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給水管や排水管の耐震措置と保温措置はどんな基準で確認するのか|振れ止めから凍結防止まで解説

配管の保温材を点検する女性検査員のアイキャッチ画像

給水管や排水管は目に見える腐食や漏水だけでなく、地震や温度変化への備えも定期検査で確認されます。
建築基準法施行令第129条の2の4と平成12年建設省告示第1388号第4は、配管そのものの耐震構造から取付け金物、継手、保温措置まで細かく規定しています。
これらは見落とされやすい項目ですが、地震時の破損や凍結による断水を防ぐために欠かせない基準です。
今回は東京都建築設備定期検査報告実務マニュアルの判定事例をもとに、配管の耐震措置と保温措置に絞って5つのチェックポイントを解説します。

配管の耐震対策なんて、正直あまり意識したことがありませんでした。

配管そのものにも取付け金物にも継手にも、それぞれ個別の耐震基準があります。
今回は保温措置まであわせて確認します。

保温って凍結を防ぐだけかと思っていました。

実は火傷や結露の防止も求められています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 配管そのものは風圧・土圧・水圧・地震の震動や衝撃に対して安全な構造でなければなりません。
  • 配管を支持し固定する金物には、つり金物や防振ゴムなど地震の揺れを緩和する措置が必要です
  • 配管が構造部を貫通する部分には配管スリーブなど損傷防止の措置を講じます。
  • 管の伸縮や変形に備えて伸縮継手や可とう継手を設ける場合があります。
  • 保温措置は凍結だけでなく火傷や結露の防止まで求められます

給水管や排水管の耐震措置と保温措置の5つのチェックポイントを示す図解

配管そのものの耐震構造はどこまで求められるのか

給水管が地震の揺れに耐える構造で固定されているか確認する女性検査員
検査ではまず、配管が地震や外力にどこまで耐えられる構造かを確認します。
これは建築物本体の耐震性能とは別に、配管設備そのものに求められる基準です。
検査項目 配管の取付けの状況について、配管の振動、衝撃への備え及び配管の耐震措置は、どのような基準で確認するか。
判定基準 平成12年建設省告示第1388号第4第一号の規定に適合しないこと、すなわち風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全上支障のない構造になっていないことが要是正の判断基準となる。(検査方法:目視により確認する。)
配管は建物とは別に、それ自体が地震に耐える構造でなければなりません。
平成12年建設省告示第1388号第4第一号は、給水管や排水管について風圧・土圧・水圧に加えて地震その他の震動及び衝撃に対して安全上支障のない構造とするよう定めています。
検査では配管の変形やたわみ、配管架台の腐食・損傷、取付けボルトの緩みなどを目視で確認し、地震時の振れ対策として振れ止めや耐震ストッパーが有効に設置されているかも見ます。
これらが不十分だと、地震の揺れで配管が破断し、断水や漏水につながるおそれがあります。

うちの建物、配管がどう固定されているかなんて見たことがありません。

天井裏や機械室で配管の吊り金具にぐらつきや緩みがないか、ぜひ確認してみてください。

配管を支持する金物にはどんな役割があるのか

配管のつり金物や防振ゴムの状態を確認する男性検査員
配管そのものだけでなく、配管を支える金物にも個別の基準があります。
地震の揺れをどう受け止めるかは、この支持金物の作り方で大きく変わります。
検査項目 配管を支持し、又は固定する場合の措置について、どのような基準で確認するか。
判定基準 平成12年建設省告示第1388号第4第四号の規定に適合しないこと、すなわちつり金物又は防振ゴムを用いる等有効な地震その他の震動及び衝撃の緩和のための措置が講じられていないことが要是正の判断基準となる。(検査方法:目視により確認する。)
配管を固定する金物自体にも、地震の揺れを緩和する仕組みが必要です。
告示第1388号第4第四号は、配管を支持・固定する際につり金物や防振ゴムなどを用いて、地震その他の震動及び衝撃を緩和する措置を講ずるよう求めています。
検査では配管架台のコンクリート基礎に大きな亀裂や浮き上がりがないか、取付けボルトに緩み・変形・脱落・著しい腐食がないかを確認します。
金物が劣化したまま放置すると、地震の揺れで配管が架台ごと外れてしまう危険があります。

つり金具にサビが浮いているのを見たことがある気がします。

著しい腐食は要是正の対象です。
早めの交換をおすすめします。

配管が構造部を貫通する部分はなぜ配管スリーブが必要なのか

配管が構造部を貫通する部分の配管スリーブを確認する女性検査員
配管が床や壁など建物の構造部分を貫通する場所は、地震で壊れやすい弱点になります。
ここには配管スリーブという保護管を設けることが基準になっています。
検査項目 配管が貫通する箇所の損傷防止措置の状況について、どのような基準で確認するか。
判定基準 平成12年建設省告示第1388号第4第二号の規定に適合しないこと、すなわち建築物の部分を貫通して配管する場合に、配管スリーブを設ける等有効な管の損傷防止のための措置が講じられていないことが要是正の判断基準となる。(検査方法:目視により確認する。)
貫通部分は配管と構造体が直接ぶつからないようにする工夫が欠かせません。
告示第1388号第4第二号は、建築物の部分を貫通して配管する場合に配管スリーブを設けるなど有効な損傷防止措置を求めています。
スリーブがあれば、地震で建物がわずかに変形しても配管が直接構造体に接触せず、破損を防げます。
これは防火区画を貫通する部分の耐火措置(施行令第129条の2の4第1項第七号)とは別の基準で、検査ではスリーブの有無と損傷防止措置の状態を目視で確認します。

