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少量危険物のタンクはなぜ底板の腐食まで防ぐ基準があるのか|厚さや水圧試験から安全装置まで解説

屋外に設置された据置タンクの底部と配管のクローズアップ写真

少量危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクのうち、地下タンクでも移動タンクでもない据置タンクには、火災予防条例が定める専用の技術上の基準があります。
鋼板の厚さと水圧試験、地震対策とさび止め、安全装置と通気管、そして屋外に設置する場合の底板の腐食防止まで、号ごとに細かく決められています。
指定数量以上を扱う屋外タンク貯蔵所とは別の枠で、指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物に適用される基準です。
この記事では、少量危険物を貯蔵する据置タンクに求められる構造基準を号ごとに整理して解説します

うちのタンクは指定数量よりずっと少ないので、置いておくだけで大丈夫ですよね。

いえ、少量危険物であってもタンクの構造そのものに基準がかかります。

具体的にはどこまで見ればいいんですか。

鋼板の厚さから底板の腐食防止まで一通りあります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 少量危険物を貯蔵する据置タンクには、専用の位置、構造及び設備の技術上の基準があります
  • タンクは容量に応じた厚さの鋼板で気密に造り、水張試験又は水圧試験に適合させます。
  • 地震で転倒しない措置とさび止めの両方が必要です
  • 圧力タンクには安全装置を、それ以外には通気管又は通気口を設けます。
  • 屋外に設置し底板が地盤面に接するものは、底板の外面の腐食を防止する措置が必要です。

少量危険物の据置タンクの構造基準は鋼板の厚さと地震対策とさび止めと安全装置と通気管と屋外設置の底板の腐食防止の5つで確認することを示した図解

少量危険物のタンクにはなぜ専用の構造基準があるのか

地上に設置された円筒形タンクと鋼板の厚さを示す断面
指定数量未満の危険物には、消防法第九条の四に基づき市町村の火災予防条例が適用されます。
地下タンクでも移動タンクでもない据置タンクには、まず鋼板の厚さと試験の基準がかかります。
火災予防条例(例)第三十一条の四第二項第一号 その容量に応じ、次の表に掲げる厚さの鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で気密に造る(表略)とともに、圧力タンクを除くタンクにあつては水張試験において、圧力タンクにあつては最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間行う水圧試験において、漏れ、又は変形しないものであること。ただし、固体の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクにあつては、この限りでない。
結論は、据置タンクにも鋼板の厚さと試験の両方が求められるということです
タンクは容量に応じた厚さの鋼板で気密に造らなければなりません。
圧力タンク以外は水張試験、圧力タンクは最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間の水圧試験に適合させます。
固体の危険物だけを貯蔵し、又は取り扱うタンクはこの限りではありません。
指定数量未満でも、置くだけでよいタンクは一つもありません。

タンクの厚さなんて、買ったときのカタログでしか見たことがないです。

製造時の検査記録を残しておいてください。
導入時に確認するのが一番確実です。

地震と腐食からタンクをどう守るのか

地震の揺れに耐えるアンカーで固定されたタンクとさび止め塗装された外面
タンクは据え置いたまま長期間使われるため、揺れへの備えと日々の腐食対策が両方必要です。
どちらも条文で明示されています。
火災予防条例(例)第三十一条の四第二項第二号 地震等により容易に転倒又は落下しないように設けること。同項第三号 外面には、さび止めのための措置を講ずること。ただし、アルミニウム合金、ステンレス鋼その他さびにくい材質で造られたタンクにあつては、この限りでない。
結論は、転倒対策とさび止めをセットで確認するということです
タンクは地震等により容易に転倒又は落下しないように固定して設けます。
外面にはさび止めの措置を講じますが、アルミニウム合金やステンレス鋼などさびにくい材質のタンクは対象外です。
固定の強さとさびにくさは別々の話なので、片方が良いからもう片方も安心とは限りません。

うちのタンクはステンレス製なので、さび止めはしなくていいんですね。

はい、材質は対象外です。
ただし固定の状態は別に確認してください。

圧力の変化にはどう備えるのか

タンク上部の安全装置と通気管のクローズアップ
タンクの内部は温度変化などで圧力が動きます。
圧力タンクかどうかで求められる設備が分かれます。
火災予防条例(例)第三十一条の四第二項第四号 圧力タンクにあつては有効な安全装置を、圧力タンク以外のタンクにあつては有効な通気管又は通気口を設けること。同項第五号 引火点が40度未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う圧力タンク以外のタンクにあつては、通気管又は通気口に引火を防止するための措置を講ずること。
結論は、圧力タンクか否かで設ける設備が分かれるということです
圧力タンクには有効な安全装置を、圧力タンク以外には有効な通気管又は通気口を設けます。
引火点が40度未満の危険物を扱う圧力タンク以外のタンクは、その通気管又は通気口に引火防止のための措置も必要です。
ガソリンのような引火点の低い危険物を扱うタンクほど、通気設備側の対策が増えます。

