危険物施設の高所点検や災害時の確認に、ドローンを使う場面が増えてきました。
石油コンビナート等の事業者だけでなく、身近な危険物施設にも関係するガイドラインが出ています。
点検の安全性と精度を両立させるために、消防庁は何を求めているのか。
ドローンの飛行計画は予防規程の一部として位置付けることが求められています
タンクの点検業者から、次回はドローンを飛ばしたいと言われました。
うちは石油コンビナートではないのですが、関係あるのですか。
関係あります。
消防庁のガイドラインは、石油コンビナート以外の危険物施設にも参考にするよう求めています。
飛行計画書とか、うちで何か作らないといけないのでしょうか。
作ります。
なぜ出された通知なのか、対象や中身を順に見ていきましょう。
- 平成31年3月29日の通知で、危険物施設でのドローン活用ガイドラインが示された
- 対象は石油コンビナート等に限らず、危険物施設全般に広がる
- ドローンによる点検は予防規程が定める巡視・点検・検査や非常時の措置に該当する
- 予防規程の作成義務がなくても、社内規定やマニュアルへの位置付けが望ましいとされた
- 飛行計画書は消防機関への情報提供とセットで運用する
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目次
危険物施設のドローン活用ガイドラインはなぜ作られたのか

危険物施設の点検にも使われ始めましたが、そこには両立させたい課題がありました。
危険物施設のタンクや配管は高い場所にあり、これまでは梯子や高所作業台を使って人が直接近づいて点検していました。
ドローンを使えば、人が高所に登らずに点検や災害時の現場確認ができます。
その一方で、危険物施設には防爆エリアがあり、ドローンが誤って進入したり設備に落下したりすれば、かえって危険を招きます。
そこで消防庁は厚生労働省・経済産業省と共同で「石油コンビナート等災害防止3省連絡会議」を開き、安全に活用するためのガイドラインと活用事例集をとりまとめました。
人が登らなくて済むのは助かりますが、落として壊したら大変ですものね。
そのとおりです。
だからこそ安全な飛ばし方を先に決めておくことが大切なんです。
ガイドラインはどの危険物施設が対象になるのか

通知の記の1番目に、その範囲がはっきり書かれています。
ガイドライン自体は石油コンビナート等の大規模なプラントを念頭に作られましたが、通知はその枠を超えて危険物施設全般に参考にするよう求めました。
給油取扱所や一般の製造所、貯蔵所であっても、ドローンで点検や現場確認をするなら考え方は同じです。
自分の施設が石油コンビナートでないからといって、無関係だと思い込むと通知の趣旨から外れます。
タイトルだけ見て、大きなプラントの話だと思っていました。
記の1番目まで読むと、身近な施設にも当てはまると分かります。
ドローンの点検はなぜ予防規程に位置付ける必要があるのか

飛行計画書には、決められた置き場所があります。
同条第11号 災害その他の非常の場合に執るべき措置に関すること。
危険物の規制に関する規則は、予防規程に「巡視、点検及び検査」と「災害その他の非常の場合に取るべき措置」を定めるよう求めています。
ドローンによる点検や災害時の現場確認は、この2つの項目のどちらかに当てはまる行為だと通知は整理しました。
だから、ドローンを飛ばす計画を思いつきで作るのではなく、予防規程の関連文書として位置付けて運用することが求められます。
飛行計画書を予防規程とは別のファイルにしまい込んでしまうと、この位置付けが抜け落ちてしまいます。
ドローンの操縦マニュアルというより、予防規程の一部という扱いなんですね。
そのとおりです。
予防規程の変更届が必要になる場合もあるので、所轄消防に相談してください。
予防規程を作る義務がなければドローンは無関係なのか

では、義務のない小規模な施設ならドローンの扱いを何も決めなくてよいのか。
予防規程を作らなくてよい施設であっても、ドローンが落下すれば防爆エリアへの危害という同じリスクがあります。
そのため通知は、社内規定やマニュアルにドローンの飛行計画を位置付け、あわせて消防機関への情報提供をすることが望ましいと呼びかけています。
「義務ではないから」という理由で何も決めずにドローンを飛ばしてしまうのが、この通知でいちばん見落とされやすい落とし穴です。
義務の有無にかかわらず、飛行計画を書面にして残しておくことが安全対策の第一歩になります。
うちは予防規程を作る義務がないので、関係ないと思っていました。
義務がなくても、簡単な書面と消防機関への一言があると安心です。
危険物施設でドローンを飛ばす前になにを確認すればよいのか

明日からできることは、そう多くありません。
まず、自分の施設に予防規程の作成義務があるかどうかを確かめます。
義務があれば、ドローンの飛行計画書を予防規程の関連文書として位置付け、必要に応じて変更届を検討します。
義務がなければ、社内規定やマニュアルに飛行計画を書き残し、所轄消防への情報提供を済ませておきます。
そのうえで、防爆エリアへの進入や設備への落下を防ぐ飛行ルートを、ガイドラインを参考に点検業者と一緒に確認しておくと安心です。
まずは予防規程の有無を確かめるところからですね。
そこから、位置付ける先が予防規程かマニュアルかが決まります。
よくある質問
まとめ
予防規程かマニュアルか、まず確かめてみます!
点検業者から提案があったら、飛行計画書の位置付けを一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドライン等の送付について」(平成31年3月29日 消防危第51号消防庁危険物保安室長・消防特第49号消防庁特殊災害室長)
- 危険物の規制に関する規則第60条の2第5号・第11号(予防規程に定めなければならない事項)
- 消防組織法第37条(消防庁長官の助言、勧告及び指導)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





