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特定防災街区整備地区の建物はなぜ耐火建築物等にしなければならないのか|建築基準法第六十七条の規制を解説

密集した木造家屋の街並みと頑丈なコンクリート造の建物が並ぶ通りの写真

防火地域や準防火地域は、建物の構造に一定の基準を課す都市計画の指定です。
けれども、古い木造住宅が密集する市街地では、その指定だけでは十分な備えにならないことがあります。
そこにはさらに重ねて、建物そのものの構造にまで踏み込んだ規制がかかる区域があります。
この上乗せの指定がどんな区域に、どんな基準で及ぶのかを解説します

うちの土地は防火地域の指定を受けていると聞いています。
それさえ守っておけば大丈夫ですよね。

それだけでは終わらない場合があります。
密集した市街地には、さらに重ねて指定される区域があります。

防火地域の上に、まだ何かあるということですか。

はい、「特定防災街区整備地区」という指定です。
まず制度の中身から確認しましょう。

この記事の結論
  • 密集市街地の一部には、防火地域・準防火地域の指定に重ねて「特定防災街区整備地区」が指定されることがあります(建築基準法第六十七条)。
  • 区域内の建物は原則として耐火建築物等または準耐火建築物等にしなければなりません。
  • 都市計画では敷地面積の最低限度や壁面の位置の制限が定められることもあります。
  • 敷地の一部だけが区域にかかっていても、原則として建物全体に規制が及びます
  • 防災都市計画施設に面する敷地では、間口率や高さの最低限度という上乗せの基準が課される場合があります。

防火地域や準防火地域の中にさらに特定防災街区整備地区が重ねて指定され建物が耐火建築物等にする義務を負うことを示す図解

防火地域や準防火地域の指定だけでなぜ終わらない区域があるのか

密集した木造家屋の街並みと防火地域の指定範囲の中にさらに小さく重なる指定区域を示す地図のイラスト
防火地域や準防火地域は、屋根や外壁の構造に一定の基準を課す都市計画の指定です。
ただし古い木造住宅が密集した市街地では、この指定だけでは災害への備えとして十分でないことがあります。
密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第三十一条第二項 特定防災街区整備地区は、防火地域又は準防火地域が定められている土地の区域のうち、防災都市計画施設(略)と一体となって特定防災機能を確保するための防災街区として整備すべき区域その他当該密集市街地における特定防災機能の効果的な確保に貢献する防災街区として整備すべき区域に定めるものとする。
特定防災街区整備地区は、防火地域や準防火地域の指定を土台にして、その上にさらに重ねて指定される区域です
指定の対象になるのは、老朽化した木造住宅が密集し、道路や公園などの防災に役立つ施設と一体で整備すべきと判断された区域に限られます。
すべての防火地域・準防火地域に一律にかかるわけではなく、密集市街地整備法に基づく個別の都市計画決定が前提になります。
この指定を受けた区域では、通常の防火地域よりも踏み込んだ基準が建物そのものに課されます。
次は、この区域がどのような要件で指定されるのかを確認しましょう。

防火地域の指定と、この新しい指定はどう違うのですか。

防火地域は面の指定、こちらは建物の構造そのものまで踏み込む指定です。
次は指定される区域の要件を見ていきましょう。

特定防災街区整備地区はどんな区域に重ねて指定されるのか

防災都市計画施設に面して整然と並ぶ街区と背後の入り組んだ路地の建物群を対比したイラスト
特定防災街区整備地区は、単に古い建物が多いというだけでは指定されません。
道路や公園などの防災に役立つ施設と一体で整備することが前提になります。
密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第三十一条第三項 特定防災街区整備地区に関する都市計画には、(略)次に掲げる事項を定めるものとする。
一 建築物の敷地面積の最低限度
二 特定防災機能の確保又は土地の合理的かつ健全な利用を図るため必要な場合にあっては、壁面の位置の制限
三 (略)建築物の防災都市計画施設に係る間口率(略)の最低限度及び建築物の高さの最低限度
指定の前提となるのは、防火地域または準防火地域が既に定められている区域であることです。
そのうえで、区域内の道路や公園などの防災都市計画施設と一体になって、密集市街地の防災機能を確保できると判断された場所に限って指定されます。
都市計画にはこのほか、敷地面積の最低限度や壁面の位置の制限、防災都市計画施設に面する建物の高さの最低限度などを定めることができます
これらは指定した都市計画ごとに内容が異なり、必ずしもすべての項目が定められているとは限りません。
次は、この指定を受けた区域の建物に、具体的にどんな基準がかかるのかを確認しましょう。

