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工事用シートの防炎ラベルはなぜ偽造されたのか|偽物を見分ける4つの特徴と相談窓口を解説

工事用シートの防炎ラベルはなぜ偽造されたのかのアイキャッチ画像

建物を覆う工事用シートに、本物そっくりの防炎ラベルが貼られていました。
このラベルを交付した公益財団法人日本防炎協会に確認したところ、消防庁長官の登録を受けていない事業者が作った偽造品だとわかりました。
令和5年に2回にわたり消防庁から事務連絡が出され、全国の消防機関に注意喚起が行われています。
登録番号があるだけでは本物と偽物を見分けられないという、防炎表示制度の思わぬ落とし穴が明らかになりました。

工事用シートの防炎ラベルが偽物やったて聞いて、正直びっくりしました。

実は令和5年に消防庁から2回、偽造ラベルの注意喚起が出ているんです。
まずはどんな経緯で見つかったのか、一緒に確認していきましょう。

偽物やと分かった決め手は何やったんですか。

台紙の色やラベルの裏面など、見た目にはっきり違いが出ていました。
登録番号だけでは判断できない理由も含めて説明します。

この記事の結論
  • 令和5年に日本防炎協会が本物に酷似した偽造防炎ラベルを工事用シートで発見し、消防庁が2回にわたり事務連絡で注意喚起した
  • この工事用シートは消防庁長官の登録を受けた者(消防法施行規則第4条の4第1項第1号)以外が作った模造品だった
  • 偽造ラベルは台紙の色・文字色・フレームの色・裏面の粘着剤の有無で正規品と見分けられる
  • ラベルに書かれた消防庁登録者番号だけでは模造品を見分けられないため番号の有無を鵜呑みにしない
  • 類似の事案に気づいたら日本防炎協会か消防庁予防課の相談窓口へ報告することが求められている

偽造防炎ラベルの見分け方の4ステップを示す図解

工事用シートの防炎ラベルはなぜ偽造品への注意喚起の対象になったのか

工事中の建物を覆う工事用シートと防炎ラベルの報告のイメージ
工事中の建物を覆う白いシートにも、実は防炎性能が義務づけられています。
その証である防炎ラベルに、本物そっくりの偽物が紛れ込んでいました。
事務連絡(令和5年3月29日付け) 今般、公益財団法人日本防炎協会から、防炎対象物品である工事用シートについて、防炎協会が交付したラベルに酷似したラベル(以下「偽造ラベル」という。)が貼付され、販売されている製品があるとの報告がありました。この工事用シートは、消防法施行規則第4条の4第1項第1号に定める、消防庁長官の登録を受けた者以外の事業者により製造・販売された模造品です。
きっかけは防炎協会自身からの報告でした
工事用シートは消防法施行令第4条の3第3項で定められた防炎対象物品のひとつで、政令が求める防炎性能を満たしたものにしか防炎表示を付けられません。
ところがこの工事用シートには、防炎協会が交付する正規のラベルに酷似した偽造ラベルが縫い付けられた状態で流通していました。
消防庁はこの報告を受けて令和5年3月29日と6月6日の2回、都道府県の消防防災主管部局へ事務連絡を出し、各市町村への周知を求めています。
偽造品は製造者や流通経路が不明で、防炎性能を満たさない可能性がある点が最大の問題です。

