確認申請を指定確認検査機関に出しても、消防の同意はいつも必要なんでしょうか。
消防同意は消防法令だけでなく、建築基準法や同法施行令のうち防火に関する規定まで審査の対象になります。
けれど審査の深さはすべての建築物で同じというわけではなく、建物の用途や周囲の状況によって変わります。
書類審査だけで終わる場合と現地調査まで入る場合の分かれ目を解説します。
うちは指定確認検査機関に確認をお願いしているんですが、それでも消防の同意って必要なんですか。
必要です。
確認する窓口が市役所でも民間の指定確認検査機関でも、消防長や消防署長の同意を得る決まりは同じです。
じゃあ全部の建物で、消防が同じところまで細かく見るということですか。
実はそこが違うんです。
建物の用途や周りの環境によって、審査の深さそのものが変わる仕組みになっています。
- 消防同意では、消防法令だけでなく建築基準法や同法施行令のうち防火に関する規定まで審査されます。
- 確認の窓口が市役所の建築主事でも民間の指定確認検査機関でも、必要な消防同意の手続きは変わりません。
- 審査事項は建物の用途ごとに○(必ず審査)・△(必要に応じて審査)・-(審査不要)の3段階に分かれています。
- △の審査事項は自動的に結論が出るわけではなく、周辺状況や建物規模によって審査の要否が変わります。
- 木造密集市街地や大規模・複雑な建築物では、現地調査が必要になることがあります。
▼

目次
消防同意ではなぜ建築基準法の規定まで審査するのか

建築確認の中身のうち、防火にかかわる部分もあわせて審査しています。
消防法第7条は、消防長等が同意を判断する基準を「建築物の防火に関するものに違反しないとき」と定めています。
これは消防法令に限らず、建築基準法や同法施行令のうち防火にかかわる規定も含む、という意味です。
そのため確認申請の審査では、建築基準法令の中でも防火に関係する部分について、消防が別途チェックする仕組みになっています。
この範囲を具体的にどう線引きするかを定めたのが、平成7年1月10日消防予第2号の通知です。
民間に確認をお願いしても、消防が見るところは変わらないんですね。
その通りです。
防火に関する規定は、窓口がどこでも同じように審査されます。
どの確認ルートでもこの審査基準が使われるのか

どちらを選んでも、消防同意の手続きは同じように必要です。
消防法第7条第1項は、確認をする行政庁だけでなく、指定確認検査機関が確認を行う場合も、同じように消防長等の同意を得なければならないと定めています。
つまり市役所の建築主事でも、民間の指定確認検査機関でも、消防同意を経ずに確認を終えることはできません。
平成7年1月10日消防予第2号の通知は、この指定確認検査機関のルートについても、行政庁のルートと同じ審査基準を適用することを確認したものです。
どちらの窓口を選んでも、消防が見る中身は変わらないと考えておく必要があります。
指定確認検査機関を使っても、結局は消防の同意待ちになるということですか。
はい、そこは変わりません。
同意までの期限を見越してスケジュールを組んでおくと安心です。
審査事項はなぜ〇△-の3段階に分かれているのか

建物の用途ごとに、どこまで細かく見るかが決まっています。
- 平成7年1月10日消防予第2号の通知には、建築基準法および同法施行令にかかる審査事項の適用基準を示した別表が添えられています。
- 別表は、特定防火対象物・非特定防火対象物・共同住宅等(中高層・低層)・長屋・戸建住宅という建築物の用途区分ごとに、道路との関係や主要構造部の耐火性能といった審査事項を並べています。
- それぞれの審査事項には、○(必ず審査する)・△(必要に応じて審査する)・-(審査しない)のいずれかが割り当てられています。
- 特定防火対象物に近い用途ほど○が多く、戸建住宅に近い用途ほど-が多くなる、という傾向があります。
同じ確認申請でも、ホテルや病院のような特定防火対象物は審査事項の多くが○になりやすく、戸建住宅は-が多くなります。
これは建物の用途によって、火災が起きたときの危険性や避難の難しさが違うためです。
共同住宅も中高層と低層で扱いが分かれており、同じ共同住宅でも階数によって審査の深さが変わることがあります。
うちのビルは共同住宅なんですが、審査の深さはどう変わるんでしょう。
中高層か低層かで扱いが分かれます。
まずは自分の建物がどちらに当たるか確認しておきましょう。
△の審査事項はどうやって審査の要否が決まるのか

消防長等がそのつど個別に判断する仕組みになっています。
- 平成7年1月10日消防予第2号の通知は、△の審査事項について実際に審査を行う場合を2つの基準で示しています。
- 1つ目は、建築物の周囲が木造密集市街地等であり、火災時に周辺への極めて重大な被害の影響が懸念される場合です。
- 2つ目は、大規模な建築物や複雑な用途・計画を持つ建築物等で、火災時等における建築物自体の安全性の確保がとくに重要な場合です。
- このいずれかに当てはまると判断されると、△の審査事項について実際に審査が行われます。
古い木造家屋が密集した地域や、大規模で用途が複雑な建築物は、△の審査事項でも実際に審査が行われやすくなります。
逆に周囲の環境や規模に特段の事情がなければ、△の審査事項は書類審査だけで終わることもあります。
この判断は消防長等が個別に行うため、設計段階で「うちは審査されないはず」と決めつけるのは危険です。
うちの近くは古い木造の家が多いんですが、それも関係あるんですか。
大いに関係します。
周囲の状況によって、△の審査事項が実際に見られることがあります。
確認申請の前になにを消防に伝えておけばよいのか

確認申請を出す前の相談が、審査をスムーズに進める鍵になります。
- 敷地の周囲が木造密集市街地に当たるかどうかを、所轄消防署に事前に確認しておきます。
- 建物の規模や用途が複雑な場合は、その内容を早い段階で消防署に伝えておきます。
- 指定確認検査機関を利用する場合でも、消防同意そのものは省略できないことを設計者・建築主事双方で共有しておきます。
周辺状況や建物の特徴を先に伝えておけば、消防長等が△の審査事項をどう扱うかの見通しも立てやすくなります。
確認申請を出してから現地調査が必要とわかると、その分だけ手続きが遅れることになります。
早めの相談が、結果的に確認済証を受け取るまでの時間を縮めます。
だったら早めに消防署へ相談したほうがよさそうですね。
おっしゃる通りです。
事前の相談が、審査をスムーズに進める一番の近道です。
よくある質問
まとめ
審査の深さが変わる理由がよくわかりました。
早速消防署に相談してみます!
ぜひご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第7条
- 平成7年1月10日消防予第2号「消防法第7条の規定に基づく建築物の確認に対する同意事務の取扱いについて」
- 平成11年4月28日消防予第92号「指定確認検査機関に係る消防同意事務等標準処理マニュアル」
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





