高圧ガスの製造施設を持つ会社に「危害予防規程は作っていますか」と尋ねると、多くは作っていると答えます。
では「都道府県知事への届出は済んでいますか」「定期の保安検査は毎回受けていますか」と重ねて聞くとどうでしょうか。
実は高圧ガス保安法は、規程を定めること・届け出ること・検査を受けることをそれぞれ別の条文で義務づけており、罰則の重さもばらばらです。
本記事では高圧ガス保安法第二十六条の危害予防規程と第三十五条の保安検査を取り上げ、罰則の重さがどう違うのかを解説します。
危害予防規程は作ってあるので、うちは大丈夫だと思っていました。
それだけでは足りないんでしょうか。
実は作る・届け出る・検査を受けるで罰則の重さが違います。
条文を順番に見ていきましょう。
規程を作らないのと、検査を拒むのとでは、どちらの罪が重いんでしょうか。
実は規程を作らないほうが重い罰則になります。
次はその理由から見てみましょう。
- 高圧ガス保安法第二十六条は、第一種製造者に危害予防規程を定め都道府県知事へ届け出る義務を課しています。
- 規程を定めずに製造した場合は第八十二条により五十万円以下の罰金の対象になります。
- 規程は定めたが届出をしなかった場合は第八十三条により三十万円以下の罰金にとどまります。
- 第三十五条は特定施設について定期の保安検査を受ける義務を定めています。
- 保安検査を拒み・妨げ・忌避した場合は三十万円以下の罰金ですが、単純に受けなかっただけを罰する条文は見当たりません。
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目次
高圧ガス施設はなぜ危害予防規程を定めなければならないのか

法律はその危険をどう防ごうとしているのでしょうか。
条文が求めているのは「定めること」と「届け出ること」の2段階で、どちらか一方では足りません。
第三項では第一種製造者もその従業者も規程を守らなければならないと定められており、作って終わりの書類ではないことが分かります。
まずはこの規程がどんな重みを持つ義務なのかを押さえておきましょう。
規程を作るだけでなく、届け出るところまでが義務なんですね。
作らなかったらどうなるんでしょうか。
かなり重い罰則が用意されています。
次はその中身を見てみましょう。
規程を定めずに製造したらどんな罰則を受けるのか

罰則章を確認しましょう。
一方で、規程は定めたが届出をしなかった場合や、虚偽の届出をした場合は第八十三条第十号にとどまり、三十万円以下の罰金です。
同じ第二十六条を根拠にしながら、「定めない」ほうが「届け出ない」より重く扱われている点に注意してください。
次は、もう一つの義務である保安検査のほうを見ていきましょう。
規程を作らないほうが罰則が重いのは意外でした。
保安検査のほうはどんな義務なんでしょうか。
特定施設だけに義務づけられています。
次はその範囲を見てみましょう。
定期の保安検査は誰がいつ受けなければならないのか

条文を確認しましょう。
検査は都道府県知事が行うのが原則ですが、協会や指定保安検査機関が行う検査を受けて届け出た場合や、認定保安検査実施者が自ら検査した記録を届け出た場合は、都道府県知事の検査を重ねて受ける必要はありません。
第二項では、この検査が施設の技術上の基準への適合を確認するものだと定められています。
では、この検査を受けなかったり拒んだりしたら、どんな扱いになるのでしょうか。
指定保安検査機関に頼めば都道府県知事の検査は要らないんですね。
検査そのものを拒んだらどうなるんでしょうか。
実は「拒む」と「受けない」で扱いが違います。
次はそこを詳しく見てみましょう。
規程を定めないことと検査を拒むことでは罰則の重さがなぜ違うのか

第八十三条を確認しましょう。
これまでの内容を整理すると、罰則の重さは「規程を定めずに製造」=五十万円以下が最も重く、「規程の届出をしない」も「検査を拒む・妨げる・忌避する」も三十万円以下で並びます。
つまり「作らずに動かす」ことが、条文の作りの上では一番重い違反として扱われているということです。
もっとも、検査を拒みも妨げもせず、単に日程を失念して受けそびれた場合まで直接罰する条文が見当たらないからといって、施設側の義務が軽くなるわけではありません。
拒まなければ罰則が無いなら、うっかり忘れても大丈夫ということですか。
いえ、施設の技術基準違反自体は別に問われます。
次によくある質問をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

確認すべきポイントを整理します。
次に、自社が持つ製造施設のうちどこが特定施設に当たるかを洗い出し、直近の保安検査の受検日を確認しましょう。
指定保安検査機関や認定保安検査実施者を利用している場合は、届出まで済んでいるかも忘れずに見ておく必要があります。
「作らずに動かす」ことが最も重い違反として扱われる以上、規程づくりと届出を後回しにしないでください。
規程の届出と保安検査の受検日、両方とも社内で確認してみます。
届出台帳の一元管理が一番の備えになります。
次によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
罰則の重さの違いがよく分かりました。
うちの届出台帳も見直してみます。
日頃の届出管理が一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)第26条・第35条・第82条・第83条
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の判断については所轄の都道府県にご確認ください。





