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第一種住居地域に3,000平方メートル超の建物が原則建てられないのはなぜか|消防署が例外になる理由を解説

第一種住居地域で3,000平方メートルを超える建物が原則建てられない理由と消防署が例外になる根拠を解説する記事のアイキャッチ画像

消防署や税務署のような公共施設が、住宅街の中でひときわ大きな建物として建っているのを見たことがあるかもしれません。
第一種住居地域は、良好な住環境を守るために建物の規模を制限する用途地域で、床面積が3,000平方メートルを超える建物は原則として建てられません。
ところが建築基準法施行令は、消防署や税務署などの公共施設や一定の条件を満たす自動車車庫を、この上限の対象から明確に除外しています。
この例外に当たらない大規模な建物は、住居地域の環境を優先してあくまで建てることができません

うちの近くの消防署はすごく大きいんですが、こんな住宅街に建てて大丈夫なんですか。

実は床面積の上限そのものを対象外にする条文があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。

うちも今の建物を増築したいんですが、上限にかかってしまうか心配です。

第一種住居地域には床面積の上限があります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 第一種住居地域では、建築基準法第48条第5項により床面積が3,000平方メートルを超える建物は原則建てることができません。
  • 例外として認められるのは、建築基準法施行令第百三十条の七の二が定める公共施設や一定の自動車車庫だけです
  • 税務署、警察署、保健所、消防署その他これらに類するものは、床面積にかかわらず建築が認められています。
  • 自動車車庫の例外には床面積を比較する条件が付いており、無条件に大きな車庫を建てられるわけではありません
  • 判断に迷うときは特定行政庁の窓口に早めに相談する必要があります。

第一種住居地域で3,000平方メートルの上限を超えられる建物を確認する流れの図解

第一種住居地域の建物の大きさはなぜ制限されているのか

静かな住宅街に並ぶ低層住宅と敷地の庭

第一種住居地域は、低層住宅を中心とした良好な住環境を守るための用途地域です。
建築基準法は、この地域に建てられる建物の種類だけでなく、大きさそのものも制限しています。

建築基準法第48条第5項 第一種住居地域内においては、別表第二(ほ)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種住居地域における住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

この条文が指す別表第二(ほ)項の建物には、大きさそのものを理由に建築を禁止するものが含まれています
禁止の対象になるかどうかは、用途だけでなく床面積の合計によっても決まります。
ただし書きのとおり、特定行政庁の個別の許可があれば例外的に建てられる道は残されています。
もっとも、公共施設のようにあらかじめ用途が決まっている建物については、施行令が個別の許可を待たずに例外を定めています。
まずは、床面積のどこからが禁止の対象になるのかを見ていきましょう。

住宅地だから建物の種類だけ制限されていると思っていました。

実は建物の大きさそのものも制限の対象なんです。
次はどこからが対象になるか見てみましょう。

どんな建物が3,000平方メートルの上限にかかるのか

小さな住宅の隣に建つ幅の広い大きな建物についた禁止マーク

別表第二(ほ)項は、禁止される建物の条件を号ごとに列挙しています。
その中でも床面積そのものを基準にしているのが第四号です。

別表第二(ほ) 第一種住居地域内に建築してはならない建築物 四 (は)項に掲げる建築物以外の建築物の用途に供するものでその用途に供する部分の床面積の合計が三千平方メートルを超えるもの(政令で定めるものを除く。)

(は)項に掲げる建築物に当たらない用途で、床面積の合計が3,000平方メートルを超えるものは原則として建てられません
(は)項は、住宅や学校、病院、小規模な店舗など、第一種中高層住居専用地域でも認められる用途を列挙したものです。
つまり、それ以外の用途で3,000平方メートルを超える建物は、条文の原則どおりであれば規模を理由に建てられません。
条文末尾の「政令で定めるものを除く」という一文が、この先で説明する例外への入り口になっています。
次は、その政令が具体的に何を例外としているのかを見てみましょう。

うちの店舗、増床したら3,000平方メートルを超えそうです。
どうしよう。

用途によっては政令の例外に当たる場合もあります。
次はその中身を確認しましょう。

なぜ消防署や税務署は例外として建てられるのか

ホース乾燥塔と車両出入口のある建物に付いた許可マーク

別表第二(ほ)項第四号が除外する「政令で定めるもの」の中身は、建築基準法施行令にまとめられています。
その一号に、公共施設に関する規定があります。

建築基準法施行令第百三十条の七の二 法別表第二(ほ)項第四号の規定により政令で定める建築物は、次に掲げるものとする。 一 税務署、警察署、保健所、消防署その他これらに類するもの

