マンションなどの共同住宅で自動火災報知設備やスプリンクラー設備を備えていても、各住戸の住宅用防災警報器の設置義務が自動的になくなるわけではありません。
火災予防条例(例)は、一定の代替設備を技術上の基準どおりに設置した場合に限り、その設備の有効範囲内で住宅用防災警報器等の設置を免除できると定めています。
どの設備が対象になり、免除される範囲がどこまでなのかを取り違えると、点検や維持管理の責任の所在があいまいになりかねません。
共同住宅の住宅用防災警報器等がいつ設置免除の対象になるのかを、条例の条文に沿って整理します。
うちのマンションは共同住宅用の自動火災報知設備が入ってるんですけど、各部屋の住宅用防災警報器も別に付けないといけないんでしょうか。
条例で定める基準どおりに設置されていれば、その設備の有効範囲内は住宅用防災警報器を省略できます。
ただし基準を満たしていない設置だと免除は認められません。
設置されている設備の種類によって免除の範囲が変わるということですか。
はい。
スプリンクラー設備か自動火災報知設備かで根拠条文が分かれていて、共同住宅特有の設備もいくつか列挙されています。
- 住宅用防災警報器等の設置義務は消防法第九条の二にあり、基準は市町村の火災予防条例で定められます
- 火災予防条例(例)第二十九条の五は、スプリンクラー設備または自動火災報知設備を技術上の基準どおりに設置したときに設置を免除できると定めています
- 共同住宅用スプリンクラー設備・共同住宅用自動火災報知設備・住戸用自動火災報知設備など、共同住宅特有の代替設備も免除の対象に列挙されています
- 免除されるのは代替設備の有効範囲内の住宅の部分だけで、範囲外まで自動的に免除されるわけではありません
- 基準に適合しない設置では免除は認められず、消防長の判断による特例(第二十九条の六)とも別の制度です
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目次
共同住宅の住宅用防災警報器はなぜ免除されることがあるのか

一方で共同住宅には、住戸ごとの警報器とは別に建物全体を対象にした自動火災報知設備やスプリンクラー設備が備わっていることがあります。
条例は、この消防法の委任を受けて設置場所や基準の細目、そして免除の条件を具体的に定める役割を持ちます。
つまり共同住宅だから警報器が要らないという単純な話ではなく、条例が定める免除の要件を満たしているかどうかで決まります。
この要件を正しく理解していないと、免除されていると思い込んでいた部分が実は対象外だった、という見落としが起こります。
次の項目で、免除の対象になる設備を具体的に見ていきます。
うちは共同住宅なので、それだけで警報器は免除されるものだと思ってました。
共同住宅というだけでは免除になりません。
条例が定める代替設備を基準どおりに設置しているかがポイントです。
免除の対象になるのはどの設備を設置したときか

まず基本になるのが、住宅の部分に設置するスプリンクラー設備と自動火災報知設備です。
号はこの二つだけでなく、共同住宅用スプリンクラー設備・共同住宅用自動火災報知設備・住戸用自動火災報知設備・特定小規模施設用自動火災報知設備・複合型居住施設用自動火災報知設備まで、合わせて七号が定められています。
これらは特定共同住宅等省令など別の技術基準に従って設置されたものが対象になります。
つまりマンションに何らかの警報設備があるという事実だけでなく、どの号に当たる設備かを特定する必要があります。
号を特定できなければ、免除の適用そのものを主張できません。
うちの受信機は共同住宅用自動火災報知設備っぽいんですが、それも対象になるんでしょうか。
共同住宅用自動火災報知設備も号の一つに入っています。
ただし特定共同住宅等省令の基準どおりに設置されているかまで確認が必要です。
免除される範囲はどこまでか

つまり免除は建物全体にではなく、代替設備が実際にカバーしている範囲だけに限られます。
たとえば自動火災報知設備の感知区域が一部の住戸にしか及んでいない場合、その外側の住戸には従来どおり住宅用防災警報器等の設置義務が残ります。
共同住宅用スプリンクラー設備や共同住宅用自動火災報知設備は建物単位で設計されることが多いため、範囲を建物全体と思い込みやすい点に注意が必要です。
実際の有効範囲は、設計図書や設置届出の記載内容で確認するのが確実です。
範囲があいまいなまま免除されていると判断しないようにします。
受信機は一階にしかないんですが、それでも全部の住戸が免除されるんでしょうか。
受信機の場所ではなく、設備が実際に効く範囲で判断します。
図面や届出の記載で有効範囲を確認してください。
実務で見落としやすいのはどこか

基準に適合しない設置のまま免除されていると誤認するケースが実務では起こりがちです。
前者は代替設備を基準どおりに設置した場合に成り立つ免除で、後者は消防長が個別に判断する特例です。
うちは特例が認められているはずだという思い込みで、消防長の判断を確認しないまま免除扱いにしてしまう例が見られます。
また代替設備の技術上の基準に適合していない設置は、そもそも第二十九条の五の対象になりません。
免除の根拠がどちらの条文に基づくのかを、記録として残しておくことが重要です。
うちは以前の管理会社から免除になっていると聞いただけで、根拠までは確認していません。
根拠が第二十九条の五なのか第二十九条の六の特例なのかで扱いが変わります。
設置届出や検査記録で根拠条文を確認しておきましょう。
明日から何を確認すればよいのか

分からない場合は、所轄の消防署に確認するのが最も確実な方法です。
まず自分のマンションにどの代替設備が入っているかを設置届出や検査済証で確認し、有効範囲を図面で特定します。
範囲外の住戸や共用部分については、住宅用防災警報器等の設置と維持の状況を点検します。
免除の根拠に迷う場合や設備の更新を検討する場合は、所轄消防署に相談してください。
管理組合や管理会社まかせにせず、記録を残しておくことが後々のトラブルを防ぎます。
まずは設置届出を管理会社に確認してみます。
それがいちばん確実です。
分からない点があれば、いつでも所轄の消防署か㈱防災屋にご相談ください。
よくある質問
まとめ
設置届出と有効範囲を、さっそく管理会社に確認してみます!
判断に迷ったら早めのご相談が安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第九条の二
- 火災予防条例(例)第二十九条の二・第二十九条の三・第二十九条の五・第二十九条の六(消防庁長官通知)
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





