個室付浴場業の出店を計画するとき、建てられる用途地域かどうかで早い段階につまずくことがあります。
この業種は近隣商業地域と準工業地域という、性格の異なる二つの用途地域で名指しに禁止されています。
ところが同じ商業系である商業地域には、この業種を禁止する号が置かれていません。
なぜ近隣商業地域と準工業地域だけで禁止され間の商業地域では禁止されないのかを解説します
計画している土地が近隣商業地域なんですが、個室付浴場業は建てられないと言われました。
それは別表第二(り)項第三号の禁止規定ですね。
まず中身を確認しましょう。
隣の商業地域なら建てられますよね。
実は商業地域だけこの号の対象から外れています。
次はなぜそうなるのか確認しましょう。
- 近隣商業地域内では、建築基準法別表第二(り)項第三号により個室付浴場業に係る公衆浴場その他これに類する政令で定めるものを用途とする建築物は建築してはならないと定められています(建築基準法第48条第9項)。
- 同じ禁止は準工業地域を定める(る)項第三号にも、まったく同じ文言でくり返されています(建築基準法第48条第11項)。
- 一方、商業地域を定める(ぬ)項は(る)項第一号及び第二号のみを引用しており、個室付浴場業を挙げる第三号は含まれていません。
- つまり商業地域を挟む近隣商業地域と準工業地域の両側で禁止され、間の商業地域だけこの号による禁止がありません。
- 政令(建築基準法施行令第130条の9の5)は「これに類するもの」の範囲も定めており、ヌードスタジオなど個室付浴場業以外の施設も同じ号の対象になります。
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目次
個室付浴場業は近隣商業地域でなぜ建てられないのか

近隣商業地域では、この業種そのものが建築基準法によって禁止されています。
近隣商業地域は住宅地に隣接し日用品供給の利便を図るために設けられた用途地域で、別表第二(り)項に掲げる建築物は原則として建築できません。
(り)項には複数の号があり、その第三号が個室付浴場業に係る公衆浴場を名指しで挙げています。
ただし書のとおり特定行政庁の許可という例外の道はありますが、これは日用品供給の利便と住宅地の環境を害しないことが基準になる特別な手続です。
次は、同じ禁止が他の用途地域ではどう扱われるかを確認しましょう。
近隣商業地域は住宅地に近い商業地なので、個室付浴場業は建てられないと理解しました。
はい、別表第二(り)項第三号がまさにこの用途を禁止しています。
次は商業地域ではどう扱われるか確認しましょう。
商業地域ではなぜ規制の対象にならないのか

しかし条文を確認すると、実際はその逆になっています。
一 (る)項第一号及び第二号に掲げるもの(略)
近隣商業地域の(り)項が(ぬ)項第一号を経由して(る)項第一号・第二号を引き込むのとは対照的に、(ぬ)項自体は(る)項第三号を引用していません。
つまり商業地域には個室付浴場業を名指しで禁止する号が存在せず、この用途は建築が可能です。
近隣商業地域は住宅地との近さを理由に、準工業地域は工業地域に近い環境上の理由から、それぞれこの業種を規制していますが、商業地域そのものにはこの理由が及ばないと整理されています。
次は、近隣商業地域を挟んで反対側にある準工業地域より先の扱いを確認しましょう。
近隣商業地域で禁止なら、もっと商業色の強い商業地域はさらに厳しいと思っていました。
実は逆で、商業地域の(ぬ)項にはこの号を引く規定がありません。
次は準工業地域より先を確認しましょう。
これに類するものにはどこまで含まれるのか

「その他これに類する政令で定めるもの」の範囲まで確認する必要があります。
条文に列挙されているのは、ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設、専ら性的好奇心をそそる写真その他の物品の販売を目的とする店舗の5つです。
これらは個室付浴場業そのものではなく、性質が近い別業態としてまとめて政令で指定されている点に注意が必要です。
条文上の個室付浴場業は狭い一業態を指す言葉ですが、規制の実際の射程は政令によってさらに広げられています。
次は、この号が準工業地域を越えてどこまで及ぶのかを確認しましょう。
個室付浴場業という名前が付いていない施設でも、規制の対象になるということですか。
そのとおりです。
政令が「これに類するもの」を具体的に列挙しています。
準工業地域や工業地域でも同じ規制が及ぶのか

さらに先の工業地域・工業専用地域ではどう扱われるかを確認します。
一 (る)項第三号に掲げるもの
建築基準法別表第二(わ)項 工業専用地域内に建築してはならない建築物
一 (を)項に掲げるもの
工業地域を定める(を)項第一号は「(る)項第三号に掲げるもの」をそのまま引用し、個室付浴場業をあらためて禁止対象に含めています。
工業専用地域を定める(わ)項第一号も「(を)項に掲げるもの」を一括して引用しており、結果として工業専用地域でも同じ禁止が及びます。
つまり個室付浴場業は近隣商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域の4つの用途地域で禁止され、名指しの禁止規定が無いのは商業地域だけです。
次は、実務で明日から確認すべき手順を整理しましょう。
準工業地域だけでなく工業地域や工業専用地域まで、規制がずっと続いているのですね。
はい、(を)項と(わ)項が順に引用し合っているためです。
次は確認の手順を整理しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

着工前に確認しておくべき点を整理します。
- 計画地が近隣商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域のいずれかに該当するかを都市計画図で確認する
- 該当する場合、計画する施設が個室付浴場業その他政令で定める類似施設(ヌードスタジオ等)に当たらないかを用途で確認する
- 商業地域であれば、この号による名指しの禁止は無いことをあわせて確認する
- 該当性の判断に迷う場合や、どうしても計画したい場合は、特定行政庁の建築指導窓口へ許可の可能性を確認する
商業地域を外れる用途地域であれば、同じ建築物でも扱いが変わる場合があります。
判断に迷う用途は、特定行政庁の建築指導窓口で個別に確認しておくと安全です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
まず用途地域と用途の該当性、この2点を確認します。
はい、その2点が出発点です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
まず用途地域を確認して、計画を見直します!
用途の該当性の確認も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第9項・第11項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(り)項第三号・(る)項第三号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(ぬ)項・(を)項・(わ)項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第130条の9の5(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断や規定の適用範囲は個別の土地の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





