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火薬類取締法の危害予防規程と保安教育計画はなぜどちらも認可制なのか|届出だけで済む場合との罰則の違いを解説

火薬類取締法第二十八条の危害予防規程と第二十九条の保安教育計画がどちらも認可制であることを示すアイキャッチ

火薬類の製造所や花火店には、消防法の防火管理とは別に「危害予防規程」と「保安教育計画」という二つの認可制度があるのをご存知でしょうか。
実はこの二つ、火薬類取締法第二十八条・第二十九条によってどちらも経済産業大臣等の認可が必要と定められています。
では、認可を受けずに行った場合の罰則には、どんな違いがあるのでしょうか。
本記事では火薬類取締法第二十八条・第二十九条を取り上げ、危害予防規程と保安教育計画がなぜどちらも認可制なのか、認可を欠いたときの罰則の重さの違いを解説します。

花火店にも認可がいる規程があるなんて知りませんでした。
消防法の予防規程とは別物なんですね。

実は製造業者だけでなく販売業者も対象になる制度です。
順番に見ていきましょう。

認可を受けずに営業したらどうなるんでしょうか。

実は届出で済む場合と認可が要る場合で罰則の重さが違います
その境目を見てみましょう。

この記事の結論
  • 火薬類の製造業者は、災害の発生を防止するための危害予防規程を定め、経済産業大臣の認可を受けなければなりません
  • 規程の軽微な変更であれば、認可ではなく届出で足ります。
  • 製造業者・販売業者は、従業者向けの保安教育計画を定め、経済産業大臣または都道府県知事の認可を受けなければなりません
  • 都道府県知事は、多量または長期間火薬類を消費する者を保安教育計画の作成対象として指定できます。
  • 認可を受けずに規程どおり製造したり保安教育計画を実行したりすると、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金の対象になり、軽微な変更の届出漏れより重く扱われます

火薬類取締法第二十八条の危害予防規程と第二十九条の保安教育計画がどちらも認可制であること、認可を欠いたときの罰則の違いを示す図解

火薬類の製造業者はなぜ危害予防規程を作らなければならないのか

土を盛った火薬類製造施設と規程の書類を並べたイラスト
火薬類は爆発や発火という重大な災害につながる物質です。
だからこそ法律は、製造業者自身に事故を防ぐための仕組みづくりを義務づけています。
火薬類取締法第二十八条第一項(要旨) 製造業者は、災害の発生を防止するため、保安の確保のための組織及び方法その他経済産業省令で定める事項について記載した危害予防規程を定め、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の認可を受けなければならない。(略)
危害予防規程は、製造業者自身に保安体制を書面化させ、国の認可を通すための制度です。
規程には保安の確保のための組織や方法など、経済産業省令が定める事項を記載しなければなりません。
これを変更するときも、原則として経済産業大臣の認可が必要です。
製造業者だけでなく、その従業者も規程を守る義務を負います(第五項)。
では、同じ火薬類取締法にはもう一つ、保安教育という認可制度もあります。次はその対象を見てみましょう。

規程を作るのは製造業者だけなんですか。
販売業者は関係ないんでしょうか。

実は保安教育計画は販売業者にも義務があります
次はその対象を見てみましょう。

保安教育計画はだれが対象になるのか

製造業者の工場と販売業者の店舗、指定を受けた消費者の倉庫を並べたイラスト
危害予防規程が製造業者だけの義務なのに対し、保安教育計画はもう少し対象が広くなっています。
条文を確認しましょう。
火薬類取締法第二十九条第一項・第四項(要旨) 製造業者又は販売業者は、その従業者に対する保安教育計画を定め、経済産業大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない。(略)都道府県知事は、災害の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、多量の火薬類を消費し、又は相当期間引き続いて火薬類を消費する者を、保安教育計画を定めるべき者として指定することができる。
保安教育計画の対象は、製造業者と販売業者に加えて、都道府県知事が指定した消費者にも広がります。
花火大会の主催者や長期の工事現場など、大量または長期間にわたり火薬類を消費する者が指定の対象になり得ます。
指定を受けた消費者には、製造業者・販売業者と同じ第一項から第三項までの規定が準用されます(第五項)。
一方、指定を受けていない一般の消費者や運搬業者にも、従業者へ安全教育を施す努力的な義務が別途定められています(第六項)。
この「指定されるかどうか」の違いが、後で見る罰則の分かれ目にもつながります。