こんな偽物、パッと見て分かるものなんですか。

実は台紙の色から裏面まで、いくつも違いがあるんです。
次の項目で工事用シートそのものの位置づけから確認しましょう。

偽造ラベルが見つかった工事用シートはどんな製品なのか

登録業者だけが防炎表示を付けられる制度のイメージ
防炎ラベルを正しく貼るには、誰でもよいわけではありません。
消防庁長官の登録を受けた事業者だけが表示を付けられる決まりになっています。
事務連絡(令和5年3月29日付け) この工事用シートは、消防法施行規則第4条の4第1項第1号に定める、消防庁長官の登録を受けた者以外の事業者により製造・販売された模造品です。この模造品は製造者・流通経路が不明で、防炎性能を有しない製品が含まれる可能性がある
消防法施行規則第4条の4第1項第1号 防炎表示を付する者は、消防庁長官の登録を受けた者であること
登録業者以外が作った時点でアウトです
防炎表示(防炎ラベル)を付けられるのは、消防庁長官の登録を受けた事業者だけと決められています(消防法施行規則第4条の4第1項第1号)。
今回見つかった工事用シートは、この登録を受けていない事業者が製造・販売した模造品でした。
製造者や流通経路がはっきりしないため、防炎性能そのものを満たしているかどうかも確認できません。
つまり見た目が似ているかどうかより前に、誰が作ったかの時点ですでに基準を外れていたことになります。

登録業者かどうかなんて、現場では確認しようがない気がします。

だからこそラベル自体の見た目で見分ける方法が用意されているんです。
次はその具体的な特徴を見ていきましょう。

偽造ラベルはどこを見れば見分けられるのか

正規の防炎ラベルと偽造防炎ラベルの違いを比較するイメージ
実際に見つかった偽造ラベルには、正規品とはっきり違う特徴がありました。
消防庁が公表した別紙をもとに、4つのポイントを確認します。
(別紙)工事用シートにおける偽造防炎ラベルの特徴 ①台紙の色 偽造ラベルの台紙はグレーがかった白(正規ラベルの台紙は明るい白) ②「防炎」の文字色 偽造ラベルの方が暗い赤色 ③フレームの色 偽造ラベルの方が暗い緑色 ④裏面 正規ラベルは裏面に縫付け時の仮止め用の粘着剤が塗布されている(偽造ラベルの裏面には粘着剤なし
色味と裏面の2点で見分けます
台紙の色は正規品が明るい白、偽造品はグレーがかった白と、並べて見ると分かる差があります。
「防炎」の文字色とフレームの色も、偽造品の方が暗い色調で印刷されていました。
最も分かりやすいのは裏面で、正規品には縫付け時に仮止めする粘着剤が塗られていますが、偽造品にはこれがありません。
一枚だけでは判断しづらいときは、手元にある他の防炎ラベルと並べて比べるのが確実です。

色の違いって、単体で見ないと気づけない気がします。

色だけでなく登録番号にも注意が必要なんです。
次はその落とし穴を説明します。

登録番号を確認するだけでは何が足りないのか

防炎ラベルの登録番号が使い回されていることを示すイメージ
ラベルには「消防庁登録者番号」も記載されています。
ところがこの番号だけを頼りにすると、思わぬ落とし穴があります。
事務連絡(令和5年3月29日付け) 偽造ラベルに用いられている「消防庁登録者番号」 【 F-㉗-1315 】 ※ この消防庁登録者番号のみで模造品を見分けることはできないため、詳しい見分け方については別紙を参考にされたい。
事務連絡(令和5年6月6日付け) この消防庁登録者番号は、今回の偽造防炎ラベルが貼付された工事用シートの販売事業者に対して発行された番号ではなく、この番号のみで模造品を見分けることはできないため、詳しい見分け方については別紙を参考にされたい。なお、正規に発効された当該番号については令和5年6月1日付けで既に変更されていることを申し添える。
番号があっても偽物は偽物です
偽造ラベルにも「消防庁登録者番号」がそれらしく印字されていましたが、実在する番号を無断で使い回していただけでした。
6月の事務連絡では、この番号が別の事業者にすでに新しく発行し直されていたことまで明らかになっています。
つまり番号の書式が正しく見えても、その番号の持ち主とラベルを貼った工事用シートの販売元が一致しているとは限りません。
番号の有無を確認して終わりにせず、色や裏面など複数の手がかりを組み合わせて判断する必要があります。