貫通する部分に何か特別な措置が必要だとは知りませんでした。

配管スリーブがあるかどうかは、天井点検口から見えることが多いです。

伸縮継手や可とう継手はなぜ設けられているのか

配管の伸縮継手や可とう継手の状態を確認する女性検査員
配管は温度変化や地震で伸び縮みしたり、わずかに変形したりします。
その動きを吸収する仕組みがなければ、配管そのものが壊れてしまいます。
検査項目 継手類の取付けの状況について、どのような基準で確認するか。
判定基準 平成12年建設省告示第1388号第4第三号の規定に適合しないこと、すなわち管の伸縮その他の変形により当該管に損傷が生ずるおそれがある場合に、伸縮継手又は可とう継手を設ける等有効な損傷防止のための措置が講じられていないことが要是正の判断基準となる。(検査方法:目視により確認する。)
配管の動きを逃がす継手がなければ、伸縮そのものが破損の原因になります。
告示第1388号第4第三号は、管の伸縮その他の変形により損傷が生じるおそれがある場合に伸縮継手可とう継手を設けるよう求めています。
伸縮継手は主に温度変化による配管の伸び縮みを、可とう継手は主に地震や振動による変位を吸収する役割を持ちます。
検査では継手の緩みや脱落、変形、損傷がないかを確認し、継手が必要な位置に設けられているかもあわせて見ます。

伸縮継手と可とう継手は同じものだと思っていました。

伸縮継手は温度変化、可とう継手は地震の揺れを主に吸収する継手です。

保温措置はなぜ凍結だけでなく火傷や結露も防ぐのか

配管の保温措置と凍結防止の状態を確認する女性検査員
保温措置というと凍結対策のイメージが強いかもしれません。
ですが検査では火傷や結露の防止まで含めて確認します。
検査項目 保温措置の状況について、どのような基準で確認するか。
判定基準 建築基準法施行令第129条の2の4第2項第四号の規定に適合しないこと、すなわち給水管の凍結による破壊のおそれのある部分に、有効な防凍のための措置が講じられていないことが要是正の判断基準となる。(検査方法:目視により確認する。)
保温措置は凍結・火傷・結露という3つの視点で確認します。
施行令第129条の2の4第2項第四号は、給水管の凍結による破壊のおそれのある部分に有効な防凍のための措置を講ずるよう定めています。
あわせて、高温になる配管に人が触れてしまう火傷のおそれのある部分や、表面温度差で水滴が生じる結露障害のおそれのある部分も、保温・断熱の状況として確認します。
保温材が劣化し脱落していると、これら3つのどれについても効果が失われてしまいます。

保温材が古くなって剥がれているのを見たことがあります。

凍結・火傷・結露のどれにも関わりますので、早めの補修をおすすめします。

よくある質問

Q配管の耐震基準は建物の耐震基準と同じものですか?
Aいいえ、異なります。建物本体の耐震性能とは別に、配管そのものが地震その他の震動及び衝撃に対して安全上支障のない構造であることが平成12年建設省告示第1388号第4で個別に定められています。
Q配管スリーブと防火区画の貫通措置は同じものですか?
A別の基準です。配管スリーブは地震などによる構造的な損傷の防止を目的とした告示第1388号第4第二号の基準で、防火区画等を貫通する部分の耐火性能を確保する施行令第129条の2の4第1項第七号の基準とは目的も条文も異なります。
Q伸縮継手と可とう継手はどちらか一方があれば足りますか?
A配管の状況によります。伸縮継手は主に温度変化による伸び縮みを、可とう継手は主に地震や振動による変位を吸収するため、必要に応じて使い分けたり併用したりします。いずれも設けられていない場合は要是正の対象になります。
Q保温材が劣化していても水漏れしていなければ問題ありませんか?
A問題があります。保温材が劣化・脱落すると、凍結による破裂だけでなく火傷や結露障害を防げなくなるため、水漏れの有無にかかわらず要是正の判断対象になります。

まとめ

配管そのものは風圧・土圧・水圧・地震の震動や衝撃に対して安全な構造でなければなりません。
配管を支持する金物にはつり金物や防振ゴムなど震動を緩和する措置が求められます
構造部を貫通する部分には配管スリーブなどの損傷防止措置を確認します。
これは防火区画の貫通措置とは別の基準であることに注意が必要です。
伸縮継手や可とう継手は配管の伸縮・変形による損傷を防ぐために設けられます
保温措置は凍結・火傷・結露という3つの視点で確認します。
これらは平成12年建設省告示第1388号第4と建築基準法施行令第129条の2の4に基づく基準です。

配管そのものにも、こんなに細かい基準があったんですね。
次の点検のときにしっかり確認します!

配管の耐震措置や保温措置は見落とされがちなポイントです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項
  • 建築基準法施行令第129条の2の4第1項第一号・第二号・第七号、第2項第四号
  • 平成12年建設省告示第1388号「建築設備の構造耐力上安全な構造方法を定める件」第一、第四

※本記事は公表されている法令および東京都建築設備定期検査報告実務マニュアルの判定事例に基づく一般的な解説です。条例や運用は特定行政庁ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または建築設備等検査員にご確認ください。

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