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消防設備士免状はなぜ甲種と乙種の2種類しかないのか|特類や第5類という区分は施行規則が定める仕組みを解説

免状が甲種と乙種の2種類だけで区分は規則が決めることを表すイメージ

消防設備士免状には甲種と乙種があることは広く知られていますが、特類や第5類という区分がどこで決まっているかまでは意外と知られていません。
実はこの区分、消防法そのものではなく別の法令が定めています。
その根拠が消防法第十七条の六と、これを受けた消防法施行規則第三十三条の三です。
この記事では免状の種類と区分がどのように決まっているのかを解説します。

うちの点検、いつも同じ業者さんに来てもらってますが、免状に甲種としか書いてなかった気がします。
甲種があれば何でも工事できるってことですかね。

いえ、甲種の中にも区分があって、特類や第一類から第五類までで扱える設備が変わってきます。
今日はこの免状の種類と区分がどう決まっているのかを整理してご説明しますね。

区分ごとに扱える設備が違うんですね。
うちで使っている設備がどの区分に入るのか、ちょっと不安になってきました。

免状の種類自体は消防法が甲種と乙種の2つだけと定めていて、区分は別の規則が決めています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防設備士免状の種類は甲種消防設備士免状乙種消防設備士免状の2種類だけです(消防法第十七条の六第1項)。
  • 甲種消防設備士は工事又は整備、乙種消防設備士は整備だけができます(同条第2項)。
  • 特類や第一類から第五類までという区分は、消防法ではなく消防法施行規則第三十三条の三が定めています。
  • 甲種消防設備士は特類と第一類から第五類まで、乙種消防設備士は第一類から第七類までの区分に分かれます
  • 免状の区分ごとに扱える消防用設備等の種類が決まっており、区分にない設備は工事も整備もできません。

消防設備士免状が甲種と乙種の2種類だけで区分は施行規則が定める仕組みを示した図解

消防設備士免状はなぜ甲種と乙種の2種類しかないのか

甲種消防設備士免状と乙種消防設備士免状の2枚の免状カードが並ぶ様子
消防設備士というと甲種・乙種のほかに特類や第5類といった呼び方も耳にします。
まずは法律が定める免状そのものの種類を確認しましょう。
消防法第十七条の六第一項 消防設備士免状の種類は、甲種消防設備士免状及び乙種消防設備士免状とする。
免状の種類は法律上たった2つしかありません。
消防設備士というと甲種・乙種のほかに「特類」「第5類」といった呼び方も耳にしますが、それらは免状の種類そのものではありません。
条文が定めているのは甲種消防設備士免状乙種消防設備士免状の2種類だけです。
特類や第一類から第五類までという呼び名は、次に見る区分の名称にすぎません。
まずは免状そのものが2種類しかないという大枠を押さえておきましょう。

甲種・乙種の他に特類とか第5類とか聞いたことがあるんですが、免状の種類ってそんなにあるんですか。
頭が混乱してきました。

免状の種類そのものは甲種と乙種の2つだけなんです。
特類や第5類は、この後に説明する区分の呼び方ですよ。

甲種と乙種で行える作業の範囲はどう違うのか

工事道具一式を抱える免状カードと整備道具だけを持つ免状カードの対比
免状の種類が2つだけと分かったところで、次に気になるのはできる作業の範囲です。
条文はこの範囲を法律ではなく別の形式に委ねています。
消防法第十七条の六第二項 甲種消防設備士免状の交付を受けている者(以下「甲種消防設備士」という。)が行うことができる工事又は整備の種類及び乙種消防設備士免状の交付を受けている者(以下「乙種消防設備士」という。)が行うことができる整備の種類は、これらの消防設備士免状の種類に応じて総務省令で定める。
甲種と乙種では、できる作業の範囲そのものが違います。
甲種消防設備士は「工事又は整備」の両方を行うことができます。
一方乙種消防設備士にできるのは「整備」だけで、新たに設備を取り付ける工事は行えません。
この作業範囲の線引きは消防法自体には書かれておらず、条文は総務省令で定めると委任するにとどめています。
次にその総務省令、つまり施行規則が実際に何を定めているのかを見ていきましょう。

うちの業者さんは乙種の免状を持ってるって言ってましたけど、工事もお願いできるんでしょうか。
整備しかできないなら困ります。

乙種消防設備士ができるのは整備だけです。
新しく設備を取り付ける工事が必要なら、甲種の資格を持つ業者に頼む必要がありますね。

特類や第5類という区分はどこで決まるのか

免状カードの下にスプリンクラーや自動火災報知設備など5種類の消防用設備等が並ぶ様子
総務省令に委任されていると分かったところで、実際の中身を見ていきましょう。
定めているのは消防法施行規則です。
消防法施行規則第三十三条の三第一項(抜粋) 法第十七条の六第二項の規定により、甲種消防設備士が行うことができる工事又は整備の種類のうち、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事又は整備の種類は、次の表の上欄に掲げる指定区分に応じ、同表の下欄に掲げる消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事又は整備とする。(指定区分は特類及び第一類から第五類まで)
特類や第5類という区分は、法律ではなく施行規則が定めています。
甲種消防設備士の区分は特類第一類から第五類までに分かれ、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備、自動火災報知設備、金属製避難はしごなど、区分ごとに対象となる消防用設備等が決められています。
特類は特殊消防用設備等をまとめて担当する区分で、第一類から第五類までとは別枠になっています。
つまり同じ「甲種消防設備士」でも、持っている区分によって工事できる設備の中身がまったく違うということです。
免状を見るときは甲種・乙種という種類だけでなく、区分まで確認する必要があります。

