第二種住居地域は、工場や店舗まで比較的幅広い用途の建築物を建てることができる地域です。
ところが倉庫だけは、規模の大小にかかわらず建築そのものが認められない場合があります。
建築基準法は、寄託を受けた他人の荷物を保管する「倉庫業」を営む倉庫を、この地域では原則建てられないと定めています。
ところが自社の荷物を保管するだけの倉庫であれば、この規制の対象そのものに当たりません
知り合いが第二種住居地域に倉庫を建てたいと言っているのですが、大きさの上限はあるのでしょうか。
実は倉庫業を営む倉庫には、面積にかかわらず建築そのものを禁止する規制があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。
貸倉庫のような事業を始めたいと言っていました。
それなら倉庫業に当たるかどうかが分かれ目です。
順番に見ていきましょう。
- 第二種住居地域では、建築基準法第48条第6項により別表第二(へ)項に掲げる建築物は原則建てることができません。
- 倉庫業を営む倉庫は、別表第二(へ)項第五号により面積の上限を問わず原則建てられません。
- 倉庫業法第2条第2項の定義によれば、倉庫業とは寄託を受けた他人の物品を倉庫で保管する営業をいいます。
- 自社の荷物を保管するだけの倉庫は倉庫業に当たらず、この規制の対象になりません。
- 個人向けのトランクルームのような貸倉庫も倉庫業法上の倉庫業に含まれるため、規模が小さくても対象になります。
▼

目次
第二種住居地域で倉庫はなぜ建てられないのか

ところが倉庫だけは、規模の大小にかかわらず建築そのものが制限される場合があります。
別表第二(へ)項第四号の自動車車庫には300平方メートルという上限があり、第六号の店舗等には10,000平方メートルという上限がありますが、第五号の倉庫業を営む倉庫にはそうした数字がまったく出てきません。
つまり、どれほど小さな倉庫であっても倉庫業を営むものであれば、第二種住居地域では原則建てられません。
この号を正しく使うには、「倉庫業を営む倉庫」がどんな倉庫を指すのかを条文で確認する必要があります。
次は、倉庫業法が定める倉庫業の定義を見ていきましょう。
面積の上限が書いていないなら、小さい倉庫なら建てられるということですか。
いいえ、面積の上限そのものが存在しないんです。
次は倉庫業の定義を確認しましょう。
倉庫業を営む倉庫とはどんな倉庫を指すのか

まず倉庫業法が定める倉庫業の定義を確認しましょう。
条文にある「寄託」とは、他人から物品を預かることを意味します。
自社の商品や資材を自社の倉庫に置いておくだけでは、他人から寄託を受けたことにはならないため、倉庫業には当たりません。
また倉庫業を営むには国土交通大臣の登録が必要で、無登録では営むことができない仕組みになっています。
次は、この「他人の荷物かどうか」という線引きが実際にどう効いてくるのかを見ていきましょう。
荷物を預かって保管するだけで倉庫業になるんですか。
はい、有償で他人の荷物を預かる時点で倉庫業に当たります。
次は自社倉庫との違いを見てみましょう。
自社の荷物を保管するだけの倉庫はなぜ対象にならないのか

この登録制度を見ると、自社倉庫が対象外になる理由がより明確になります。
自社の在庫や資材を自社の建物で保管するだけであれば、他人から寄託を受けているわけではないため、そもそも登録の対象になりません。
登録の対象にならない以上、別表第二(へ)項第五号がいう「倉庫業を営む倉庫」にも当たらないことになります。
そのため、社内向けの倉庫や工場に併設した資材置場は、面積が大きくても第五号の規制を直接受けません。
次は、この線引きの中でも実務で見落としやすい点を確認しましょう。
自社の在庫置き場なら、大きい倉庫を建てても大丈夫ということですね。
はい、他人の荷物を預からない限りは対象外です。
ただし見落としやすい例外があるので、次に確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

それが個人向けの貸倉庫、いわゆるトランクルームです。
個人向けに小さな区画を貸し出す形態であっても、寄託を受けた他人の物品を保管する点では通常の倉庫業と変わりません。
「一区画あたりは小さいから規制は関係ない」と考えてしまうと、第五号には面積の下限も無いため思わぬ見落としにつながります。
第二種住居地域で個人向け貸倉庫の事業を計画している場合は、規模の大小にかかわらずこの規制を確認しておく必要があります。
次は、倉庫を建てる前に確認すべき手順を整理します。
小さな区画に分けて貸すだけなら大丈夫かと思っていました。
いいえ、区画の大きさは関係ありません。
次は確認の手順を整理しましょう。
倉庫を建てる前に何を確認すればよいか

それでも建てたい場合に残る最後の手続きも確認しておきましょう。
自社の荷物だけを保管するのか、他人の荷物を有償で預かるのかを整理し、後者であれば倉庫業法上の登録が必要になります。
登録が必要な倉庫業であれば、第二種住居地域では規模を問わず原則建てられません。
それでも建てたい場合は、特定行政庁の特例許可を早めに相談する必要があります。
順番に確認していけば、着工前に思わぬ手戻りを防ぐことができます。
事業の中身を先に整理しておくことが大事なんですね。
はい、倉庫業に当たるかどうかの整理が何より大切です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
知り合いに倉庫業に当たるかどうかを確認するよう伝えてみます!
倉庫業の登録の要否の確認も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第6項・第15項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(へ)項第五号(e-Gov法令検索)
- 倉庫業法第2条・第3条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。倉庫業への該当性や特例許可の可否は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または国土交通省にご確認ください。





