地下貯蔵タンクの内面に施すコーティングは、施工して終わりではありません。
消防庁は令和5年12月13日、消防危第346号でコーティングを施した地下貯蔵タンクの開放点検等に関する連絡の仕組みを見直しました。
背景には、コーティングを義務づけた省令改正から12年が経過し、施工から10年を超えるタンクが増えてきたという事情があります。
この記事では、コーティングの対象と施工方法、そして10年という節目でなぜ開放点検が望ましいとされるのかを解説します。
うちの給油所の地下タンク、内面にコーティングを施工したのがもう10年近く前なんです。
そのままにしておいて大丈夫でしょうか。
実は10年を超えない日までにタンクを開放して確認することが望ましいとされています。
まずは通知が出た経緯から見ていきましょう。
そもそもうちのタンクが対象なのかどうかも、正直よく分かっていません。
設置年数・塗覆装の種類・設計板厚の組み合わせで判定できます。
順番に確認していきましょう。
- 令和5年12月13日、消防危第346号により内面コーティングを施工した地下貯蔵タンクの開放点検等に関する連絡の仕組みが見直されました
- 対象は設置年数・塗覆装の種類・設計板厚から判定される「腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク」です
- コーティングは板厚3.2mm以上を確保したうえで、厚さ2mm以上の樹脂を成形して施工します
- 施工から10年を超えない日までに1回以上タンクを開放し、異常の有無を確認することが望ましいとされています
- 開放点検や撤去工事を把握したら、消防本部から都道府県を経由して消防庁へ連絡する仕組みになりました
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目次
地下貯蔵タンクのコーティング開放点検はなぜ改めて呼びかけられたのか

その仕組みが、令和5年に見直されています。
コーティングを義務づけた省令改正は平成22年に施行され、令和5年の時点で12年が経過していました。
これまでの平成29年の133号通知を廃止し、消防危第346号で新しい連絡票による報告の仕組みに切り替えられています。
つまり今回の通知は、法令そのものが変わったのではなく、施工から10年が近づくタンクが増える局面に合わせた運用の見直しです。
次は、この通知の対象になる地下貯蔵タンクの条件を見ていきます。
法律が変わったわけではないんですね。
はい、連絡の仕組みが見直されただけです。
次は対象になるタンクの条件を見ていきましょう。
対象になる地下貯蔵タンクはどうやって決まるのか

判定は、タンクごとの3つの条件の組み合わせで決まります。
平成22年7月8日付けの消防危第144号は、この3つの組み合わせから「腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク」と「腐食のおそれが高い地下貯蔵タンク」を区分する表を示しました。
たとえば設置から50年以上でアスファルト塗覆装のタンクは、設計板厚にかかわらず腐食のおそれが特に高い区分に入ります。
該当すれば、危険物の規制に関する規則第23条の2に基づき内面コーティングなどの措置を講じる義務が生じます。
自社のタンクの設置年数と塗覆装の種類を、まず確認してみてください。
うちのタンクは30年くらい前に設置したものです。
塗覆装の種類まではすぐに分かりません。
設置許可の申請書類に記載があるはずです。
次はコーティングの中身を見ていきましょう。
コーティングの施工と維持管理は何を求めているのか

施工の手順と、施工後の維持管理の両方が具体的に示されています。
下地の板厚3.2mm以上を確保することが、コーティングを施す前提になります。
下地は50cm平方につき3点以上測定して板厚を確かめ、コーティングは目視・膜厚計・ピンホールテスターの3つの方法で仕上がりを確認します。
そのうえで施工から10年を超えない日までに1回以上タンクを開放し、歪みやふくれ、亀裂、損傷、孔などの異常がないか、板厚が3.2mm以上あるかを確かめることが望ましいとされています。
自社のタンクがいつコーティングを施工したのか、まず日付を確認することが最初の一歩です。
次は、実務で見落としやすいポイントを見ていきます。
塗って終わりじゃなくて、10年後にもう一度開けて見るということですね。
そのとおりです。
ただし開放を省略できる場合もあるので、次で確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

ここを知らずに毎回タンクを開放していると、余計な費用と手間がかかります。
コーティングにあわせて電気防食措置を講じ、防食電圧・電流を定期的に確認している場合や、対地電位を年に1回以上測定して基準を満たしている場合は、開放しての板厚再確認までは求められません。
逆に言えば、こうした代替の確認をしていないタンクは、10年での開放が事実上の必須になります。
また今回の消防危第346号は、コーティングが施工された地下貯蔵タンクの開放点検及び撤去工事そのものを連絡対象にしている点も見落としやすい部分です。
つまり点検の中身だけでなく、開放や撤去という「工事の発生」自体を消防機関へ伝える仕組みになっています。
電気防食をしていれば、毎回開けなくてもいいんですね。
条件を満たしていれば省略できます。
最後に、明日からの確認手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

自社のタンクを思い浮かべながら、順番に見ていきましょう。
該当する場合は、内面コーティングを施工した日付を確認し、10年を超えない日までに開放点検の予定を組むことが次の一手です。
電気防食や対地電位の測定を行っている場合は、その記録が省略の条件を満たしているかを確かめておきます。
実際に開放点検や撤去工事を行うことになったら、その情報は消防本部を経由して都道府県、そして消防庁へと連絡される仕組みになっています。
早めに所轄の消防署へ相談しておくことで、手続きがスムーズに進みます。
まず施工日を確認するところから始めればいいんですね。
今日確認してみます。
それが一番確実な一歩です。
迷ったときは所轄の消防署にも相談してください。
よくある質問
まとめ
まず施工日を確認するところから始めればいいと分かりました。
今日中に台帳を見てみます!
施工日と塗覆装の種類、この2つを押さえれば対応の道筋が見えます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「内面の腐食を防止するためのコーティングを施工した地下貯蔵タンクの開放点検等に係る情報提供等について(依頼)」(令和5年12月13日付け消防危第346号 消防庁危険物保安室長)
- 「既設の地下貯蔵タンクに対する流出防止対策等に係る運用について」(平成22年7月8日付け消防危第144号 消防庁危険物保安室長)
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第23条の2
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第13条第1項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





