の有無が重要事項として説明されるのが通常ですが、確認が不十分なまま契約が進むこともあります。
知らずに土地を取得した場合に何が起きるのかを整理します。

第七十七条 建築協定の目的となつている建築物に関する基準が建築物の借主の権限に係る場合においては、その建築協定については、当該建築物の借主は、土地の所有者等とみなす

建築協定は土地を買った人だけでなく、建物を借りている人にも及ぶことがあります
外壁の色や看板といった、借主の権限で変更できる部分に関する基準であれば、借主自身が協定上の当事者として扱われます。
土地の売買契約や賃貸借契約の重要事項説明で建築協定の有無が触れられていないと、引き継いだあとに初めて制限に気づくことになりかねません。
一方で第七十五条には、もともと協定に合意しなかった所有者から所有権を引き継いだ場合は効力が及ばないという例外も定められています。
つまり効力が及ぶかどうかは、前の所有者が協定にどう関わっていたかによって変わるため、自己判断せず確認することが欠かせません。
土地や建物を取得する前に、特定行政庁の窓口で建築協定の有無と内容を確認しておくことが最大の対策になります。

借りてるだけの店舗でも、建築協定に従わなきゃいけない場合があるんですね。

はい、借主の権限に関わる基準なら対象になります。
次は協定に加わる手続きを見てみましょう。

建築協定に加わる変更する廃止するにはどうすればよいか

書類を提出する窓口カウンターと印鑑

認可された建築協定は固定されたものではなく、あとから加わったり内容を変えたり、廃止したりする手続きが用意されています。
それぞれどんな条件が必要なのかを確認しましょう。

第七十五条の二第一項 建築協定区域内の土地の所有者(略)で当該建築協定の効力が及ばないものは、建築協定の認可等の公告のあつた日以後いつでも、特定行政庁に対して書面でその意思を表示することによつて、当該建築協定に加わることができる。第七十四条第一項 建築協定区域内における土地の所有者等(略)は、(略)建築協定区域、建築物に関する基準、有効期間、協定違反があつた場合の措置又は建築協定区域隣接地を変更しようとする場合においては、その旨を定め、これを特定行政庁に申請してその認可を受けなければならない。第七十六条第一項 建築協定区域内の土地の所有者等(略)は、(略)建築協定を廃止しようとする場合においては、その過半数の合意をもつてその旨を定め、これを特定行政庁に申請してその認可を受けなければならない。

建築協定への加入はいつでも書面で申し出られますが、変更や廃止には特定行政庁の認可が必要です
効力が及んでいない土地の所有者は、特定行政庁に書面を出すだけでいつでも協定に加わることができます。
一方で協定の中身や有効期間を変更するときは、結んだときと同じように土地所有者等の手続きを踏み、特定行政庁の認可を受け直す必要があります。
協定を廃止する場合は全員の合意までは求められず、過半数の合意で申請できる点が結ぶときとの違いです。
変更・廃止のいずれも認可されると特定行政庁が公告するため、効力がいつ変わったかは公告日で確認できます。
自分の土地が建築協定区域に含まれているかどうかも含めて、疑問があれば早めに特定行政庁の窓口に相談するのが確実です。

結ぶときは全員一致でも、廃止は過半数でいいんですね。

はい、廃止は過半数の合意で申請できます。
次はよくある質問を見ていきましょう。

よくある質問

Q建築協定は誰でも結べる制度ですか?
Aいいえ。市町村が条例で認めた区域に限られ、区域内の土地所有者等全員の合意と特定行政庁の認可が必要です。
Q建築協定に反対の土地所有者が一人でもいると成立しませんか?
A原則としてそのとおりです。第七十条第三項により土地の所有者等の全員の合意が必要ですが、借地権の目的となっている土地では所有者本人の合意までは不要な場合があります。
Q賃貸で借りているだけの店舗にも建築協定は関係ありますか?
A関係する場合があります。外壁や看板など借主の権限にかかわる基準であれば、建築基準法第七十七条により借主も土地の所有者等とみなされます。
Q自分の土地が建築協定の対象かどうか確認するにはどうすればよいですか?
A特定行政庁の建築指導課で建築協定書の写しを確認するのが確実です。認可された協定書は市町村の窓口で一般の縦覧に供されています。

まとめ

建築協定は、市町村が条例で認めた区域内で土地の所有者等が結ぶ建築物の独自ルールです(建築基準法第六十九条)。
協定で定められるのは敷地・位置・構造・用途・形態・意匠・建築設備に関する基準で、通常の建築基準法より細かい制限を課せます
協定書を作成し特定行政庁の認可を受け、その旨が公告されて初めて効力が発生します(第七十条・第七十三条)。
認可の公告があった日以後にその土地の所有者等となった人にも、原則として協定の効力が及びます(第七十五条)。
ただし、もともと協定に合意しなかった所有者から所有権を引き継いだ場合は効力が及ばないという例外もあります。
外壁や看板など借主の権限にかかわる基準であれば、建物の借主も協定上の当事者として扱われます(第七十七条)。
加入はいつでも書面で申し出られますが、変更や廃止には特定行政庁への申請と認可が必要です。

うちの土地が建築協定の対象か、まず特定行政庁の窓口で確認してみます!

建築協定の確認も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第六十九条・第七十条・第七十三条・第七十四条・第七十五条・第七十六条・第七十七条(e-Gov法令検索)
  • 国土交通省「建築協定」

※本記事は公表されている法令および国土交通省の資料に基づく一般的な解説です。建築協定の内容は地区ごとに異なり、運用は自治体や協定書によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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