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連動型住宅用防災警報器はなぜ火元の警報器だけ他のボタンで止められないのか|規格省令が定める自動復旧と信号伝達の基準を解説

連動型住宅用防災警報器はなぜ火元の警報器だけ他のボタンで止められないのか

「警報が鳴ったので近くのボタンを押したのに、まだ鳴り続けている」——そんな経験はありませんか。
住宅用防災警報器には、家じゅうの警報器が一斉に鳴る「連動型」という区分があります。
実はこの連動型、信号の送り方・受け方・鳴らし方まで技術上の基準が細かく決められています。
連動型は、火元を感知した警報器だけ、他の警報器のボタンでは止められない仕組みになっています

うちのマンション、連動型の警報器を勧められたんですが、普通の警報器となにが違うんでしょうか。

火災を感知した警報器が、他の部屋の警報器にも信号を送って一斉に鳴らす仕組みです。

それは便利ですね。警報が鳴ったとき、近くのボタンを押せば全部止まるんですよね。

実は火元側の警報器は、他の警報器のボタンでは止められません

この記事の結論
  • 連動型住宅用防災警報器は、火災信号を送る機能と受ける機能の両方を備えた警報器です
  • 送信・受信・警報という三段階すべてを確実に行えることが規格省令の条件です
  • 火元を感知した警報器は、他の警報器のボタン操作では止められません
  • 無線式は電界強度・応答時間・識別信号まで技術基準が定められています
  • 選ぶときは検定の表示とメーカー・型式の組み合わせを確認してください

連動型住宅用防災警報器が火災を感知してから火元側の本体でしか復旧できないまでの流れを示した図解

連動型住宅用防災警報器とはどんな警報器を指すのか

三つの部屋の警報器が信号線でつながる様子と信号線を持たない一台だけの警報器を並べたイメージ
住宅用の火災警報器には、単独で鳴るだけの製品と、家じゅうの警報器が一斉に鳴る製品があります。
この違いを分けているのが「連動型」という技術上の区分です。
(住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令第2条第4号の3)連動型住宅用防災警報器 住宅用防災警報器で、火災の発生を感知した場合に火災の発生した旨の信号(以下「火災信号」という。)を他の住宅用防災警報器に発信する機能及び他の住宅用防災警報器からの火災信号を受信した場合に火災警報を発する機能を有するものをいう。
連動型は「送る機能」と「受ける機能」の両方を備えた警報器です
一般的な単独型の住宅用防災警報器は、自分の感知部が煙や熱をとらえたときにしか鳴りません。
これに対し連動型は、火災を感知した1台が信号を発信し、家じゅうの他の連動型警報器がその信号を受けて一斉に鳴る仕組みです。
寝室で火が出ても、離れたリビングや別の階の警報器まで音が届くので、就寝中でも異変に気づきやすくなります。
逆にいえば、この送受信の機能を持たない製品は、法令上「連動型」と呼ぶことはできません。

うちは平屋の一軒家なんですが、それでも連動型にする意味はあるんでしょうか。

部屋が離れている住宅では特に有効です
寝室と台所が離れた間取りでも、片方の異常をもう片方にすぐ伝えられます。

なぜ火元以外の警報器まで確実に鳴る仕組みが要るのか

信号を送信する警報器とその信号を受信して光る警報器を並べたイメージ
連動型と名乗るためには、送信と受信のどちらか一方ができるだけでは足りません。
規格省令は、信号のやり取りそのものにも条件を課しています。
(同令第3条第20号イ〜ハ)連動型住宅用防災警報器は、次によること。イ 火災の発生を感知した場合に連動型住宅用防災警報器から発信する火災信号は、他の連動型住宅用防災警報器に確実に信号を伝達することができるものであること。ロ 他の連動型住宅用防災警報器から発せられた火災信号を、確実に受信することができるものであること。ハ ロにより火災信号を受信した場合に、確実に火災警報を発することができるものであること。
送る・受ける・鳴らすの三段階すべてに「確実に」という基準がかかっています
火元の警報器が信号を出しても、途中で届かなかったり、届いても鳴らなかったりすれば連動の意味がありません。
そこで規格省令は、発信・受信・警報という三つの動作のそれぞれに、確実に行えることを求めています。
これは製品を作るメーカー側の技術基準ですが、住む側にとっては「連動型と表示された製品なら、この三段階が保証されている」という安心材料になります。
台数をそろえて設置するときは、この基準に対応した製品どうしを組み合わせることが前提です。

違うメーカーの連動型警報器を混ぜて使っても、ちゃんと連動するものなんでしょうか。

メーカーによって通信の方式が異なることがあるので、取扱説明書が指定する組み合わせで使うのが基本です。

なぜ火元の警報器だけ他のボタンでは止められないのか

火元の警報器を直接押す手と離れた警報器のボタンを押す手を並べたイメージ
警報が鳴ったとき、近くの警報器のボタンを押せば全部止まると思っていませんか。
実はこの止め方にも、規格省令が細かい条件を付けています。
(同令第3条第20号ニ)スイッチの操作により火災警報を停止することができるものにあつては、次によること。(イ)スイッチの操作により火災警報を停止した場合において、火災の発生を感知した連動型住宅用防災警報器にあつては15分以内に、それ以外の連動型住宅用防災警報器にあつては速やかに、自動的に適正な監視状態に復旧するものであること。(ロ)火災の発生を感知した連動型住宅用防災警報器の火災警報を、それ以外の連動型住宅用防災警報器のスイッチ操作により停止できないものであること。
火元を感知した警報器は、その場のボタンでしか止められません
台所の警報器が火災を感知して鳴ったとき、離れた寝室の警報器のボタンを押しても、台所側の警報は止まらない仕組みになっています。
これは誤操作や思い込みによって、肝心の火元の警報を安易に消させないための基準です。
一方で、いったん止めても15分以内には自動的に元の監視状態へ戻るため、消し忘れたまま長時間放置される心配もありません。
警報が鳴ったら、まず音の出どころ(火元側の本体)を探して確認する、という動き方を覚えておいてください。

