準住居地域は、住居の環境を守りながらも沿道の利便施設を建てやすくするために設けられた用途地域です。
そのため小規模な工場であれば、この地域でも建築が認められています。
ただし建築基準法別表第二(と)項第二号は、工場の作業場の床面積にただ一つだけ例外を設けています。
その例外の対象になるのが自動車修理工場で、他の工場より広い規模まで建築が認められています
知り合いが準住居地域に自動車修理工場を開きたいと言っているのですが、普通の工場より広く建てられると聞きました。
実は建築基準法別表第二(と)項第二号に、自動車修理工場だけの例外規定があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。
工場ならなんでも広く建てられるわけではないのですね。
はい、対象は自動車修理工場に限られます。
順番に見ていきましょう。
- 準住居地域では、建築基準法第48条第7項により別表第二(と)項に掲げる建築物は原則建てることができません。
- 原動機を使用する工場は、同項第二号により作業場の床面積の合計が50平方メートルを超えると建築禁止の対象になります。
- ただし自動車修理工場に限り、条文の括弧書きにより150平方メートルを超えない範囲まで建築が認められます。
- 第二種住居地域の別表第二(へ)項第二号にはこの例外規定が無く、自動車修理工場も一律50平方メートルが上限です。
- 特例許可の手続きでも、施行令第百三十条第2項第三号により自動車修理工場は建築審査会の同意を省略できる対象として指定されています。
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目次
準住居地域の工場はどんな規模から建てられなくなるのか

それでも工場は、床面積の規模によって建築できるかどうかが分かれます。
原動機とはモーターやエンジンなど動力源を指し、手作業だけの小規模な工房はそもそも対象になりません。
作業場の床面積の合計が50平方メートルを超えた時点で、原則としてこの地域には建てられなくなります。
ただし条文の末尾には、括弧書きで一つだけ例外が用意されています。
次は、その例外の中身を確認しましょう。
50平方メートルというと、そこまで広くない気もしますね。
はい、一般的な工場としては小さめの基準です。
次は括弧書きの例外を見ていきましょう。
なぜ自動車修理工場だけ規模の上限が違うのか

なぜこの用途だけ特別に扱われているのか、規定の中身を見てみましょう。
50平方メートルの基準と比べると、3倍の広さまで建築が認められる計算になります。
条文はこの例外の理由までは書いていませんが、車両整備には広い作業スペースが要るという実務上の事情が背景にあると考えられます。
150平方メートルを1平方メートルでも超えれば、通常の工場と同じ50平方メートルの基準に戻ります。
次は、この例外が他の住居系地域とどう違うのかを確認しましょう。
150平方メートルまで広がるなら、かなり余裕がありますね。
ただしこの例外は準住居地域だけの話です。
次は第二種住居地域と比べてみましょう。
第二種住居地域の工場規制と何が違うのか

同じ自動車修理工場でも、地域によって扱いが変わる点に注意が必要です。
つまり同じ自動車修理工場であっても、第二種住居地域では50平方メートル、準住居地域では150平方メートルが上限と、扱いが分かれます。
これは準住居地域が第二種住居地域よりも一段階緩やかな用途地域として位置づけられていることの表れです。
建物を建てる、または増築する前には、敷地がどちらの用途地域に属するかを必ず確認する必要があります。
次は、特例許可の手続き面でも自動車修理工場が特別に扱われている点を見てみましょう。
同じ用途でも、道一本挟んだだけで基準が変わることがあるのですね。
はい、用途地域の境界線はそれくらい重要です。
次は手続き面の違いを見ていきましょう。
特例許可の手続きも自動車修理工場だけ簡略化されるのか

この手続きの重さも、実は自動車修理工場だけ一部が軽くなっています。
ところが建築基準法施行令第百三十条第2項第三号は、第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域にある自動車修理工場を、この第16項第二号の「政令で定める建築物」として指定しています。
その結果、自動車修理工場の特例許可では建築審査会の同意だけが省略されます。
公開の意見聴取そのものは省略されないため、周辺住民への説明の機会が完全に無くなるわけではありません。
次は、既存の建物を自動車修理工場に転用する場合の注意点を確認しましょう。
同意だけ省略されるということは、意見聴取は避けられないのですね。
はい、意見聴取そのものは省略されません。
次は用途変更のときの注意点を見ていきましょう。
既存の工場を自動車修理工場に転用するとき何を確認すればよいか

最後に、実務でどこを確認すればよいかを整理しましょう。
既存の一般工場を自動車修理工場に転用しようとする計画も、この準用の対象になり得ます。
転用後の作業場の床面積が150平方メートルを超えていないか、事前に確認しておく必要があります。
建築基準法上の可否は消防法上の防火対象物区分(令別表第一)とは別の制度なので、両方を別々に確認する必要があります。
用途変更を伴う計画を耳にしたときは、まず特定行政庁への確認を勧めるところから始めましょう。
新築のときだけ気をつければいいと思っていました。
いいえ、用途変更のときも同じ規制が及びます。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
知り合いにはまず用途地域と床面積を確認するよう伝えてみます!
用途変更のご相談も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第7項・第15項・第16項・第87条第2項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(と)項第二号・(へ)項第二号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第百三十条第2項第三号(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断や特例許可の可否は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





