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第一種低層住居専用地域の車庫はなぜ母屋より大きく建てられないのか|建築基準法別表第二(い)項第十号の規制を解説

第一種低層住居専用地域の車庫は母屋より大きくできないことを示すアイキャッチ画像

第一種低層住居専用地域は、住宅以外の建物を原則として建てられない、最も規制が厳しい用途地域です。
では、車庫や物置のような住宅に附属する建物は自由に建てられるのでしょうか。
建築基準法別表第二(い)項第十号は原則として附属建築物を認めていますが、施行令が禁止する例外も定めています。
車庫や畜舎を計画するときは、この政令が定める禁止類型を必ず押さえておく必要があります

第一種低層住居専用地域に建つ住宅で、大きめの車庫を増築したいという相談があったのですが、建てられますか。

実は別表第二(い)項第十号に、そうした附属建築物の規定があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。

母屋に附属する建物なら、どんな大きさでも建てられるということですね。

いいえ、施行令が定める上限があります。
次はその条件を確認しましょう。

この記事の結論
  • 第一種低層住居専用地域では、建築基準法第48条第1項により別表第二(い)項に掲げる建築物以外は原則建てられません。
  • 別表第二(い)項第十号は、住宅などに附属する建築物を原則として認めていますが、施行令第百三十条の五が定める類型は例外的に禁止されます
  • 自動車車庫は、床面積の合計が母屋の延べ面積(上限600平方メートル)を超えると建てられません
  • 自動車車庫は、施行令第百三十条の五第三号により二階以上の部分に設けることが一律に禁止されています。
  • 畜舎は床面積の合計が15平方メートルを超えると建てられません

第一種低層住居専用地域でも附属建築物は原則建てられるが車庫の面積や階数畜舎の面積に上限があることを示す図解

住宅に附属する建物はなぜ原則自由に建てられるのか

住宅に物置が附属した建物のイラスト
第一種低層住居専用地域では、住宅そのものだけでなく、それに附属する建物の扱いも条文で決まっています。
まず十号の条文を確認します。
建築基準法別表第二(い)項 十 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。
別表第二(い)項第十号は、一号から九号までの建築物に附属する建物を、原則として自由に認めています
物置や倉庫といった小規模な付属建物の多くは、この十号によって自然に建築が許されます。
ただし「政令で定めるものを除く」という除外規定があり、施行令第百三十条の五は建てられない附属建築物を五つの号で列挙しています。
このうち住宅の建築計画で特に問題になりやすいのが、自動車車庫の大きさと階数、そして畜舎の大きさに関する規定です。
次は、もっとも問い合わせの多い車庫の大きさの制限から見ていきます。

車庫や物置なら、何でも自由に建てられると思っていました。

実は禁止される類型があるんです。
まずは車庫の大きさから見てみましょう。

自動車車庫の大きさはどこまで認められるのか

母屋と同じくらいの大きさの車庫と母屋より大きな車庫を対比したイラスト
車庫の大きさには、母屋の規模と連動する独特のルールがあります。
施行令の条文を確認します。
建築基準法施行令第百三十条の五(抜粋) 一 自動車車庫で(略)床面積の合計に(略)工作物の築造面積を加えた値が六百平方メートル(同一敷地内にある建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計が六百平方メートル以下の場合においては、当該延べ面積の合計)を超えるもの(次号に掲げるものを除く。)
車庫の上限は一律600平方メートルではなく、母屋の延べ面積によって下がる仕組みになっています
母屋(車庫を除く建築物)の延べ面積が600平方メートル以下であれば、車庫の上限はその母屋と同じ延べ面積まで下がります。
一般的な戸建て住宅の延べ面積は600平方メートルよりはるかに小さいため、車庫は母屋より大きくできないというのが実務上の基準になります。
国土交通大臣が公告した特定の区域では別の算定式が適用されますが、通常の住宅地ではこの母屋連動のルールが基準です。
次は、車庫を建てる位置についての制限を確認します。

うちの車庫は家より大きくしたいのですが、それは難しいということですか。

はい、母屋の延べ面積が上限になります。
次は車庫を建てる場所の制限を見てみましょう。

車庫を二階に置くとなぜ認められないのか

一階に建てた車庫と二階に建てた車庫を対比したイラスト
車庫は大きさだけでなく、建てる位置にも制限があります。
条文を確認します。
建築基準法施行令第百三十条の五(抜粋) 三 自動車車庫で二階以上の部分にあるもの
自動車車庫は、床面積や母屋との大小関係にかかわらず、二階以上の部分に設けること自体が一律に禁止されています
これは車庫の大きさが十分に小さい場合でも例外なく適用される規定です。
住宅そのものが二階建てであっても、車庫は一階部分に収める必要があります。
高床式のガレージや、二階の床下を利用した駐車スペースのような計画は、この規定に抵触します。
次は、住宅の敷地でもう一つ問題になりやすい畜舎の規定を確認します。