番号さえ書いてあれば安心やと思ってました。

番号は使い回せてしまうので、それだけでは決め手にならないんです。
最後に現場で確認すべきことをまとめます。

現場では防炎ラベルの何を確認すればよいのか

工事用シートの防炎ラベルを確認し相談窓口へ連絡するイメージ
工事用シートを選ぶとき、防炎ラベルは必ず目に入ります。
その場でできる確認と、迷ったときの相談先を整理します。
事務連絡(令和5年3月29日付け) なお、本件に類似する事案を把握した場合は、速やかに当課まで報告頂くようお願いいたします。<偽造ラベルに関する相談窓口> (公財)日本防炎協会 管理部 Tel:03-3246-1663 消防庁予防課予防係 Email:yobouka-y@ml.soumu.go.jp
まずは台紙の色と裏面の粘着剤を見ます
明るい白の台紙か、裏面に仮止め用の粘着剤があるかの2点は、その場で手に取って確認できます。
少しでも見た目に違和感があれば、その工事用シートを使わずに施工業者や販売店へ確認しましょう。
自分の建物で似たようなラベルを見つけたときは、日本防炎協会か消防庁予防課の相談窓口に連絡すれば案内してもらえます。
防炎表示は登録業者にしか付けられない制度だと知っておくだけで、次に似た模造品に出会っても慌てずに済みます。

台紙と裏面さえ見れば、その場でチェックできそうですね。

はい、それだけでも十分に効果があります。
迷ったときは一人で判断せず、窓口に相談してください。

よくある質問

Q偽造ラベルが貼られた工事用シートは、すでに施工した現場でも交換が必要ですか?
A令和5年の事務連絡では、まず使用をやめて施工業者や販売店に相談することが求められています。個別の現場での対応は所轄の消防署に確認するのが確実です。
Q防炎ラベルの登録番号は誰でも確認できますか?
A番号自体は工事用シートに表示されていますが、番号だけで真贋を判断することはできません。台紙の色や裏面の状態など複数の特徴を合わせて確認する必要があります。
Q工事用シート以外にも同じような偽造品はありますか?
A令和5年の事務連絡は工事用シートに限った注意喚起ですが、防炎対象物品にはカーテンやじゅうたんなども指定されています。防炎ラベルのない製品や表示が不自然な製品を見つけたときは、同様に消防機関へ相談することが望まれます。
Q偽造ラベルを見つけたらどこに連絡すればよいですか?
A公益財団法人日本防炎協会の相談窓口、または消防庁予防課予防係に連絡すれば案内してもらえます。所轄の消防署に相談しても取り次いでもらえます。

まとめ

令和5年に日本防炎協会から偽造防炎ラベルの報告があり、消防庁が2回にわたり事務連絡で注意喚起した
偽造品は消防庁長官の登録を受けた者以外が作った模造品で、防炎性能を満たさない可能性がある
防炎表示を付けられるのは消防法施行規則第4条の4第1項第1号が定める登録業者だけである
偽造ラベルは台紙の色・文字色・フレームの色・裏面の粘着剤で正規品と見分けられる
ラベルに書かれた登録者番号だけでは真贋を判断できない
番号は無断で使い回されたり、正規の番号自体が変更されたりすることもある
疑わしい工事用シートを見つけたら、使用をやめて日本防炎協会か消防庁予防課の窓口に相談する

台紙の色と裏面まで、ちゃんと確認するようにします!

工事用シートの防炎ラベルのご相談もお気軽にどうぞ。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 「偽造防炎ラベルが貼付された工事用シートに関する注意喚起」(令和5年3月29日付け事務連絡 消防庁予防課長)
  • 「偽造防炎ラベルが貼付された工事用シートに関する注意喚起(情報共有)」(令和5年6月6日付け事務連絡 消防庁予防課)
  • 消防法第8条の3
  • 消防法施行令第4条の3
  • 消防法施行規則第4条の4第1項第1号

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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