危険物を貯蔵したり取り扱ったりする建物は、消防法上「危険物施設」と呼ばれます。
ひとくちに危険物施設といっても、製造所・貯蔵所・取扱所という大きな3つの区分があり、さらに貯蔵所だけで7種類、取扱所だけで4種類に細かく分かれています。
なぜこれほど細かく分けられているのか、条文だけを読んでもすぐには繋がりません。
この記事では危険物の規制に関する政令第2条・第3条を手がかりに、施設の種類がどう決まるのかを整理します。
うちの敷地にあるタンクは、貯蔵所なのか取扱所なのか、いつも迷います。
政令の号立てを見れば区別できます。
今日は危険物施設の分け方を一緒に整理しましょう。
貯蔵所だけでも種類がたくさんあって、どこで区別すればいいのか分かりません。
場所とタンクの有無に注目すると整理できます。
順番に見ていきましょう。
- 危険物施設は貯蔵する場所と取り扱う場所で製造所・貯蔵所・取扱所の3つに区分される
- 貯蔵所は危険物の規制に関する政令第2条により7種類に区分される
- 取扱所は同令第3条により4区分に分かれ、販売取扱所はさらに指定数量の倍数で2つに分かれる
- 屋外貯蔵所だけは定義そのものに貯蔵できる危険物の種類が書き込まれている
- 施設の区分を誤ると許可申請の様式や技術基準が変わるため、着工前に確定させる必要がある
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目次
危険物施設はなぜ製造所と貯蔵所と取扱所に分かれるのか

消防法が定める枠組みに当てはめて、はじめて製造所・貯蔵所・取扱所のどれかに区分されます。
条文は「貯蔵」と「貯蔵以外の目的で取り扱うこと」をはっきり書き分けており、この区別が施設の名前にそのまま表れています。
危険物を製造する目的の施設が製造所、貯蔵する目的の施設が貯蔵所、それ以外の目的で取り扱う施設が取扱所です。
給油や販売、配管による移送はいずれも「貯蔵以外の取扱い」にあたるため、取扱所という同じ大分類の中に収まります。
まずはこの3つの大分類のどこに自分の施設が当てはまるかを押さえることが、種類を見分ける最初の一歩になります。
うちのタンクは製造所と取扱所、どちらに当てはまるのか分かりません。
まずは製造・貯蔵・取扱いのどれに当たるかを確認しましょう。
そこから種類が絞り込めます。
貯蔵所はなぜ7種類にも細分化されているのか

危険物の規制に関する政令は、この違いを場所とタンクの有無で7つに書き分けています。
屋内か屋外か、タンクが屋内にあるか屋外にあるか地面の下に埋まっているかで、七つのうち六つが決まります。
残る移動タンク貯蔵所は車両に固定されたタンクという「動く」貯蔵所で、他の六つとは性質が異なります。
唯一屋外貯蔵所だけはタンクを前提とせず、決められた種類の危険物を屋外の場所そのもので貯蔵する形態です。
自分の施設がどの号に当たるかは、タンクを使うかどうかと、その置き場所の2点で切り分けられます。
タンクを地面に埋めているだけで、種類が変わるんですね。
そのとおりです。
置き場所ひとつで区分も基準も変わります。
取扱所はなぜ4種類に分かれるのか

政令は目的の違いに着目して、取扱所を4つの区分にまとめています。
自動車等への給油が目的なら給油取扱所、店舗での容器入り販売が目的なら販売取扱所、配管による移送が目的なら移送取扱所です。
販売取扱所はさらに指定数量の倍数15を境に第一種と第二種に分かれ、倍数が大きいほど求められる構造は厳しくなります。
このいずれにも当てはまらない取扱いは、すべて一般取扱所という受け皿に入ります。
自分の施設がどの目的に当たるかを最初に決めれば、4区分のどこに入るかは自然に絞り込めます。
うちは容器のまま販売も配管での移送も行っています。
どちらに当てはまるのでしょうか。
行為ごとに別々の取扱所として区分されます。
使い方を一つずつ棚卸ししてみましょう。
屋外貯蔵所だけになぜ貯蔵できる危険物の種類が決められているのか

ところが屋外貯蔵所だけは、定義の条文の中に貯蔵してよい危険物の品目がそのまま書き込まれています。
屋根も壁もない屋外の場所にそのまま置くため、揮発しやすく火が付きやすい危険物は最初から対象に含まれていません。
たとえば引火点が零度未満の第一石油類やガソリンのような特殊引火物は、この号の対象に入らないため屋外貯蔵所では扱えません。
一方で硫黄やアルコール類、動植物油類のように引火点が比較的高いものは対象に含まれ、屋外に置くことが認められています。
他の6つの貯蔵所にはこうした品目の絞り込みが定義自体には無いため、屋外貯蔵所は貯蔵所の中でもとりわけ特殊な位置づけといえます。
屋外に置くタンクなら、ガソリンでもそのまま置けると思っていました。
引火点が零度未満のものは対象外です。
屋外貯蔵所に置けるかどうかは品目から確認しましょう。
施設の種類はどうやって確定すればよいのか

最後に、自分の施設がどの区分に当たるかを確定させる手順を整理します。
- その場所で危険物を製造するのか、貯蔵するのか、それ以外の目的で取り扱うのかを最初に切り分ける
- 貯蔵する場合は、屋内か屋外か、タンクを使うか、タンクの置き場所はどこかを政令第2条の号に照らして確認する
- 取り扱う場合は、給油・販売・移送・その他のどれが目的かを政令第3条の号に照らして確認する
- 区分によって許可申請書の様式や技術上の基準が変わるため、着工前に区分を文書で確定させる
- 判断に迷う施設は、自己判断で進めず所轄の消防署に事前相談する
危険物施設の区分は建物の見た目や規模ではなく、政令の号に定められた要件と照らし合わせて初めて確定します。
自己判断のまま設置してしまうと、後から区分の見直しを求められ、設計や許可のやり直しになりかねません。
迷ったときほど早い段階で所轄消防署に相談し、区分を確定させてから設計を進めることが遠回りを防ぎます。
危険物施設は種類ごとに求められる基準が違うからこそ、最初の区分の確認が最も大事な一歩になります。
つまり、目的と置き場所さえ整理すれば区分は決まるんですね。
そのとおりです。
迷ったときは早めに消防署へ相談しましょう。
よくある質問
まとめ
おかげで危険物施設の分け方がすっきり分かりました。
区分の確認や許可申請でお困りの際は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第10条
- 危険物の規制に関する政令第2条・第3条
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