二階に駐車スペースを作る計画は聞いたことがあります。
この地域では無理なんですね。

はい、二階以上は一律禁止です。
次は畜舎の規定を見てみましょう。

家庭で飼う動物の小屋はどこまで自由に建てられるのか

小さな物置小屋と畜舎を対比したイラスト
車庫以外にも、面積の上限が決まっている附属建築物があります。
条文を確認します。
建築基準法施行令第百三十条の五(抜粋) 四 床面積の合計が十五平方メートルを超える畜舎
畜舎は床面積の合計が15平方メートルを超えると、この地域には建てられません
15平方メートルという数値は、一般的な物置や倉庫と比べてもかなり小さい上限です。
小規模な家畜小屋であっても、この面積を超えれば建築できないことになります。
なお施行令はこのほかに、別表第二(と)項第四号に掲げる危険物の貯蔵に供する建築物も附属建築物として認めていません。
次は、これらの制限を実務でどう確認すればよいかを整理します。

家庭菜園の道具小屋くらいなら大丈夫ですか。

はい、通常の物置は問題ありません。
次は確認の手順を整理しましょう。

附属建築物を計画するとき何を確認すればよいのか

役所窓口と製図机のイラスト
附属建築物の相談を受けたときは、禁止される類型に当てはまらないかを順に確認します。
確認すべき点を整理します。
  • 計画中の建物が、別表第二(い)項一号から九号までの建築物に附属するものかを確認する
  • 自動車車庫の場合、床面積の合計が母屋の延べ面積(上限600平方メートル)を超えていないかを確認する
  • 自動車車庫を二階以上の部分に設ける計画になっていないかを確認する
  • 畜舎の場合、床面積の合計が15平方メートルを超えていないかを確認する
大きさ、階数、用途の三段階で確認すれば、附属建築物が建てられるかどうかの見立てが立ちます
まず計画中の建物が(い)項一号から九号までの建築物に附属するものかを確認します。
次に自動車車庫であれば、母屋の延べ面積との大小関係と、階数の制限を確認します。
最後に畜舎や危険物の貯蔵に該当しないかを確認し、該当すれば特定行政庁への相談に進みます。

大きさと階数と用途、この順番で確認すればいいんですね。

はい、その三段階が基本です。
次はよくある質問を見ていきましょう。

よくある質問

Q車庫の上限は母屋の延べ面積が600平方メートルを超えていれば600平方メートルになりますか?
Aはい。母屋(車庫を除く建築物)の延べ面積の合計が600平方メートルを超える場合は、車庫の上限は600平方メートルです。母屋がそれ以下の場合は、母屋の延べ面積と同じ値まで下がります。
Q車庫を平屋で建てれば、大きさの上限は関係ありませんか?
Aいいえ。階数にかかわらず、車庫の床面積の合計が母屋の延べ面積(上限600平方メートル)を超えていないかという面積の基準は別に適用されます。
Q車庫を半地下にして二階部分を避ければ問題ありませんか?
A禁止されているのは二階以上の部分に車庫を設けることです。一階または地階に車庫を収める計画であれば、この規定には抵触しません。
Q数羽程度の家禽を飼う小さな小屋も畜舎として規制されますか?
A規模にかかわらず用途が畜舎であれば対象です。ただし床面積の合計が15平方メートル以下であれば、この規定による建築禁止には当たりません。

まとめ

第一種低層住居専用地域では、建築基準法第48条第1項により別表第二(い)項に掲げる建築物以外は原則建てられません。
別表第二(い)項第十号は、住宅などに附属する建築物を原則として認めていますが、施行令第百三十条の五が定める類型は例外的に禁止されます
自動車車庫は、床面積の合計が母屋の延べ面積(上限600平方メートル)を超えると建てられません
国土交通大臣が公告した区域では、車庫の上限について別の算定式が適用される場合があります。
自動車車庫は、施行令第百三十条の五第三号により二階以上の部分に設けることが一律に禁止されています
畜舎は床面積の合計が15平方メートルを超えると建てられません
施行令は別表第二(と)項第四号に掲げる危険物の貯蔵に供する建築物も附属建築物として認めていません。

相談してくれた方には車庫の面積と階数の条件を確認するよう伝えてみます!

特定行政庁への相談も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第48条第1項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法別表第二(い)項第十号(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第百三十条の五(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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