花火大会の主催者にも義務があるとは驚きです。
指定されていない人はどうなるんでしょうか。

実は指定されない消費者にも別の形の義務があります
次は認可の中身を見てみましょう。

危害予防規程と保安教育計画はなぜどちらも認可制なのか

赤い印を押した認可申請書類と行政庁の建物を点線でつないだイラスト
届出で足りる制度と、認可が必要な制度とでは、行政の関わり方が大きく異なります。
なぜこの二つは揃って認可制になっているのでしょうか。
火薬類取締法第二十八条第三項・第四項(要旨) 経済産業大臣は、危害予防規程が第七条第一号及び第二号の技術上の基準に適合していないときその他災害の発生の防止に適当でないと認めるときは、認可をしてはならない。(略)経済産業大臣は、災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、危害予防規程の変更を命ずることができる。
認可制度の核心は、行政が内容を審査したうえで拒否したり変更を命じたりできる点にあります。
危害予防規程は、技術上の基準に適合していなければ経済産業大臣が認可そのものを拒否できます。
保安教育計画も同様に、経済産業省令が定める基準に適合しない計画は認可されません。
届出であれば行政は受理するだけですが、認可は内容そのものを国が審査するという点で重みが違います。
この認可という重い手続きを欠いたとき、罰則はどう変わるのでしょうか。

審査で拒否されることもあるんですね。
認可を受けずにやってしまったらどうなりますか。

実は認可の有無で罰則の重さがはっきり分かれます
次はその違いを見てみましょう。

認可を受けずに行うと罰則はどう変わるのか

認可証を掲げた工場に青い確認マーク、認可を受けていない工場に赤い禁止マークを添えたイラスト
同じ火薬類取締法の中でも、義務の重さによって罰則ははっきり分かれています。
条文で比べてみましょう。
火薬類取締法第五十九条第六号・第六号の二(要旨) 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。第二十八条第一項の規定による認可を受けないで火薬類の製造をした者。第二十九条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反し、認可を受けないで火薬類の製造、販売又は消費をした者。
火薬類取締法第六十一条第四号の二(要旨) 第二十八条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして火薬類の製造をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
危害予防規程の無認可製造も、保安教育計画の無認可実行も、同じ一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金の対象です。
この重さは、都道府県知事に指定された消費者が無認可で火薬類を消費した場合も変わりません
一方、危害予防規程の軽微な変更の届出を怠っただけなら、罰則は二十万円以下の罰金にとどまります。
さらに、指定を受けていない一般消費者や運搬業者が保安教育を怠っても、この条文には対応する罰則が見当たりません。
つまり「認可」という重い手続きに紐づく違反だけが重く罰せられるという構造になっています。

認可か届出かで、こんなに罰則が違うとは思いませんでした。
実際に何を確認すればよいでしょうか。

確認するポイントを整理しましょう。
次で具体的に見ていきます。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストを持つ手とカレンダーを並べたイラスト
制度の全体像が分かったところで、実務に落とし込みましょう。
最後に、規程を守る義務の範囲も確認しておきます。
火薬類取締法第二十八条第五項 製造業者及びその従業者は、危害予防規程を守らなければならない。
まずは自社の危害予防規程と保安教育計画が、実際に認可を受けているかを確認してください。
規程や計画を変更する予定があるときは、軽微な変更かどうかをあらかじめ判断しておきましょう。
軽微でなければ、事前に経済産業大臣または都道府県知事の認可を得る必要があります。
従業者への保安教育は、実施記録を残しておくことで、後日の確認にも備えられます。
花火大会の主催者など多量の火薬類を扱う立場にある場合は、都道府県知事から指定を受けていないかも確認しておきましょう。

自社の認可状況、一度確認してみます。

認可の有無を確認する習慣が一番の備えです。
次によくある質問をまとめます。

よくある質問

Q危害予防規程はどんな内容を書けばよいのですか?
A経済産業省令が定める保安の確保のための組織及び方法など、災害の発生を防止するために必要な事項を記載します。業者が自由に内容を決めることはできません。
Q保安教育計画の認可を受けるのはだれですか?
A火薬類取締法第二十九条により、製造業者と販売業者に加え、都道府県知事から指定を受けた多量・長期の消費者も対象になります。
Q危害予防規程を軽微に変更するときも認可が必要ですか?
Aいいえ。第二十八条第二項により、軽微な変更であれば経済産業大臣への届出で足ります。ただし虚偽の届出は罰則の対象です。
Q認可を受けずに製造や保安教育を行うと、どうなりますか?
A第五十九条により一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金の対象になります。軽微な変更の届出漏れ(第六十一条・二十万円以下の罰金)より重く扱われます。

まとめ

火薬類の製造業者は、災害の発生を防止するための危害予防規程を定め、経済産業大臣の認可を受けなければなりません
規程の軽微な変更は、認可ではなく届出で足ります。
製造業者・販売業者は、従業者向けの保安教育計画を定め、経済産業大臣または都道府県知事の認可を受けなければなりません
都道府県知事は、多量または長期間火薬類を消費する者を保安教育計画の作成対象として指定できます。
認可を受けずに危害予防規程どおり製造したり保安教育計画を実行したりすると、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金の対象になります
軽微な変更の届出を怠っただけなら、罰則は二十万円以下の罰金にとどまります。
指定を受けていない一般消費者や運搬業者の教育実施義務には、対応する罰則が定められていません

危害予防規程と保安教育、両方とも認可が必要だと分かりました!
今度は自社の認可状況を確認してみます。

認可の有無の確認が一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第七条・第二十八条・第二十九条・第五十九条・第六十一条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の判断については所轄の経済産業局または消防署にご確認ください

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