区分がこんなに細かく分かれているとは知りませんでした。
うちの設備がどの区分に入るのか、正直分かりません。

スプリンクラー設備は第一類、自動火災報知設備は第四類というように設備ごとに区分が決まっています。
次は区分を取り違えるとどうなるかを見ていきましょう。

甲種免状を持っていればどの設備でも工事できるのか

スプリンクラー設備には青いチェックが付き泡消火設備には赤い禁止マークが付いた免状カードの様子
区分ごとに対象設備が決まっていると分かると、気になるのはその境目です。
条文には区分の外側についての定めもあります。
消防法施行規則第三十三条の三第二項 法第十七条の六第二項の規定により、甲種消防設備士が行うことができる工事又は整備の種類のうち、必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等の工事又は整備の種類は、消防庁長官が定める。
甲種免状を持っていれば何でも工事できるわけではありません。
区分は設備ごとに分かれているため、たとえば第四類(自動火災報知設備等)の甲種免状しか持っていなければ、第五類の避難器具の工事はできません。
区分にない設備の工事や整備を行えば、消防設備士でない者が行ったのと同じ扱いになりかねません。
さらに大臣認定などの特殊な設備(必要とされる防火安全性能を有する設備等)の工事又は整備の種類は、消防庁長官が別途定めるところによります。
免状の種類・区分と、実際に扱う設備の対応を都度確認することが欠かせません。

第四類の免状さえ持っていれば、避難はしごの工事もお願いできると思っていました。
これは危ないですね。

区分が違えば無資格工事と同じ扱いになりかねません。
依頼する前に、区分と設備の対応を必ず確認しましょう。

明日から免状の区分をどう確認すればよいのか

チェックリストを持つ手元と5種類の消防用設備等を照合する様子
甲種・乙種の違いと区分の境目が分かったところで、最後に確認の手順を整理します。
乙種にも同じように区分ごとの表があります。
消防法施行規則第三十三条の三第三項(抜粋) 法第十七条の六第二項の規定により、乙種消防設備士が行うことができる整備の種類のうち、消防用設備等の整備の種類は、次の表の上欄に掲げる指定区分に応じ、同表の下欄に掲げる消防用設備等の整備とする。(指定区分は第一類から第七類まで)
明日からは自分の免状の区分と扱う設備を照合しましょう。
まず自分の免状が甲種か乙種か、そのうえでどの区分(特類・第一類から第七類まで)を持っているかを確認します。
次に、これから工事又は整備をしようとする消防用設備等が、その区分に含まれているかを照らし合わせます。
複数の設備を扱う現場では、必要な区分をすべて満たしているかを確認し、不足していれば追加の免状取得を検討します。
この一手間が、無資格工事や整備のトラブルを防ぐ一番確実な方法です。

うちで扱っている設備を全部書き出して、区分と照らし合わせてみます。
もし足りない区分があったらどうすればいいですか。

その場合は追加の免状取得を検討することになります。
まずは区分の照合から始めてみてください。

よくある質問

Q消防設備士免状は甲種と乙種のほかにも種類があるのですか?
Aいいえ、消防法が定める免状の種類は甲種消防設備士免状乙種消防設備士免状の2つだけです(消防法第十七条の六第1項)。「特類」「第5類」といった呼び方は、免状の種類の中の区分を指しています。
Q特類や第一類から第七類までの区分は何を基準に分かれているのですか?
A区分は担当する消防用設備等の種類で分かれています。屋内消火栓設備やスプリンクラー設備は第一類、自動火災報知設備は第四類というように、消防法施行規則第三十三条の三が設備ごとに区分を割り当てています。
Q甲種消防設備士と乙種消防設備士では、できる作業に違いはありますか?
Aあります。甲種消防設備士は工事又は整備の両方ができますが、乙種消防設備士ができるのは整備だけです(消防法第十七条の六第2項)。
Q甲種第四類の免状を持っていれば、避難はしごの工事も頼めますか?
A頼めません。避難はしごなどは第五類の区分にあたり、第四類とは別の区分です。区分にない設備の工事や整備は、その免状では行えません。

まとめ

消防設備士免状の種類は甲種消防設備士免状乙種消防設備士免状の2種類だけです(消防法第十七条の六第1項)。
甲種消防設備士は工事又は整備、乙種消防設備士は整備だけができます(同条第2項)。
作業範囲の細目は消防法ではなく消防法施行規則第三十三条の三が定めています。
甲種消防設備士の区分は特類第一類から第五類までです。
乙種消防設備士の区分は第一類から第七類までで、甲種の区分に消火器と漏電火災警報器の整備が加わります
区分ごとに担当する消防用設備等が決まっており、区分にない設備の工事や整備はできません。
大臣認定などの特殊な設備の工事又は整備の種類は、消防庁長官が別途定めます。

免状の種類と区分の違いがよく分かりました。
これからは業者さんに頼むときも区分まで確認するようにします。

免状や資格に関する疑問も遠慮なくお尋ねください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十七条の六
  • 消防法施行規則第三十三条の三

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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