連結散水設備というと、屋内消火栓やスプリンクラー設備と同じ配管基準で作られていると思われがちです。
ところが消防法施行規則第三十条の三第一項第三号を読むと、配管の材質や口径の決め方のほとんどがこの設備だけの独自ルールで書かれています。
借りているのはたった2つ、専用とすることと金属管の規格だけです。
この記事では独自ルールと借りているルールの境目を条文から整理します。
連結散水設備の配管も、屋内消火栓と同じ基準で作られているのでしょうか。
いいえ、ほとんど違います。
連結散水設備には加圧送水装置が無いので、配管の条件も別に定められているんです。
ポンプが無い消防用設備なんてあるんですね。
はい、送水口から消防車の水を受けるだけの設備なんです。
今日はどこが独自でどこが借り物か、順番に見ていきましょう。
- 連結散水設備の配管基準は消防法施行規則第三十条の三第一項第三号イからトまでに独自に定められている
- 借りているのは第十二条第一項第六号のうちイ(専用)とニ(イ)(金属管の規格)の2項目だけ
- 管の口径は水力計算ではなく散水ヘッドの取付け個数に応じた表で決める
- 配管内の水を有効に排水できる措置を講ずることが義務付けられている
- 逆止弁の設置に加え、管継手やバルブ類の材質は独自の日本産業規格で指定される
▼

目次
連結散水設備の配管はなぜ独自の基準を持つのか

屋内消火栓やスプリンクラー設備のようにポンプが常設された設備とは、配管に求められる条件がそもそも違います。
借りているのは第十二条第一項第六号のうちイ(専用とすること)とニ(イ)(金属管の規格)の2つだけです。
理由は、連結散水設備には屋内消火栓やスプリンクラー設備が備える加圧送水装置が無いことにあります。
送水口から消防車が水を送り込むまでは、配管の中は空のままです。
まずはこの「ポンプが無い」という構造が、条文のどこに現れているかを見ていきます。
ポンプが無い設備があるとは知りませんでした。
送水口だけの設備は意外と多いんです。
次はどの2項目を借りているのか、具体的に見ていきましょう。
借りているのはどの2つの規定なのか

それ以外のロ・ハ・ヘ・チ・リはすべて借りていません。
借りていないのはロ(逆止弁及び止水弁)・ハ(吸水管)・ヘ(立上り管の口径)・チ(水力計算)・リ(耐圧力)の5項目で、これらはすべて加圧送水装置を前提にした規定です。
連結散水設備にはポンプの吐出側も吸水管も立上り管も存在しないため、そもそも借りようがありません。
一方で専用の配管であることと金属管の材質規格は、ポンプの有無にかかわらず配管そのものに共通して求められる条件なので、この2つだけが引き継がれています。
残りの独自ルールを、次に見ていきます。
ポンプ関連の規定だけ丸ごと外れているんですね。
ポンプが無いので当然といえば当然です。
次は独自に定められた管の口径の決め方を見てみましょう。
独自に定める管径表とはどんな基準か

散水ヘッドの取付け個数に応じた表で、そのまま口径が決まります。
送水区域内の散水ヘッドが1個なら32ミリメートル、6個以上10個以下なら80ミリメートルというように、個数が増えるほど太い管が必要になる仕組みです。
屋内消火栓が水力計算という複雑な手順を要求するのに対し、連結散水設備は表を引くだけで済むように簡略化されています。
これも配管の中に常時水が流れていない、消防車の送水だけに対応する設備だからこそ成立する簡便な規定です。
ただし表どおりの口径が守られていないと、いざという時に必要な水量が届かないおそれがあります。
表を見るだけで済むなら図面でもすぐ確認できますね。
はい、送水区域ごとのヘッド数と管径を照らし合わせれば確認できます。
次は見落としやすい排水と逆止弁の規定を見ていきましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

どちらも消防車から一時的に送水されるという特徴から来ています。
逆止弁は消防車が送り込んだ水が送水口側へ逆流するのを防ぐために設けられ、排水措置は消火活動が終わったあとに配管内の水を有効に抜くために求められます。
常時通水している屋内消火栓の配管とは違い、連結散水設備の配管はふだん空の状態にあるため、水が残ったままだと凍結や腐食の原因になります。
管継手やバルブ類の材質も第十二条第一項第六号ホを借りず、日本産業規格G五一〇一またはG五七〇五(黒心可鍛鋳鉄品)という独自の規格を単独で定めています。
点検の際は、この排水措置が実際に機能する状態にあるかを必ず確認してください。
排水できないまま放置されている配管もありそうです。
実際に詰まっているケースは珍しくありません。
最後に立入検査での確認の進め方を整理しましょう。
立入検査で配管はどこを確認すればよいのか

最後に確認の進め方を整理します。
竣工図書で送水区域を区切り、それぞれの区域に接続された散水ヘッドの個数と配管の呼び径が対応しているかを照合してください。
次に管継手やバルブ類が日本産業規格G五一〇一等に適合するものかを確認し、鋼管であれば亜鉛メッキ等の防食処理が施されているかを見ます。
逆止弁が設けられているか、排水措置が実際に機能するかは、現地でバルブを操作して確認する価値があります。
これらは設計段階だけでなく、改修工事や経年劣化の点検でも毎回引き継いで確認してください。
まずは送水区域とヘッド数の照合から始めてみます。
排水措置が実際に機能するかも、あわせて確認するとよいですよ。
よくある質問
まとめ
連結散水設備の配管が独自ルールだらけだとよくわかりました。
送水区域とヘッド数の照合から始めてみます。
その配管基準の確認から、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第30条の3
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





