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腐食状況の判定基準は建築設備の定期検査でどう使われるのか|取付けから接続の状況まで4つの表を解説

腐食状況の判定基準を解説する記事のアイキャッチ画像

換気設備・排煙設備・非常用照明装置・給排水設備の検査結果表を見ていると、判定基準の欄に「著しい腐食、損傷等があること」という言い回しが繰り返し出てきます。
配管の表面が少しさびているだけなのか、それとも取り替えが必要なほど進んでいるのか、その線引きに迷う検査員は少なくありません。
告示の条文自体は「著しい」がどの程度かを数字で示してはいませんが、検査の実務では取付け・設置・劣化損傷・接続という4つの場面ごとに判断のよりどころが積み重ねられてきました。
この記事では、腐食状況の判定基準が実際の検査でどう使われているのかを4つの場面に分けて解説します。

検査結果表に「著しい腐食」ってよく出てきますけど、どこまでがアウトなのかいまいち分かりません。
さびてたら全部だめなんですか?

いいえ、表面のさびだけなら経過観察でよい場合がほとんどです。
ただ、場面によって見る場所が変わります
取付け・設置・劣化損傷・接続の4つに分けて考えると分かりやすいですよ。

うちのビルも排煙風道の防火ダンパーに赤さびが出てるって前回指摘されました。
あれって何を基準に判断されたんでしょうか。

金属表面がボロボロになっているかどうかが目安の一つです。
この記事を読めば、指摘の根拠がどこにあるのか具体的に分かります。

この記事の結論
  • 建築基準法第12条第3項は、検査に「損傷、腐食その他の劣化の状況の点検」を含めることを明記している
  • 告示の判定基準は「著しい腐食」という言葉で示され、具体的な数値は条文自体には書かれていない
  • 実務では取付け・設置・劣化損傷・接続という4つの場面ごとに判断のよりどころが積み重ねられている
  • アンカーボルトや架台の腐食は「初期寸法の10パーセント」が実務上の目安の一つになる
  • 接地線のように電気的な影響が出る接続部分は、腐食の程度だけでなく機能への影響まで見て判定する

腐食状況の判定基準を4つの場面に分けた図解

建築基準法はなぜ検査に腐食の点検を含めているのか

建築設備の腐食を点検する検査員
腐食は目に見えにくい速さで進み、放っておくと設備の機能そのものを失わせます。
だからこそ法律の条文自体が、点検の中身として腐食を名指ししています。
(建築基準法第12条第3項)特定建築設備等…の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
腐食の点検は検査の付け足しではなく、条文が名指しした検査の中身そのものです。
換気設備・排煙設備・非常用照明装置・給排水設備の検査結果表には、判定基準の欄に「著しい腐食」という言葉が何十箇所も出てきます。
ただし「著しい」がどの程度かは、平成20年国土交通省告示第285号の条文自体には数値で書かれていません。
そこで検査の実務では、取付け・設置・劣化及び損傷・接続という4つの場面に分けて判断のよりどころが積み重ねられてきました。
ここから先は、この4つの場面を順番に見ていきます。

法律に「腐食」って言葉が入ってるの、初めて知りました。
てっきり検査員さんの経験則だけで決めてるのかと思ってました。

経験則だけに見えて、実は条文にちゃんと根拠があるんです。
次から具体的な場面ごとに見ていきましょう。

取付けの状況で著しい腐食とはどんな状態を指すのか

外気取入口のガラリが腐食で緩んでいる状態
外気取入口のガラリや排気筒のように、外部にさらされる部分ほど雨風の影響を受けやすい場所です。
判定基準の文言そのものを見ると、着目点が見えてきます。
(検査結果表の判定基準の例)取付けが堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があること。
取付けの状況で見るのは「固定の緩み」と「腐食による欠損」の2点です。
外気取入口のガラリや給気口が腐食で緩んでいる場合や、腐食の進行で穴が開き雨水の浸入が認められる場合は、実務上「要是正」の目安とされています。
排気筒や煙突が腐食で穴が開き、廃ガス等が漏れている状態も同じ考え方です。
防火ダンパーの吊り金物が腐食で支持金物として機能しなくなっているときも、取付けの視点で確認します。
表面の変色だけであれば経過観察で足りますが、緩み・穴あき・支持機能の喪失のいずれかが出ていれば要是正の候補として記録に残します。

うちのガラリ、色は変わってますけどガタつきはないんです。
それでも指摘されるんでしょうか。

色の変化だけなら経過観察で問題ありません。
次の検査までに緩みや穴あきが出ていないか、写真で記録しておくと安心です。

設置の状況ではどんな数値が判断のよりどころになるのか

アンカーボルトの腐食をノギスで測定する検査員
据付け型の機器は、まず土台そのものが健全かどうかが出発点になります。
排煙機や給気送風機、排水ポンプなど重い機器ほど、この視点が重要です。
(検査結果表の判定基準の例)機器に損傷があること、取付けが堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があること。
設置の状況の判定基準には、他の場面より具体的な数値の目安が用意されています。
実務では、アンカーボルトの錆による腐食がボルト径のおおむね10パーセント以上進行している場合は要是正の目安とされています。
架台や金物についても、錆による腐食が初期の板厚のおおむね10パーセント以上進行している場合が同じ目安です。
数値だけを覚えるのではなく、元の寸法と今の寸法を比べるという考え方を押さえておくと、現場でとっさに判断しやすくなります。
判断に迷うときは、ノギスや鋼製巻尺で実際に測り、記録を残すのが確実です。

10パーセントって、目分量で判断していいものなんですか?