うちの周りは古い家が多いのですが、それだけで指定されるのですか。

いいえ、古さだけでは指定されません。
防災に役立つ道路や公園と一体で整備する区域だけが対象です。

区域内の建物はどんな基準を満たさなければならないのか

鉄筋コンクリート造の耐火建築物に許可マーク木造家屋に禁止マークが付いたイラスト
特定防災街区整備地区に指定されると、建物の構造そのものに基準がかかります。
まず最も基本になる、建物の構造に関する義務を確認します。
建築基準法第六十七条第一項 特定防災街区整備地区内にある建築物は、耐火建築物等又は準耐火建築物等としなければならない。(ただし書・各号略)
区域内の建物は原則として、耐火建築物等または準耐火建築物等のどちらかで建てなければなりません
例外として認められるのは、延べ面積が50平方メートル以内で外壁と軒裏を防火構造にした平家建ての附属建築物や、高さ2メートル以下の門または塀など、火災の拡大に与える影響が小さいものに限られます。
この基準は防火地域・準防火地域そのものの構造基準よりも重く、木造の普通住宅をそのまま建て替えることは基本的にできません。
都市計画では、これに加えて敷地面積の最低限度や壁面の位置の制限が定められることもあります。
次は、この基準が実務でどこに引っかかりやすいかを見ていきましょう。

普通の木造住宅は、この区域では建て替えられないということですか。

例外にあたる小さな附属建物や塀を除けば、建て替えできません
次は見落としやすい落とし穴を確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

区域境界線をまたいで建つ一棟の建物と隣接する街区のイラスト
敷地が区域の境界にかかっている場合や、防災都市計画施設に面している場合は注意が必要です。
見落としやすい2つの落とし穴を確認します。
建築基準法第六十七条第二項 建築物が特定防災街区整備地区と特定防災街区整備地区として指定されていない区域にわたる場合においては、その全部について、前項の規定を適用する。(ただし書略)
敷地の一部だけが区域にかかっていても、建物全体に耐火建築物等の基準が及びます
ただし建物が区域外において防火壁で区画されている場合は、その防火壁より外側の部分は対象から外れます。
もうひとつの落とし穴は、防災都市計画施設に面する敷地です。
都市計画で間口率や高さの最低限度が定められた区域では、その施設に面する部分の建物にさらに上乗せの基準がかかり、最低限度に届かない部分は空隙のない壁など防火上有効な構造にしなければなりません。
次は、これらを踏まえて明日から何を確認すればよいのかを整理しましょう。

敷地のごく一部だけが区域にかかっている場合でも、建物全部が対象になるのですね。

はい、原則は建物全部です。
次は確認の手順を整理しましょう。

明日からなにを確認すればよいのか

都市計画課の窓口で担当者と住民が地図を確認しているイラスト
建て替えや購入の計画があるときは、早い段階での確認が欠かせません。
確認すべき点を整理します。
  • 計画地が特定防災街区整備地区に指定されているかを都市計画課の都市計画図で確認する
  • 指定されている場合、耐火建築物等または準耐火建築物等のどちらの基準が求められるかを設計士に確認する
  • 敷地面積の最低限度や壁面の位置の制限が定められていないかをあわせて確認する
  • 敷地が防災都市計画施設に面している場合は、間口率や高さの最低限度の指定がないかを確認する
まず自分の敷地が指定区域に入っているかどうかを都市計画図で確認することが出発点です
指定されていれば、耐火建築物等の基準に加えて、敷地面積や壁面位置、間口率・高さの最低限度まで複数の基準が重なっている可能性があります。
建て替えの計画段階で見落とすと、設計のやり直しにつながりかねません。
迷ったときは特定行政庁の建築指導課に相談すると確実です。
次はよくある質問を見ていきましょう。

まずは都市計画図で指定の有無を確認します!

迷ったときは建築指導課への相談が確実です。
次はよくある質問を見ていきましょう。

よくある質問

Q特定防災街区整備地区は防火地域とは別に指定されるのですか?
A別ではありません。防火地域または準防火地域が既に定められている区域の中に、さらに重ねて指定されます。
Q区域内では木造の住宅を建てることはできませんか?
A延べ面積50平方メートル以内の平家建て附属建築物など一部の例外を除き、原則として耐火建築物等または準耐火建築物等にする必要があります。
Q敷地の一部だけが区域にかかる場合はどうなりますか?
A建築基準法第六十七条第二項により、原則として建物全体に規制が及びます。防火壁で区画されている部分は除かれます。
Q自分の敷地が指定区域かどうかはどこで確認できますか?
A市区町村の都市計画課が公開している都市計画図で確認できます。

まとめ

密集市街地の一部には、防火地域・準防火地域の指定に重ねて「特定防災街区整備地区」が指定されることがあります。
この指定は密集市街地整備法に基づく都市計画決定が前提で、すべての防火地域・準防火地域にかかるわけではありません
区域内の建物は原則として「耐火建築物等」または準耐火建築物等にしなければなりません。
例外にあたるのは延べ面積50平方メートル以内の平家建て附属建築物や高さ2メートル以下の門・塀など、火災の拡大への影響が小さいものに限られます。
都市計画では敷地面積の最低限度や壁面の位置の制限、防災都市計画施設に面する建物の間口率・高さの最低限度が定められることもあります
敷地が区域の内外にまたがる場合、防火壁で区画されていない限り建物全体に規制が及びます。
自分の敷地が指定区域かどうかは、都市計画課の都市計画図で確認することが実務の出発点です。

この地域で建て替えするときは、まず指定の有無を確認します!

耐火建築物等への建て替えも含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第六十七条第一項・第二項(e-Gov法令検索)
  • 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第三十一条第二項・第三項(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断や規定の適用範囲は個別の土地の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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