通気管があれば、中身が何であっても同じでいいと思っていました。

引火点の低い危険物かどうかを確認してください。
該当すれば引火防止の措置も必要です。

屋外設置の底板は何を見落としやすいのか

屋外の地盤面に接するタンクの底板と腐食防止の塗装層を示す断面
タンクの側面は目視で確認しやすい一方、地盤面に接する底板は普段の点検で見落とされがちです。
注入口の位置にも基準があります。
火災予防条例(例)第三十一条の四第二項第七号 注入口は、火災予防上支障のない場所に設けるとともに、当該注入口には弁又はふたを設けること。同項第十一号 屋外に設置するもので、タンクの底板を地盤面に接して設けるものにあつては、底板の外面の腐食を防止するための措置を講ずること。
結論は、注入口の位置と底板の腐食防止の両方を見落としやすいということです
注入口は火災予防上支障のない場所に設け、注入口には弁又はふたを設けます。
屋外に設置し底板を地盤面に接して設けるタンクは、底板の外面の腐食を防止する措置を講じなければなりません。
底板は地面に接している分、湿気や雨水の影響を側面より受けやすい部分です。
見やすい位置に危険物の量を自動的に表示する装置(ガラス管等を除く。)が付いているかも、あわせて確認しておくとよい部分です。

底の部分まではさすがに見たことがないです。

地盤面に接するタイプかどうかを確認してください。
設置時の記録が一番の手がかりです。

配管と漏れの対策は明日から何を確認すればよいのか

チェックリストと図面と巻尺
タンクの配管は、地震で壊れる箇所と、日常の操作で使う箇所の両方に基準があります。
漏れたときの流出対策もあわせて確認します。
火災予防条例(例)第三十一条の四第二項第八号 タンクの配管には、タンク直近の容易に操作できる位置に開閉弁を設けること。同項第九号 タンクの配管は、地震等により当該配管とタンクとの結合部分に損傷を与えないように設置すること。同項第十号 液体の危険物のタンクの周囲には、危険物が漏れた場合にその流出を防止するための有効な措置を講ずること。
結論は、配管の弁と地震対策と流出防止を三点セットで確認するということです
タンクの配管には、タンク直近の容易に操作できる位置に開閉弁を設けます。
配管は地震等でタンクとの結合部分に損傷を与えないように設置しなければなりません。
液体の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの周囲には、漏れた場合の流出を防止する有効な措置も必要です。
明日からできることとして、配管の開閉弁が実際にすぐ操作できる位置にあるかを見に行ってみてください。

開閉弁がどこにあるか、そういえば意識したことがないです。

はい。
タンク直近で操作できるかを今度の点検で見てください。

よくある質問

Q据置タンクの構造基準は、屋外タンク貯蔵所の基準と同じものですか?
A数値は近いものもありますが、根拠条文が異なります。屋外タンク貯蔵所は危険物の規制に関する政令、少量危険物の据置タンクは市町村の火災予防条例が根拠です。
Qさび止めの措置が不要な材質のタンクなら、外面の点検も不要ですか?
A条文が明示的に免除しているのはさび止めの措置だけです。転倒又は落下の防止など他の号は材質にかかわらず適用されます。
Q底板の腐食防止措置は、屋内に設置したタンクにも必要ですか?
Aいいえ。条文は屋外に設置し底板を地盤面に接して設けるものを対象としています。屋内設置のタンクはこの号の対象外です。
Q通気管の引火防止措置は、どんな危険物でも必要ですか?
Aいいえ。引火点が40度未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う圧力タンク以外のタンクが対象です。該当するかどうかは危険物の性質で判断します。

まとめ

少量危険物を貯蔵する据置タンクには、専用の位置、構造及び設備の技術上の基準があります
タンクは容量に応じた厚さの鋼板で気密に造り、水張試験又は水圧試験に適合させます
地震で転倒しない措置と外面のさび止めの両方が必要です
圧力タンクには安全装置を、それ以外には通気管又は通気口を設けます
屋外に設置し底板が地盤面に接するタンクは、底板の腐食を防止する措置が必要です
注入口は火災予防上支障のない場所に設け、弁又はふたを設けます
配管にはタンク直近に開閉弁を設け、地震対策と漏れの流出防止もあわせて講じます

底板の裏側まで基準があるとは思いませんでした!

設置時の記録や図面から確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第九条の四(指定数量未満の危険物に関する基準)
  • 火災予防条例(例)第三十一条の四(少量危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの技術上の基準)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。実際の運用は施設の許可内容や所轄消防署の指導によって異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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