際どいときは目分量に頼らず、実際にノギスで測るのが確実です。
測定値を記録しておけば、次回の検査との比較にも使えますよ。

劣化及び損傷の状況ではどこまでが要是正なのか

風道の腐食で穴が開き空気が漏れている状態
配管や風道そのものの金属表面が、腐食でどこまで弱っているかを見る場面です。
取付けや設置とは違い、材料そのものの健全性が焦点になります。
(検査結果表の判定基準の例)空気調和機器又は配管に変形、破損又は著しい腐食があること。
ここで確認する著しい腐食は「金属表面がボロボロになっている状態」がひとつの目安です。
配管や支持金物の金属表面が腐食でボロボロになっている場合、防火ダンパー本体やダンパーの金属表面がボロボロになっている場合は、実務上「要是正」とされています。
風道(ダクト)に腐食で穴が開き、空気の漏れが認められる場合も同じ考え方です。
排煙風道であれば煙が正しく排出されず、給気風道であれば必要な風量が確保できなくなるため、機能面への影響を併せて見ることが欠かせません。
表面の錆と穴あきでは深刻さが違うので、写真を撮るときも「面」と「穴」の両方が分かるように記録します。

ボロボロっていう表現、意外とふわっとしてますね。
もう少しはっきりした基準はないんですか。

指で触れて崩れる、穴が開いている、というのが分かりやすい目安です。
迷ったら「機能に影響が出ているか」で考えると判断しやすくなります。

接続の状況でなぜ接地線の腐食まで確認するのか

分電盤の接地線の接続部を点検する検査員
接続の状況は、排煙設備の自家用発電装置や非常用照明装置の電気配線に出てくる視点です。
配管や風道と違い、電気が正しく流れるかどうかまで関わってきます。
(検査結果表の判定基準の例)接続端子部に緩み又は著しい腐食があること。
接続の状況では、腐食そのものより先に電気的な影響が出ていないかを確認します。
接地線の金属表面が腐食でボロボロになっているなど、電気的な影響が発生している場合は要是正の目安です。
接地線は非常時の感電を防ぎ、機器を正常に作動させるための経路なので、外観の腐食が軽く見えても機能への影響は別に確認する必要があります。
端子部の緩みは腐食が進む前から起きることがあるため、腐食の有無だけでなく緩みそのものも同時に見ておくと見落としが減ります。
自家用発電装置や蓄電池設備の点検と合わせて確認すると、効率よく回れます。

接地線まで腐食を見るなんて考えたことなかったです。
電気の話だから別枠だと思ってました。

配管も電気配線も、根っこにある考え方は同じなんです。
「腐食が機能に影響しているか」という物差しで見ると全部つながりますよ。

よくある質問

Q表面が茶色く変色しているだけなら、写真を撮らなくてもよいですか?
A変色だけで緩み・穴あき・ボロボロ状態のいずれも無ければ、その回は指摘なしと判定して構いません。ただし進行を追えるように、同じ角度で撮影した写真を残しておくと次回の判定がしやすくなります。
Qアンカーボルトの腐食が10パーセントかどうか、現場でどう測ればよいですか?
A腐食していない部分の径をノギスで測って基準とし、腐食が進んだ部分の径と比較します。設計図書に記載された呼び径が分かる場合は、それと比較する方法でも構いません。
Q腐食の判定基準は建築基準法の条文そのものに数値で書かれているのですか?
A条文や告示に書かれているのは「著しい腐食」という言葉までで、パーセントなどの具体的な数値は書かれていません。本記事で紹介した数値は、検査を運用するうえでの実務上の目安です。
Q腐食を「既存不適格」として扱うことはできますか?
Aできません。既存不適格は設置当時の法令に適合していた状態を指す考え方で、経年で進んだ腐食とは性質が異なります。腐食による要是正は、既存不適格の項目とは分けて記入します。

まとめ

建築基準法第12条第3項は、検査に腐食その他の劣化の状況の点検を含めることを明記している
告示の判定基準の言葉は「著しい腐食」までで、具体的な数値は書かれていない
取付けの状況では緩みと腐食による欠損の2点を見る
アンカーボルトや架台の腐食は初期寸法の10パーセントが実務上の目安になる
劣化及び損傷の状況では金属表面がボロボロか、風道に穴が開いていないかを見る
接続の状況では腐食の程度だけでなく電気的な影響が出ていないかまで確認する
数値の目安はあくまで実務上の判断材料であり、法令が直接定める基準ではない

腐食の判定基準、思っていたよりちゃんと積み重ねがあるんですね。
次の検査ではこの4つの視点を意識してみます!

迷ったときは写真と数値で記録を残しておくのが一番です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項
  • 建築基準法施行規則第6条
  • 平成20年国土交通省告示第285号(建築設備の定期検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準を定める件)第一・第二・別表第一〜第四

※本記事は建築基準法・同施行規則及び関連告示に基づく一般的な解説です。本文中の数値(アンカーボルト径や板厚に対する腐食の割合など)は検査を運用するうえでの実務上の目安であり、法令が直接定める基準ではありません。実際の判定は建物の構造や設備の仕様により異なる場合があります。個別の判断は建築設備等検査員又は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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