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住宅用防災警報器はなぜ設置したあとも維持基準があるのか|電源と自動試験機能で変わる交換の目安を解説

天井に設置された住宅用防災警報器のクローズアップ写真

住宅用防災警報器は、寝室や階段に取り付けたらそれで終わりではありません。
電源が途切れていたり電池が切れたまま放置されていれば、いざというときに鳴らない機器になってしまいます。
火災予防条例(例)は設置基準とは別に、電源の種類や自動試験機能の有無に応じた維持基準を号ごとに定めています。
この記事では、設置したあとに何を確認し続ければよいのかを条文から解説します。

うちの住宅用の警報器、設置してからずっと点検してないんですが、それで大丈夫でしょうか。

設置基準だけでなく維持基準もあります。
まずは電源の種類から確認していきましょう。

電池式と電源から取るタイプで、確認の仕方が違うんですか。

はい。
火災予防条例(例)第二十九条の三第六項が、電源の種類ごとに号を分けて定めています。

この記事の結論
  • 住宅用防災警報器等は、消防法第九条の二により設置だけでなく維持も義務とされています
  • 電池を電源とする場合は、電圧低下の表示や音響が出たら電池を交換する基準です
  • 電池以外の電源をとる場合は、分電盤との間に開閉器のない配線から電力をとらなければなりません
  • 自動試験機能の有無で、交換のタイミングの見つけ方が変わります
  • 住宅用防災報知設備は受信機と補助警報装置の設置場所まで基準が及びます

住宅用防災警報器と住宅用防災報知設備の維持基準を電源と自動試験機能で示した図解

住宅用防災警報器はなぜ設置したあとも維持基準があるのか

天井中央に設置された住宅用防災警報器とその下のリビングの様子
住宅用防災警報器等の設置義務は、取り付けたら終わりという意味ではありません。
条文には「設置し、及び維持しなければならない」と、維持することがはっきり書かれています。
消防法第九条の二第一項 住宅の用途に供される防火対象物(略。以下この条において「住宅」という。)の関係者は、次項の規定による住宅用防災機器(住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備をいう。略)の設置及び維持に関する基準に従つて、住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならない。同条第二項 住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準その他住宅における火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例で定める
維持まで含めて初めて設置義務を満たします
条文が「設置し、及び維持しなければならない」と両方を義務としているのは、鳴らない警報器を放置させないためです。
維持の中身、つまりどんな基準で維持すればよいのかは、消防法ではなく市町村の火災予防条例(例)に定められています。
条例は電源の種類自動試験機能の有無ごとに、号を分けて具体的な基準を置いています。
次の項目から、その号の中身を一つずつ見ていきます。

設置基準は聞いたことがありますが、維持の基準は初めて知りました。

設置基準ばかり注目されがちですが、条例は維持のほうも号ごとに細かく決めています。

電源の種類でなにが変わるのか

電池パックが見える住宅用防災警報器と配線接続された住宅用防災警報器の対比
住宅用防災警報器の電源は、電池と配線からとる電源の二種類に分かれます。
条例はこの二種類ごとに、維持の基準を分けて定めています。
火災予防条例(例)第二十九条の三第六項 (略)次に掲げる基準により設置し、及び維持しなければならない。 一 電源に電池を用いる住宅用防災警報器にあつては、当該住宅用防災警報器を有効に作動できる電圧の下限値となつた旨が表示され、又は音響により伝達された場合は、適切に電池を交換すること。 二 電源に電池以外から供給される電力を用いる住宅用防災警報器にあつては、正常に電力が供給されていること。 三 (略)住宅用防災警報器の電源は、分電盤との間に開閉器が設けられていない配線からとること。 四 電源に用いる配線は、電気工作物に係る法令の規定によること。
電池式は電圧低下の合図を見逃さないことが基準の中心です
警報器が電圧の下限値になった旨を表示や音で伝えてきたら、そのタイミングで電池を交換するよう定められています。
配線から電源をとるタイプは、分電盤との間に開閉器のない配線からとることが条件です。
これは誰かがブレーカーを落とした拍子に、警報器の電源まで切れてしまう事態を防ぐための規定です。
自宅の警報器がどちらの電源方式か、まず確認しておきましょう。

電池式は電池を換えれば済みますが、配線タイプは自分では手を出しにくいですね。

配線の工事は資格が必要な場合もあります。
電気工作物の法令に沿った業者に確認するのが安心です。

自動試験機能の有無で交換のタイミングはどう変わるのか

交換期限ラベルが付いた住宅用防災警報器と状態表示灯が点灯する住宅用防災警報器の対比
住宅用防災警報器の交換時期は、自動試験機能があるかどうかで確認方法が変わります。
条例は号を分けて、それぞれの確認方法を定めています。
火災予防条例(例)第二十九条の三第六項 五 自動試験機能(住宅用防災警報器等規格省令第二条第五号に規定するものをいう。次号において同じ。)を有しない住宅用防災警報器にあつては、交換期限が経過しないよう、適切に住宅用防災警報器を交換すること。 六 自動試験機能を有する住宅用防災警報器にあつては、機能の異常が表示され、又は音響により伝達された場合は、適切に住宅用防災警報器を交換すること
自動試験機能がなければ、交換期限を自分で管理するしかありません。
本体に表示された交換期限が経過しないよう、期限が近づいたら早めに交換することが求められます。
一方で自動試験機能があるタイプは、機能の異常が表示や音で伝えられたタイミングで交換すればよいとされています。
期限で管理するのか、異常表示で管理するのかは、自分の警報器がどちらの機能を持つかによって決まります。
取扱説明書や本体の表示で、まずどちらのタイプかを確かめてください。