警報が鳴ったので手近な警報器のボタンを押したのに、別の部屋でまだ鳴り続けていました。故障でしょうか。

故障ではなく仕組みどおりの動作です
火元を感知した本体まで行って、そちらのボタンを操作してください。

無線式の連動型はどんな条件を満たさないと連動型と呼べないのか

自宅の警報器の信号が自宅の中だけに届き隣家の信号とは交わらない様子を並べたイメージ
配線でつなぐタイプだけでなく、線を使わない無線式の連動型も広く使われています。
電波を使う以上、無線そのものにも専用の基準があります。
(同令第3条第20号ホ)無線設備を有するものにあつては、次によること。(イ)無線設備は、無線設備規則第49条の17に規定する小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備であること。(ロ)発信される信号の電界強度の値は、当該住宅用防災警報器から3メートル離れた位置において設計値以上であること。(ニ)(1)火災の発生を感知した住宅用防災警報器の無線設備が火災信号を受信してから発信するまでの所要時間が5秒以内であること。(ヘ)他の機器と識別できる信号を発信すること。
無線式の連動型は「届く距離」と「応答の速さ」まで基準化されています
電波の強さは本体から3メートル離れた位置を基準に測られ、家の中で信号がきちんと届くことを前提に設計されています。
また、火災を感知してから他の警報器へ信号を送り出すまでの所要時間も5秒以内と定められており、警報が鳴るまでのタイムラグを抑えています。
さらに、他の機器と識別できる信号を発信することも条件のひとつです。
これにより、隣家が別に設置した連動型警報器の電波と混じり合って誤作動する事態を避ける設計になっています。

無線式は工事がいらないので便利ですが、隣の家の警報器と混線したりしないんでしょうか。

他の機器と識別できる信号を出す設計が義務づけられています。混信しにくい仕組みが規格そのものに組み込まれています。

明日から連動型を選ぶときになにを確認すればよいのか

タグを確認する人物と並んだ二つの警報器の箱を並べたイメージ
最後に、連動型を選ぶときと使い始めたあとに確認しておきたい点を整理します。
基準を満たしているかどうかは、まず表示で確認できます。 確認すべきは表示・組み合わせ・使用後の確認の三点です
  • 住宅用防災警報器は検定対象機械器具等のひとつで、型式適合検定に合格した表示が無い製品は設置に使用できません
  • 連動型として使うときは取扱説明書が指定するメーカー・型式の組み合わせで揃える
  • 無線式は本体どうしの距離や壁の影響で電波が届きにくくなることがあるため、設置後に火災信号が実際に伝わるかを試験モードで確かめる
  • 警報が鳴ったら、まず音の出どころ(火元側の本体)を確認してから操作する
  • 電池切れや本体の交換時期は維持基準にもとづく点検もあわせて行う

つまり、表示があるかどうかと、組み合わせが正しいかどうかを見ればいいんですね。

その二点を押さえておけば、連動の仕組みはきちんと働きます

よくある質問

Q連動型住宅用防災警報器と単独型は、価格以外にどう違うのですか?
A単独型は自分の感知部が反応したときしか鳴りませんが、連動型は他の警報器の感知でも一斉に鳴ります。
Q無線式の連動型は工事なしで後から追加できますか?
A製品にもよりますが、無線式は配線工事が不要なぶん後付けしやすいタイプが多いです。追加する台数は取扱説明書の範囲内で確認してください。
Q警報を止めるボタンを押しても、なぜまた鳴り出すことがあるのですか?
Aスイッチで止めても15分以内には自動的に元の監視状態へ復旧するためです。火元が解消していなければ、再び火災を感知して鳴ります。
Q連動型かどうかは、どこを見れば分かりますか?
A製品の表示や取扱説明書に「連動型」という区分が明記されています。表示が無い製品は単独型と考えてください。

まとめ

連動型住宅用防災警報器は、火災信号を送る機能と受ける機能の両方を備えた警報器です
火元の警報器から出た信号は、他の警報器に確実に伝わり確実に鳴ることが基準です
火元を感知した警報器は、他の警報器のボタン操作では止められません
スイッチで止めても15分以内には自動的に元の監視状態へ復旧します
無線式は電界強度・応答時間・識別信号まで技術基準が定められています
住宅用防災警報器は検定対象機械器具等のひとつで、表示の無い製品は設置に使えません
まずは製品の表示と、取扱説明書が指定する組み合わせを確認することから始めてください

火元の警報器を探すことがまず先だと、今日から覚えておきます

製品の表示と組み合わせも、あわせて確認しておいてください
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令第2条(平成17年総務省令第11号)
  • 同令第3条
  • 消防法施行令第37条第7号
  • 消防法第21条の2

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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