税務署、警察署、保健所、消防署その他これらに類するものは、床面積にかかわらず第一種住居地域に建築できます
これらの施設は利用者の居住地に関係なく一定の区域を管轄する必要があり、必要な規模を確保できなければ本来の機能を果たせません。
条文はそうした事情を踏まえ、床面積の上限そのものを及ぼさない形で例外を定めています。
特定行政庁の個別の許可を待たずに建築できる点が、第一段落で見たただし書きの許可とは異なります。
次は、同じ号にある自動車車庫の例外についても見ていきましょう。

消防署がこんなに大きいのは、特別に許可を取っているからだと思っていました。

個別の許可ではなく、政令があらかじめ例外を定めているんです。
次は自動車車庫の例外を見てみましょう。

自動車車庫の例外にはどんな条件が付くのか

小さな車庫と大きな独立車庫のうち大きいほうに付いた禁止マーク

同じ第百三十条の七の二には、自動車車庫に関する例外も定められています。
ただし、公共施設の号とは違い、床面積を比較する条件が付きます。

建築基準法施行令第百三十条の七の二 三 建築物に附属する自動車車庫で、当該自動車車庫の床面積の合計に同一敷地内にある建築物に附属する自動車車庫の用途に供する工作物の築造面積を加えた値が当該敷地内にある建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計を超えないもの(三階以上の部分を自動車車庫の用途に供するものを除く。)

この号の例外は、車庫の床面積が同じ敷地内にある建物本体の延べ面積を超えないことが条件です
つまり車庫が主で建物が従という関係になると、この例外には当てはまりません。
三階以上の部分を車庫として使う場合もこの例外から除かれており、条件は一つではありません。
公共施設の号のように無条件で認められるわけではなく、この号は数字を比較しないと当てはまるかどうか判断できません。
次は、実際に確認しておきたい手順を整理します。

車庫だから台数を増やしても大丈夫だと思っていました。

床面積の比較を怠ると、この例外から外れてしまいます。
次は明日からの確認手順を見てみましょう。

自分の建物がこの制限に当たるかどう確認すればよいか

スタンプと書類が置かれた窓口カウンターと用途地域図の掲示板

ここまでの内容を踏まえ、自分の建物や計画がこの制限に関わるかどうかを確認する手順を整理します。
順番に確認していけば、大きな見落としは防げます。

  • 自分の建物がある用途地域が第一種住居地域に当たるかを確認する
  • 建物の用途ごとの床面積の合計が3,000平方メートルを超えるかを確認する
  • 用途が税務署、警察署、保健所、消防署その他これらに類するものに当たらないかを確認する
  • 自動車車庫を増築する場合は、車庫の床面積と建物本体の延べ面積を比較して条件を満たすかを確認する
  • 判断に迷うときは特定行政庁の窓口に早めに相談する

用途地域と床面積、両方を確認しておきます!

用途地域と床面積の両方が最初の確認です。
次はよくある質問を見ていきましょう。

よくある質問

Q第一種住居地域では、住宅ならどんな規模でも建てられますか?
Aいいえ。今回の3,000平方メートルの上限は(は)項に掲げる建築物以外の用途が対象で、住宅であっても高さ制限や容積率など別の規定は別途かかります。
Q消防署や税務署なら、床面積の上限を気にせず自由に建てられますか?
A床面積の上限からは外れますが、高さ制限や日影規制など用途地域の他の基準は別途かかります。床面積の上限だけが例外になる点に注意が必要です。
Q自宅の車庫を増築する場合も、この例外の対象になりますか?
A対象になり得ますが、車庫の床面積が建物本体の延べ面積を超えないことが条件です。条件を超える大きな車庫はこの例外に当たりません。
Q判断に迷うときはどこに相談すればよいですか?
A建物がある地域を管轄する特定行政庁の建築指導の窓口に相談してください。

まとめ

第一種住居地域では、建築基準法第48条第5項により床面積が3,000平方メートルを超える建物は原則建てることができません。
例外として認められるのは、施行令第百三十条の七の二が定める公共施設や一定の自動車車庫だけです
税務署、警察署、保健所、消防署その他これらに類するものは、床面積にかかわらず建築が認められています。
公共施設の例外は個別の許可を必要とせず、施行令があらかじめ対象を列挙しています
自動車車庫の例外には床面積を比較する条件が付いており、無条件に大きな車庫を建てられるわけではありません。
車庫の三階以上の部分を車庫として使う場合は、この例外の対象から除かれます。
判断に迷うときは、特定行政庁の窓口に早めに相談してください。

自分の建物が用途地域のどの制限に当たるか、確認してみます!

用途地域の確認も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第48条第5項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法別表第二(ほ)項第四号(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第百三十条の七の二(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。建物の用途区分や床面積の判定は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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