うちの警報器、自動試験機能があるのかどうかも分かってなかったです。

本体の表示や取扱説明書に書いてあることが多いです。
次の点検のときに一緒に確認しましょう。

住宅用防災報知設備の受信機や補助警報装置はどこに置けばよいのか

壁掛けの受信機パネルと廊下に設置された補助警報装置の対比
住宅用防災報知設備は、警報器とは別に受信機や補助警報装置の設置場所にも基準があります。
号ごとに、それぞれの機器をどこに置くべきかが定められています。
火災予防条例(例)第二十九条の四第五項 (略)次に掲げる基準により設置し、及び維持しなければならない。 一 受信機(略)は、操作に支障が生じず、かつ、住宅の内部にいる者に対し、有効に火災の発生を報知できる場所に設けること。 二 前条第一項各号に掲げる住宅の部分が存する階に受信機が設置されていない場合にあつては、住宅の内部にいる者に対し、有効に火災の発生を報知できるように、当該階に補助警報装置を設けること。
受信機は、操作に支障が生じない場所で、住宅の内部にいる者に確実に伝わることが条件です。
玄関脇や物置の奥など、いざというとき操作しづらい場所は基準を満たさない可能性があります。
また警報器が設置される階に受信機が無い場合は、その階に補助警報装置を追加で設けなければなりません。
一階に受信機を置いて二階以上に補助警報装置がないままだと、上の階にいる人に火災の発生が伝わらない恐れがあります。
階ごとに受信機か補助警報装置のどちらかがあるかを、間取り図で確認しておきましょう。

うちは受信機が一階にしかないんですが、二階には何もありません。

その場合は二階に補助警報装置を設けないと、基準を満たさない可能性があります。
早めに確認しましょう。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストと工具を手に住宅用防災警報器を点検する様子
維持基準は号ごとに分かれているため、一度にまとめて覚えるより順番に確認するのが確実です。
最後に、住宅用防災報知設備ならではの確認事項も見ておきます。
火災予防条例(例)第二十九条の四第五項 三 感知器と受信機との間の信号を配線により送信し、又は受信する住宅用防災報知設備にあつては、当該配線の信号回路について容易に導通試験をすることができるように措置されていること。(略) 四 (略)無線により送信し、又は受信する住宅用防災報知設備にあつては、次によること。 イ 感知器と受信機との間において確実に信号を送信し、又は受信することができる位置に感知器及び受信機を設けること。 ロ 受信機において信号を受信できることを確認するための措置を講じていること。 五 住宅用防災報知設備は、受信機その他の見やすい箇所に容易に消えないよう感知器の交換期限を明示すること。
配線式なら導通試験ができる措置、無線式なら送受信の確認措置が求められます。
無線式は電波が届きにくい位置に感知器を置いてしまうと、いざというとき信号が受信機まで届かない恐れがあります。
まず自宅の電源方式(電池か配線か)と自動試験機能の有無を確認し、交換期限か異常表示のどちらで管理するかを把握します。
住宅用防災報知設備がある場合は、受信機と補助警報装置の設置場所、配線か無線かの確認措置もあわせて点検します。
迷ったときは、所轄の消防署か専門業者に相談するのが確実です。

電源と自動試験機能、それから受信機の場所ですね。
まず自分の家のを確認してみます。

その三点を押さえれば、維持基準はほぼカバーできます。
分からなければいつでもご相談ください。

よくある質問

Q住宅用防災警報器の電池交換の時期はどう分かりますか?
A電圧が下限値になった旨が表示または音響で伝えられます。その合図が出たら適切に電池を交換する基準です。
Q自動試験機能とはどんな機能ですか?
A住宅用防災警報器等規格省令が定める機能で、機能の異常を自動的に検知して表示や音響で伝える仕組みです。異常が伝えられたタイミングで交換します。
Q受信機はどの部屋に設置しても構いませんか?
Aいいえ。操作に支障が生じず、住宅の内部にいる者に有効に報知できる場所に設ける必要があります。
Q無線式の住宅用防災報知設備は配線工事が不要ですか?
A配線は不要ですが、感知器と受信機の間で確実に信号を送受信できる位置に設け、受信できることを確認する措置を講じる必要があります。

まとめ

住宅用防災警報器等は、消防法第九条の二により設置だけでなく維持も義務です
電池式は電圧低下の表示や音響が出たタイミングで電池を交換します
電源から取るタイプは分電盤との間に開閉器のない配線からとります
自動試験機能の有無で、交換期限管理か異常表示管理かが変わります
受信機は操作しやすく有効に報知できる場所に設けます
受信機のない階には補助警報装置を設ける必要があります
配線式は導通試験、無線式は送受信の確認措置を講じます

電源と自動試験機能、さっそく自分の家のを確認してみます!

判断に迷ったら早めのご相談が安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第九条の二
  • 火災予防条例(例)第二十九条の三・第二十九条の四(消防庁長官通知)
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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