パッケージ型自動消火設備や共同住宅用スプリンクラー設備のように、通常の消防用設備等の代わりに使える設備が増えています。
「特殊」という名前の響きから、これらの工事には特類消防設備士が要ると思い込んでいる方も少なくありません。
実は指定区分は設備ごとに消防庁長官の告示で細かく決まっており、特類が必要になる場面はごく限られています。
この記事ではパッケージ型自動消火設備などを扱える消防設備士の区分と、特類が必要になる本当の境目を解説します。
うちのビルにパッケージ型自動消火設備を付けたいと相談したら、工事には特類の資格がいるかもって言われました。
特類ってそんなに簡単に取れる資格じゃないですよね。
実はパッケージ型自動消火設備は特類でなくても工事や整備ができるんです。
今日はどの区分の消防設備士が扱えるのか、順番に整理してご説明しますね。
特類がいらないなら、どの資格を持っていれば頼めるのか気になります。
間違った業者さんに頼んでしまわないか心配です。
設備の種類ごとに告示が指定区分を割り当てています。
まずはこの設備等がどういう位置づけなのかから見ていきましょう。
- パッケージ型自動消火設備などは「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」という区分で、特類ではなく既存の第一類〜第四類などで工事・整備ができます(消防法施行令第二十九条の四)。
- どの区分が対応するかは消防法施行規則第三十三条の三第二項の委任を受けた消防庁長官の告示が個別に定めています。
- 特類が扱うのは総務大臣の個別認定を受けた「特殊消防用設備等」だけで、別の枠組みです(消防法施行規則第三十三条の三第一項)。
- 甲種特類を受験できるのは第一類から第三類までのいずれか、第四類および第五類の甲種免状を先に持っている者に限られます(同規則第三十三条の八第二項)。
- 区分にない設備の工事や整備を行うと無資格工事と同じ扱いになりかねません。
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目次
必要とされる防火安全性能を有する設備等とは何を指すのか

根拠になっている条文から確認します。
パッケージ型自動消火設備や共同住宅用スプリンクラー設備は、通常のスプリンクラー設備などの代わりに使う前提でこの枠に入っています。
一方、後で見る特殊消防用設備等は総務大臣が1件ずつ認定する別の制度で、根拠条文も異なります。
名前は似ていますが、まったく別の2つの制度があるとまず押さえておきましょう。
特殊消防用設備等と必要とされる防火安全性能を有する設備等って、名前が似ていて混同しそうです。
別の制度だったんですね。
はい、根拠になる条文自体が別なんです。
次はこの設備等を実際にどの区分の消防設備士が扱えるのかを見ていきましょう。
パッケージ型自動消火設備などはどの区分の消防設備士が扱えるのか

条文はここでも規則にさらに委任しています。
平成十六年五月三十一日消防庁告示第十五号がこれにあたり、設備ごとに次のように指定区分を定めています。
- パッケージ型消火設備=消防設備士または第三類消防設備士
- パッケージ型自動消火設備=第一類、第二類または第三類消防設備士
- 共同住宅用スプリンクラー設備=第一類消防設備士
- 共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備=第四類消防設備士
- 特定駐車場用泡消火設備=第二類消防設備士
「必要とされる防火安全性能を有する設備等」の工事や整備に限っては、通常の区分の免状で足りるということです。
パッケージ型自動消火設備は第一類から第三類までのどれかがあれば頼めるんですね。
思っていたよりハードルが低くて安心しました。
そうなんです、特類までは不要な設備がほとんどです。
では特類が本当に必要になるのはどんな場面か、次に見てみましょう。
告示はなぜ特殊消防用設備等と別の枠組みを設けているのか

その線引きは同じ条文の中に置かれています。
特殊消防用設備等は、メーカーごとに性能評価を受けて総務大臣の認定を取得した唯一無二の設備で、消防法第十七条第三項が根拠になっています。
これに対しパッケージ型自動消火設備などは、あらかじめ告示で標準化された既製品の枠組みで、根拠条文も第二十九条の四と別です。
つまり「大臣認定を受けた個別の特殊な設備」だけが特類の領分で、告示があらかじめ区分を割り振っている設備は特類の対象に入りません。
特類は大臣認定を受けた一点物の設備を担当する資格なんですね。
パッケージ型とは扱う対象が根本的に違うと分かりました。
そのとおりです、対象そのものが違います。
最後に、その特類自体を取るときの意外な条件を見ておきましょう。
特類消防設備士でなければ扱えないのはどんな設備で受験にはどんな壁があるのか

まずは受験資格の条文です。
甲種特類を受けるには、あらかじめ第一類から第三類までのいずれか、第四類、第五類の甲種免状をすべて持っている必要があります。
さらに消防法施行規則第三十三条の九では、甲種特類の試験方法は筆記試験のみと定められ、他の区分にある実技試験は課されません。
実技が無い代わりに、受験する前に幅広い区分の免状を積み上げておくことが前提になっている資格だと分かります。
特類だけをいきなり取ろうとする業者さんがいたら、それはおかしいということですね。
先に他の区分を持っているか確認したほうが良さそうです。
そのとおりで、複数区分の免状が前提になっています。
最後に、明日から実務でどう確認すればよいかをまとめます。
明日から免状の区分をどう確認すればよいのか

見るべきポイントは大きく3つです。
まず、工事を頼む設備が特殊消防用設備等(総務大臣の個別認定品)なのか、それとも告示で区分が決まった設備なのかを見分けます。
後者であれば、業者が持つ免状が告示の指定区分(パッケージ型自動消火設備なら第一類・第二類・第三類のいずれか等)に含まれているかを照合します。
もし特類が必要な特殊消防用設備等だった場合は、その業者が前提となる複数区分の甲種免状を先に持っているかも確認しておくと安心です。
設備の種類と免状の区分をセットで見ればいいんですね。
次に業者さんに相談するときはこの手順で確認してみます。
その確認だけで無資格工事のトラブルをかなり防げます。
迷ったときは告示の表に立ち返ってみてください。
よくある質問
まとめ
特類がなくても頼める設備が多いと分かって安心しました!
これからは告示の区分まで確認するようにします。
免状の区分に関するご相談もお気軽にお尋ねください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第二十九条の四
- 消防法施行規則第三十三条の三
- 消防法施行規則第三十三条の八
- 消防法施行規則第三十三条の九
- 平成十六年五月三十一日消防庁告示第十五号(消防設備士が行うことができる必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等の工事又は整備の種類を定める件)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





